天皇賞春、宝塚記念、天皇賞秋、G1・3連覇タマモクロス。

タマモクロスとの『芦毛の怪物頂上対決』に敗れたオグリキャップ。


ジャパンカップの興味は2頭の再戦。そして、期待は日本馬の優勝。

カツラギエース、シンボリルドルフが優勝して以来、またもや外国馬の優勝が続くジャパンカップ。


タマモクロスなら、オグリキャップならやってくれる。



ファンの高まりのなか、海外からやって来た強豪たち。


イタリア調教馬として27年ぶりの凱旋門賞馬となったトニービン。

凱旋門賞後、引退。日本で種牡馬となり、数多くの名馬を輩出している。


アメリカからは誇張が伝えられるマイビッグボーイ、前哨戦の富士Sを制したセーラムドライブ、G1・2着2回のペイザバトラー。


イギリスからはインターナショナルS(英G1)勝ちのシェイディハイツ、サンクルー大賞典(仏G1)勝ち馬ムーンマッドネス。


あと欧州からはフランス代表はスカイチェイス、ドイツ代表コンドル。


オセアニアからは、ニュージーランドの『英雄』ボーンクラッシャー、オーストラリア代表アワーズアフター。


10頭の精鋭たち、狙うはただ『優勝』。そのためにやってきた。



タマモクロス、オグリキャップだけじゃない日本勢。

菊花賞馬・有馬記念優勝馬メジロデュレン、宝塚記念馬スズパレード、皐月賞2着・ダービー4着・菊花賞2着ゴールドシチー、天皇賞春2着馬ランニングフリー。

混戦になれば・・・・・・虎視眈眈。




11月27日、ジャパンカップ。

1.セーラムドライブ
2.スズパレード
3.スカイチェイス    出走取消
4.ゴールドシチー
5.タマモクロス
6.トニービン
7.マイビッグボーイ
8.オグリキャップ
9.アワーズアフター  出走取消
10.メジロデュレン
11.ボーンクラッシャー
12.ランニングフリー
13.コンドル
14.シェイディハイツ
15.ムーンマッドネス
16.ペイザバトラー


1番人気タマモクロス、2番人気トニービン、3番人気オグリキャップ。

4番人気マイビッグボーイ、5番人気ボーンクラッシャー。



レースは思わぬ展開で進んだ。

先行したのはメジロデュレンだった。生涯初の『逃げ』を、メジロデレンはうった。

2番手につけたランニングフリー、3番手スズパレード。


日本の伏兵馬が前に出た。


オグリキャップはそのあと、好位につけた。

タマモクロスをとらえ切れなかった天皇賞秋。今度は、前に付けた。


タマモクロスは後方4頭目。先行・差し・追い込み、型にはまらない怪物。

鞍上・南井克巳が選んだのは、追い込みだ。


オグリキャップと前後してマイビッグボーイ。


中団につけたのは凱旋門賞馬トニービン。ペイザバトラーがすぐ後ろから行った。


タマモクロスと前後したのはムーンマッドネス、ボーンクラッシャー。



2コーナーを回ってすぐに上がってきたのがシェイディハイツ。鞍上は柴田政人。

日本人騎手で初めて外国馬の騎乗を依頼された。


柴田政人は一気に先頭まで躍り出た。

ハナを切って、15頭を引き連れた。



3コーナー、再びメジロデレンが先頭を奪うべく、シェイディハイツに並びかけた。

譲らないシェイディハイツ。


その時だッ!

外から一気に先団めがけた赤い帽子。

タマモクロスだッ!


タマモクロスがグングンと前に迫ってきた。

並んで影のようについて行くのがペイザバトラー。


その前をマイビッグボーイ。



先頭争いをするシェイディハイツ、メジロデュレン。

直線では、マイビッグボーイが襲いかかり、その外からタマモクロスが伸びてきた。


3,4コーナーでタマモクロスに追い越され、後ろになったオグリキャップが、


外からやって来た!


ボーンクラッシャー、ムーンマッドネスも大外からやって来る。



タマモクロスが、鞍上・南井が、外を警戒しながら先頭に立とうとした。


一瞬。


内に影が走った。



アメリカ・マッキャロン騎乗のペイザバトラーが、抜けてきた。

タマモクロスと馬体を離し、内へ切れ込んで、一気に先頭に立ったッ!


気づいた南井は懸命に押した。

出し抜けを喰らわされた。


負けてはいけない。負けない馬になったタマモクロスが、負けてはいけないッ!


渾身のムチ、渾身の追い、だが、ジリジリッとしか迫らない。



外からオグリキャップが、根性の伸びを見せた。

内で粘るマイビッグボーイ、伸びてくるトニービンを抑えて3番手に上がった。


さらに、前へ。


無情にも、


ペイザバトラーがゴールへ飛び込んでいた。



タマモクロスも半馬身、及ばなかった。



強い外国馬。

9番人気、伏兵ペイザバトラーが『冠』を奪い取った。


1着ペイザバトラー

2着タマモクロス

3着オグリキャップ

4着マイビッグボーイ

5着トニービン



トニービンはレース中に骨折していたことが判明。引退。

社台が購入し日本で種牡馬となることとなった。


(つづく)