皐月賞3着、ダービー優勝、菊花賞5着、有馬記念5着、天皇賞春2着、天皇賞秋5着、休まず走り続けた。

東京4歳S、セントライト記念、アメリカJCC、目黒記念春、宝塚記念。勲章の数々。

つねに人気を背負い、5歳世代を引っ張ってきたサクラショウリ。


称号はダービー馬。このままでは終われない。




朝日杯3歳S優勝、皐月賞優勝、ダービー4着、菊花賞3着。

ビンゴガルーもまた、4歳世代を引っ張ってきた。


目論むは、世代交代。




1977年秋、天皇賞馬ホクトボーイ。

1978年春、天皇賞馬グリーングラス(菊花賞馬)。

1978年秋、天皇賞馬テンメイ。

1979年春、天皇賞馬カシュウチカラ。


古馬の頂点に立った馬たち。



1978年、有馬記念優勝馬カネミノブ。

2着馬、紅一点、桜花賞・エリザベス女王杯制覇のインターグロリア。



1978年、菊花賞馬インターグシケン。



9頭の冠馬。



ダービー2着リンドプルバン、菊花賞2着ハシクランツ。

23戦12勝、重賞7勝、バンブトンコート。

天皇賞秋2着馬、メジロファントム。

重賞3勝、カネミカサ。



16戦11勝、2着2回、3着2回。大井の怪物、タケシバオー産駒ハツシバオー。

中央の世界に殴り込み。



近年稀な豪華メンバー。




『TTG3強』の残された一角、7歳馬グリーングラスのラストラン。

3強とはいえトウショウボーイ、テンポイントのつねに№3に甘んじていたグリーングラス。

天皇賞制覇のあとは脚部不安に悩まされ、78年・5戦、79年・これまで2戦。もはや、脚元が悲鳴を上げていた。

それでも、耐えるグリーングラス。耐えて走る。


なぜ?


『TTG』の名を、汚さぬために。




12月16日、有馬記念。

1.ボールドエーカン
2.カネミカサ
3.グリーングラス
4.ホクトボーイ
5.サクラショウリ
6.ハシクランツ
7.カネミノブ
8.ハツシバオー
9.インターグシケン
10.バンブトンコート
11.インターグロリア
12.メジロファントム
13.テンメイ
14.カシュウチカラ
15.リンドプルバン
16.ビンゴガルー


1番人気サクラショウリ、2番人気グリーングラス、3番人気ビンゴガルー。

4番人気インターグロリア、5番人気インターグシケン。



当時の『8大競走』では有馬記念にしか出走権のない外国産馬。

その外車・ボールドエーカンがハナを切った。


2番手にカネミカサ。ハシクランツ、地方・大井から野望に燃え参戦したハツシバオーが追いかける。

内でグッとこらえるグリーングラス。ビンゴガルー、インターグシケンガつける。


その後ろにサクラショウリ。

マークするようにインターグロリア、カネミノブ、メジロファントム。


カシュウチカラ、ホクトボーイ、テンメイ、天皇賞馬3頭が後方につけた。



レースは、いつ動く?



騎手たちは、時を待った。


向う正面、内々、中団前を行っていたビンゴガルーが失速した。


ズルズルッと後退。


故障だ!



思わぬアクシデントをきっかけに、流れが動いた。



いや、前のグリーングラスの動きに合わせたビンゴガルーが故障したのか?


種子骨骨折。ビンゴガルーの競走生命は、終わった。



スパートしたグリーングラスは、3,4コーナー中間地点で先頭に立ち、さらに加速する。



ラストラン。

おとなしく走ってはいられない。


燃えろ自分。トウショウボーイに、天国のテンポイントに、見せろ激走。



直線に入っても衰えない7歳、グリーングラス。



サクラショウリも、ホクトボーイも、テンメイも・・・のあくねた。



内で粘っているのは、ハシクランツ。

そこへ、カネミノブが差してきた。闘将・加賀武見、前年の切れ味を再び。



さらに外から、伸びてきたのはメジロファントム。

内へ蛇行しながらも、強烈な末脚を見せた。



その蛇行が、カネミノブの不運を招いた。

丁度、行き脚がついた時。


前を横切られ、鞍上の加賀武見は立ち上がってカネミノブを御した。



大きく遅れた。



逃げるグリーングラス。


カネミノブを潰す形となったメジロファントムは、襲いかかった。



馬体を並べてゴールしたグリーングラス、メジロファントム。



わずかハナ差、



グリーングラスが残った。





態勢を立て直して前を追ったカネミノブは、ハシクランツを交わすのが精一杯だった。



1着グリーングラス

2着メジロファントム

3着カネミノブ

4着ハシクランツ

5着ホクトボーイ



(つづく)