4歳牝馬クラシック。


関東の期待の星は5戦3勝、朝日杯3歳S3着のシーバードパークだった。

明け4歳初戦の新春4歳牝馬Sこそ4着だったが、クイーンC、桜花賞トライアル・阪神4歳牝馬特別を連勝。

圧倒的に人気の中心だった。



迎え撃つ関西馬は6戦2勝。阪神4歳牝馬特別3着のアグネスレディー。

全姉が桜花賞をテイタニヤの2着したクインリマンド。

何より、アグネスレディー→アグネスフローラ→アグネスフライト・アグネスタキオン兄弟へと続き、アグネスタキオンからはダイワスカーレット、ディープスカイはじめ8頭のG1馬が出ており、さらにその血は繋がれていく。わが国最強の太い血筋といえるかもしれない。


3歳時は4戦3勝。新馬戦2着のあと3連勝のシルクスキー。

4歳初戦の阪神4歳牝馬特別はは15着と惨敗したが、売出し中のミンスキーの仔として注目された。



年明けデビュー、新馬戦・雪割草特別連勝。春蘭賞は1番人気で9着と敗れたマリージョーイだが、福永洋一騎乗で期待が持たれた。

桜花賞トライアルよりも毎日杯に登場。桜花賞の前哨戦を牝馬ただ1頭、牡馬との戦いに挑んだ。



3月4日、毎日杯。

3月までに24勝を挙げ、10年連続リーディングへ独走態勢に入っていた福永洋一。


阪神競馬場の魔物が福永を襲った。


ハクヨーカツヒデに騎乗していた斎藤博美が落馬。咄嗟に外へ回避した福永だったが、馬の内側に転がり落ちると思われた斎藤が外に転がった。

マリージョーイの前脚に引っかかり、マリージョーイは前につんのめった。

福永は馬場に叩きつけられた。


頭を強打、舌を3分の2以上噛み切る重賞。意識不明の状態だった。



『天才』福永洋一。


その騎手生命は、ここに終わった。



(つづく)