桜花賞馬アチーブスターが休養に入り、オークス不参戦。

桜花賞1番人気で7着に敗れたシンモエダケ。東京に乗り込み4歳牝馬特別に出走も、またも7着に惨敗。オークスを回避、休養に入った。

桜花賞2着ハジメローズ、3着センコウミドリを中心に、わずか6頭の参戦となったオークスの関西勢。



数的、人気面でも関東馬が俄然盛り返してきた。



なかでも、関東の中心的存在となったのが、タカイホーマ。

半兄に天皇賞馬ヒカルタカイがいる良血。

3歳(現表記2歳)時は4戦2勝。4歳になり京成杯5着のあと、クイーンカップをナオユキに5馬身の差をつけて圧勝。期待された桜花賞は体調不良で断念。西下せずにオークスへ備えた。

5月・カーネーションカップ、6月・4歳牝馬特別と連勝し、オークスを狙う。



クイーンカップ2着、4歳牝馬特別4着のナオユキ。

のちに母となり、中央競馬最高齢出走15歳の記録をもつミスタートウジン(99戦11勝)、天皇賞2着をはじめ重賞2勝のミスターシクレノンを出している。



7戦2勝も、4歳牝馬特別でタカイホーマの2着となり、一気に有力馬となったタケフブキ。

半弟にハイセイコーの永遠のライバルとなったタケホープがいる。姉弟で母ハヤフブキの血を良血に持ち上げた。現在も続く母系。タケフブキの曾孫世代に、ダートで活躍するグランドシチーがいる。




7月2日、オークス。


1.ハジメローズ
2.カミノチドリ
3.ナオユキ
4.トスカーナ
5.キョウエイグリーン
6.カンツォーネ
7.タカイホーマ
8.ウエスタンローズ  出走取消
9.センコウクイン
10.タケフブキ
11.シャダイカール
12.ナスノヤヨイ
13.オンワードセレナ
14.シードリーム
15.スターチャイルド
16.スイートスワロー  競走中止
17.センコウミドリ
18.フミユキ
19.ダリップ


1番人気タカイホーマ

2番人気ナオユキ

3番人気タケフブキ

4番人気センコウミドリ

5番人気シャダイカール




桜花賞で快速逃げを打ったキョウエイグリーン。

オークスでも軽快な逃げ脚を見せた。


続くセンコウミドリ、センコウクイン。内からカミノチドリ、ハジメローズ、オンワードセレナ。

タカイホーマはその後につけた。



シャダイカール、タケフブキは後方。


社台の総帥・吉田善哉氏所有のシャダイカール。

1955年に繁殖牝馬8頭を持って独立した吉田氏。積極的な牧場経営、外国から種牡馬導入に取り組み、1971年には北海道早来に社台ファーム早来(現ノーザンファーム)を設立。この年に社台の繁栄の引き金ともなった種牡馬を導入した。その名がノーザンテーストである。



向う正面に入るや、センコウクインが先頭を奪い、キョウエイグリーンを両センコウが挟む形となって進んだ。


中団、じっくりと前を見るタカイホーマ。

父スパニッシュイクスプレスの短距離の血を、菊花賞・天皇賞を制した母父ハクリョウの血で補った。


その血の正しさを証明するには、勝つこと、以外にはなかった。



直線、早くも先行勢が下がりだした。


まだ早い。


思いつつ、外から迫るタカイホーマ。



内から馬群をすり抜けて来たのは、人気薄カンツォーネ。


だが、タカイホーマの敵ではない。鞍上・大崎昭一は自身のムチをくれた。



その時だッ!



ピタッと寄り添う馬がいた。



タケフブキだ。

影のように外から迫り、並びかけた。



長い、熾烈な戦い。


タケフブキ鞍上・嶋田功。

騎手9年目。1969年、ダービーで1番人気タカツバキに乗り、スタート直後に落馬。71年ナスノカオリで桜花賞制覇。


タカツバキが落馬したダービーを制したダイシンボルガード、乗っていたのは大崎昭一。


そして、いま、タカイホーマに乗る。



タケフブキ、タカイホーマ、互いに譲らぬ、いや、譲られない、死闘。



長い、長い、鬩(せめ)ぎ合い。



ゴール目前に、力尽きたのはタカイホーマ。



タケフブキが勝利した。

前年カネヒムロに続き、連続パーソロン産駒が勝利した。



1着タケフブキ

2着タカイホーマ

3着カンツォーネ

4着シャダイカール

5着スターチャイルド




わずかな、ほんのわずかな明と暗。


だが、果てしなもなく、大きな明暗だった。



(つづく)