摩訶不思議探検隊、やがてくる最終決戦。

身も締まる思いで、思い、何処か?


「それにしてもキョウタ、ようコウヘイの心境の変化見抜けたな」

シンジならずとも、コウヘイも驚いていた。

「簡単、簡単、そんなこと。人はさぁ、二人っきりで窮地から抜け出すには、お互いが信頼し助け合わねばならないワケよ。それは相手を好きになってこそ、助け合える。信頼できる。心の奥底の深いつながりがないと、二人は永久にここにたどり着かなかった、とオレは思うよ」

「おっ、深いこというやん。絶体絶命の環境が、そうさせたいうことか」

「まあーね」

「その環境になかったオレは不運ということやな」

「そんなぁ、僕が運がよかったみたいな。ホント、そんなこと考えれる状況じゃなかったんだよ」

「だからよかったんじゃないか。その窮地が、心の奥深くで二人を結びつけたんだよ。だから、コウヘイ、気持ちに気づいた時はとまどったろう」

「・・・・・・」

「図星やな。コウヘイ、正直でよろし。ハハッ。ということわやな、キョウタ、おまえとナミは?」

「そう、そう、キョウタも鵺に背中やられるほどだったんだろ?」

「ああ、まあね」

「まあねやないで。正直に言うてみ」

「ああ面倒くせィ、そうだよ。オレはますますナミが好きになった。悪いか」

「何照れ隠しでワルぶってんねん。コノヤロ、コノヤロ」

シンジがキョウタをふざけて、はがい絞め。コウヘイ、前に回りキョウタの脇、腹をコチョコチョ。

「アハッ! やめれ、やめれ、アハハハハッ!」

まるで小学生、コヤツら。

「さぁ、大声で言え! ナミが好きと」

「ああーっ、言う、言う。言うから。オレはナ、イ、痛ッテエェェッ!」


ナミが背後からキョウタの頭をグーで殴っていた。

「バッカじゃない、おめぇら。いま、そんなこと言ってる時か」

「痛いなぁ、ナミ」

「キョウタ、それ以上言ったら、ブン殴るからな」

「いや、もう殴ってるし」

「ごめんね、キョウタ。ナミはね、これでも照れてるのよ」

ナミの代わりに謝るサチ。

「照れ隠しにしては凄すぎるね、ナミ。キョウタ、マジ痛そう。ていうか僕たちの会話、完全に聞こえてたみたいだね、シンジ」

「うん。そやな」 

「バカほどね」

あきれ顔でタチバナ女史、参戦。

「キョウタの理論は私たちには通じなかったみたいだけど」

「そうでもないよ。僕はタチバナ君が頼もしくも、美しくも見えた。正直言って、好きになった」

「おいおい、トキタ部長までかよ」

「部長、軽率です」

「でも、本当のことだから」

「軽率ですわ」

「おいおい、女史の顔、赤くねぇ」

「軽率デス!」

ムキになるタチバナ女史、みんなクスクス、女史うろたえる。

「私にも言わせて」



「ほう、今度はサチか。コナン、告白大会になったようじゃのう」

「ほんとだね、ゲンジイ」



「私、前から好きな人がいたの。ずっと、言えなくて、でも、いまは言える。シンジ。私、シンジが好き」

「ありゃりゃ? コウヘイ、撃沈」

「いまね、コウヘイも好き。なんだかわかんない。正直な気持ち、頭の中ではシンジが好きだけど、心がコウヘイを思ってる。どう説明していいか、わかんない。でも、いまは、そうなの」


「ゲンジイ、わかる?」

「ははは、コナン、理解できんて。本人さえ、わかっとらんじゃろうから。男と女、これぞ世の中一番の摩訶不思議じゃ」


「ああ、わかんねぇ。けど、シンジもコウヘイも、いまはサチにとって大事な人ってことで、それでいいじゃん。な、な」

「そうじゃな。どうやら、タイムリミットのようだし。何やら空気が変わってきた。気をつけろ!」


ウゴゴゴゴォーッ、

ゲンジイの言葉通り、まもなく地響きが。


洞窟が崩れ出した。

身構える摩訶不思議探検隊。


(つづく)