鵺にやられたナミを介抱するサチ。

「ごめん。みんな、こっちを見ないで」

露わにしたナミのピンク色の肌、左の肩から背中へ20㎝ほどザックリ割れている。

サチは自分のローヴを引きちぎり、血を拭き取る。噴きだす勢いは無くなったが、拭いた後からじわーっと溢れてくる。

何度も何度もローヴを引きちぎり、ナミの傷口にあてがう。

「痛い? ごめんね、ナミ。ごめんね、痛い?」

同じ言葉を繰り返し、同じ作業を繰り返す。目には涙を溢れさせ、ひたすら繰り返す。

「い、いいよ、もう、サチ。これ以上やったら、サチ、裸になっちまうよ」

鋭く反応した男ども、思わず振り返る。

「バカヤロー、あっち向いてろ、ド変態!」

ナミの一喝喰らって、向き直す男ども。


「あ、あのぅ、提案なんだけど、僕たち元の姿に戻ってるし、サチも戻ったらいいんじゃないかな。そしたら、裸でなくなるわけだし」

コウヘイは二人に背を向けながら言った。

「そうだ、なんでこんなこと気づかなかったんだろう。サチ、元に戻れ」

「うん、でも、その前に」

サチはすべてを脱いだ。

「見るな! スケベ野郎。ぶっ殺す!」

ナミの先制口撃?に直立不動の男ども。

サチは元の姿に戻り、脱いだローヴの残りでナミの上半身をグルグル巻きにして、血を止めた。


すべてが終わった頃、飛ばされたはずの才女タチバナとシンジが闇から現れた。

お互いに支え合うように、フラつきながらも、こっちに向かって歩いてくる。


「あっ、生きてたんだ! よかった! みんな、二人とも帰ってきたよ」

喜ぶコナンの声に、みんなが振り返った。


しっかりと視線にとらえられた。

「おお、おぅ、無事じゃったか。よかった、よかった」


「よおーし、みんな揃って、このバーチャルな世界から抜け出すゾ!」

キョウタにも元気が戻った。

「いやいや、ここから抜け出すには、鵺をやっつけねばならん。本拠を見つけて叩き潰さん限りは、この世界は消え失せん。ここでしばらく休養をとって、いよいよ、鵺退治じゃ」



本拠はどこにあるのか?


バーチャルな世界の摩訶不思議探検隊。


旅はまだ、始まったばかり。


(つづく)