拝啓。お袋さんへ
お袋さん。
お元気ですか?
昨日は東京は曇ったり雨が降ったり変なお天気でした。
そちらはいかがですか。
今日は雨やんだでしょうか。
お袋さん。
昨日の夜、今年初めてゴキブリを見ました。
恐かったです。
お袋さん。
何故か台所ではなく、寝室のとなりの部屋のテレビやオーディオが
置いてる部屋にゴキブリが出ました。
貴女の娘は、知っての通りゴキブリが大の苦手です。
ゴキブリを見た瞬間、身体が硬直し、主人に小さな声で
「あなた~ あなた~ ゴキブリがぁ~!」
と叫んでしまいました。
あんたね!
ゴキブリなんか噛まんのやけん恐なかろがね!
なんちゃせんのやけん、いちいち騒がれん!
こんだけ暑つなったんやけん、ゴキブリも出ろがね!
と、お袋さんの声が聞こえてきそうです。
ですがお袋さん。
この家に住んで8年以上経ちますが今まで数回しか
出たことがありません。
お袋さん。
貴女の娘婿もゴキブリは苦手です。
噛まないと言っても気持ち悪いものです。
主人が「叫ぶなよ。じっとしてろよ。」
と言うので息を潜めて主人が殺虫剤を持ってくるのを待ちました。
主人も殺虫剤をブシュブシュかけまくってゴキブリをあの世に送り出し
ました。
その間、貴女の娘はぎゃーぎゃーと叫んでいました。
あんたのおとっちゃんもゴキブリが恐いんかね!
なんでぞね!
ゴキブリがおったら、つぶしたらよかろがね!
何をぎゃーぎゃー言う必要があるんぞね!
バカじゃろか!
お母さんなんか、ちぃとも恐わないわい!
と、お袋さんの声が聞こえてきそうです。
お袋さん。
私も兄貴もゴキブリや虫類が苦手で実家にはよくムカデや蜘蛛も
出ましたよね。
その度、大きな声で
「ぎゃ~!お母さぁ~ん!助けて~!」
と、お袋さんを呼んだものです。
お袋さんは、私や兄貴の声を聞いて
「なんぞね!うるさかろがね!え!?ゴキブリ?そんなことで
いちいち騒がれん!」
と言いながら私たちを叱咤しましたよね。
お袋さん。
お袋さんはゴキブリを見つけると素足のまんま
踏み潰し殺してましたよね。
その姿を見て私と兄貴はまた、ぎゃーぎゃーと騒いでしまいました。
こんなもんは噛まんし恐わないんやけん踏んだらええんよ!
あんたらは、何が恐いんぞね!
ムカデがおったら、熱湯かけたらええんじゃがね!
蜘蛛は新聞で叩いたらええんよ!
こんなことで、お母さんを呼ばれんや!
と言って、ゴキブリを踏んだ素足のまんま普通に去って行きましたね。
そんなお袋さんの勇敢さ、尊敬します。
ですが、貴女の娘にはとうてい真似できません。
そう言えば実家の庭に蛇がよくいました。
その時も身体が硬直しお袋さんを呼びに行きました。
お袋さんは蛇を見つけると、蛇の尻尾をつかんでグルグル大きく振り回し
ポーンと山に向かって放り投げましたよね。
お袋さんは生まれ育ちも山なので何もかも慣れているかも知れませんが
やはり私には絶対無理です。
お袋さん。
ゴキブリが出るたび、お袋さんが今ここにいたら速攻ゴキブリを潰して
くれるのにと、いつも思います。
貴女の娘はお袋さんのように勇敢ではないので明日か明後日にでも
2王子2姫を連れ出して全室バルサンをたこうと思います。
お天気が不安定なので身体にはくれぐれも気をつけて下さい。
またお便りします。



