平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba -376ページ目

籠手を用いて太刀を止める 甲冑組太刀

江戸前期も後半になろうとした頃のお話です。

戦がなくなり、天下泰平となった徳川時代、士の本分である武芸を忘れてはいけないと、あちこちに町道場ができました。

戦がなくなったとは言え、この時代にはまだ実戦経験がある老将も残っていました。

ある日のことです。稽古をしていて打ち込めば、やたらと腕で打ち込みを止める年老いた士が居り、若い士はその行動に対して意見したそうです。

「腕に当たっておりますので、こちら側が一本とったことになります。」

と。


するとその年老いた士は、

「わしは戦場で度々こうして敵の太刀を籠手で止めてきたのだ。」

と、実戦を知らぬ若い士達と、もはや競技と化した町道場の剣術に一喝したと言います。



鎧の籠手には色々と種類があり、強固な鉄板一枚の鯰籠手もあれば、細い鉄板を並べた篠籠手などもあります。

前者は見るからに敵の太刀を止めることができそうに見えますが、後者は裁断されてしまうか、篠籠手がへしゃげ、腕は折れてしまうだろうと思えます。

しかしながらどちらにおいても、籠手自体の強度ではなく、術が大切であり、しっかりとした術が身につけば、渾身の力で振り下ろされる敵の太刀も、揚々と籠手で受けることができるのです。

ここでは多くを語りませんが、紹介する動画は、今月1日の稽古の様子で、まさに籠手で敵の太刀を止め、敵の太刀を奪うというもの。
いわゆる甲冑組討、甲冑組太刀と言われるものの稽古です。

この形はファンタジーではなく、実戦で本当に使えるものです。