刀が好きでなかったら、僕は今頃左団扇

刀が好きでたまらない。

だから僕は金を稼ぐことができない。

どこぞの刀屋みたいに、自身が営む居合道場で、試斬ばかりをさせ、切る居合、切る道場などと謳って、刀をぞんざいに扱わせ、消耗したら次の刀を売りつける、そんな商売ができたなら、僕は今頃高級車を転がしていることだろう。

いかに刀を傷めないか、それを説いて居合を教え、刀に対する愛情が深ければ深いほど、僕は金持ちにはなれない。

簡易的な包丁研ぎ器を道場に置いて、門弟に刀を研がす輩もいるが、僕には真似できない。

おそらく、僕が刀で金儲けできる日は一生来ないと思う。

金は欲しいが刀に対して下賤になれない。

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