近頃の稽古 | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

近頃の稽古

出発が全日本居合道連盟所属の健康体操居合だった僕。


今の英信流に疑問を抱き、斬れる居合を求め独り研鑽を積み、その後、体術や剣術に関心を抱くようになり、現在に至る…


近頃の稽古で思うこと。


それは…


剣術や体術なくして居合は語れない。


と言うこと。



本来、居合とは、体術、剣術共に極めた者が最後に習得する武術なのだと思う。


それが今はどうだろう?


言い方悪いが、定年退職前や定年退職を迎えた、時間的にも金銭的にも裕福な御仁が、趣味の延長として始め、お金さえ払えばエスカレータ式に取得できる段位に胡坐をかいている。


日本刀への精神性も欠け、ただの健康体操と化した英信流や現代居合に、僕は全く魅力を感じないし、無駄に五段位の印可代金を納めたものだと思うまでに至った。


今現在、英信流やその流れを汲む道場の先生方や門弟の中に、実際に生き残れる、使える居合をできる人がどれ程いることだろうか?


100人居たら、恐らく99人までは素人相手に斬り殺されるのではないだろうか?


何故なら武術ではなく、健康体操だから…


いくら形演武が現代居合の基準に沿って上手であっても、実戦ではそれらは全く使い物にはならない。


先日、長男相手に仕事の休憩時間(現在、長男は美術刀剣 刀心二代目として修業中)に、将平の刀を用いての真剣組稽古をした。

ユーチューブにも掲載したが、三男は幼いながらも以外にガッツがあり、真剣での切り結び稽古も躊躇なくできたのだが、18になる長男は、将平の真剣を手渡す僕に

「お父さん、アホやろ! 木刀でいいやん。なんで真剣で稽古やねん?!?」

と、驚きを隠せずにいた。


確かに木刀でいい。

しかし、木刀では学べないものが真剣での切り結びにはある。


かと言って、これを古い刀で行うのは断固反対!!

古い刀は今の時代では文化財であって、使うものではない!!!


現代刀匠を応援し、未来に現代の名刀を遺すべく、刀鍛冶と共同開発と言うのが一番良い。


話が少々脱線したが、まずはゆっくりと、手順を追って剣術の形稽古。

形であるだけに約束、決まりごとが予め定まっている。


危ういと感じれば、振りを止めるから安心しろと言っても、人間のすることなので、制御がきかないことも考えられ、それ故に怖がる長男。


受け方が悪いと、双方の刀が火花を散らして刃こぼれし、無残な姿となる。刀を無疵で使いこなすことは不可能と言っても良いだろう。

たとえこちらが上手にかわしても、相手の刃筋が狂っていれば、思わぬ刃こぼれを招くし、場合によっては折損しかねない。


剣術稽古は徐々にスピードをあげていく…


後半は全力の7割くらいの速さで切り結ぶ。


手順を間違えれば大怪我どろこの騒ぎではない。


たった10分か15分の稽古だったが、僕も長男も汗でびっしょり。


木刀では学べないものが真剣での切り結びでは学べる。


これは文字通り命がけの真剣だからこそなのかもしれない。


途中何度か火花が散り、流石の将平刀も刃毀れをきたす。


全ては長男の技術の未熟さ故のものだ。


一方僕の刀はさほど大きな傷はついていない。若干の刃毀れはあっても、長男が振るう将平刀とは雲泥の差の小さな刃毀れ。


稽古中、

「怖がるな! 相手の刀を打ち落とそうとするな! ただひたすら真っ直ぐに振れ!」

と檄を飛ばす。


そうして、稽古終盤には、とったはずが長男にとられるという現象が起きる。勿論約束稽古にそってではあるが…


それほど相手の中心を攻めるという攻撃は、実戦で恐ろしいまでの業に変化するのだ。


本当に紙一重である。


少しでも間(タイミングや距離)を間違えると、自分が斬られてしまう。しかし、そのギリギリが、相手に勝てるボーダーラインなのだ。


斬られたと思ったときが勝利の瞬間。



稽古で流す汗とはまた違う、冷や汗交じりの汗。


これまでに藤安将平刀匠と深いお付き合いをさせていただき、作刀研究の役を担わせていただいたからこそ実現できる斬り結びの剣術稽古。

本来なら廉価な武用将平刀であっても、二振で300万を超える出費が必要なものを、将平刀匠の御厚意により、無償で体験することができることは、この上ない居合術家冥利と言えよう。


将平刀での切り結び稽古の後、木刀での稽古で物怖じしなくなるのは必然というもの。


だからだろうか、木刀での稽古が、これまでと違って楽に感じられるまでになった。


文化財の破壊はいけないが、時には信頼のおける現代刀匠の作をもって、切り結ぶ稽古も必要だなと思う。


素材が異なれば使い方も異なる。

真剣だからできること。

木刀だからこそできること。

そう言った現実に直面することができる。


近々将大刀匠の作でも、実用における強度試験を兼ね、ちょっとした荒試しを行う予定。


将平刀匠の技術を、どこまで将大刀匠が受け継いでいるのかが問われる場でもある。

そうした作刀研究に携わることができることを誇りに思う。


古武術としての居合術を研鑽する者として、畳表や青竹斬り専用に造らせた身幅異常なバケモノ日本刀モドキではなく、尋常なる刀姿の強靭な指料を身に帯びたいものである。


※バケモノ身幅の刀?を用いる物頼り御仁とのご縁は、この際整理させて頂こうと思い立ちました。正直、その方々とはネット上とは言え、お付き合いがあることで、同一視されるのが恥ずかしくて仕方ないのです。
益々門戸を狭める僕ですが、近頃益々もって、物切りにやっけになっている切り家(屋)に対して嫌悪感しか抱けなくなりました。
物切りでしか自分をアピールできない御仁の道場?のWEBサイトに掲げてある「実戦」や「実戦刀法」の文字には、蕁麻疹が出そうなほどに生理的拒否反応が出てしまう今の僕だけに、フェイスブックで僕とFBFの方で、身幅尋常ならぬ刀をはじめとした物切り専用刀を用いている人は、この機会に自ら僕とのFBFを解除されたし。








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