日本刀による試斬体験に思ふ… | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

日本刀による試斬体験に思ふ…

日本刀ブームに乗っかって、安易に日本刀による畳表や巻藁試斬体験を売りにするところが増えたように感じます。

人それぞれ考え方が異なるので、様々な意見や思惑があるのでしょうが、僕自身の考えとしては、安易に日本刀を他人に貸与し、ろくな修業もしていないド素人に、物を切らせるのは、正しい日本刀の普及、啓蒙活動ではないと思っています。

日本国内には、およそ300万振程の刀剣類が現存していると言われています。

他国にこれ程までに古い刀が残っている国があるでしょうか?


恐らくないと思います。


では何故我が国にはこれほどの日本刀が現存しているのか?

それは使わなかったからに他なりません。


それが今の時代はどうでしょうか?


畳表を両断できれば強いとか凄いとか勘違いしている人達によって、当たり前のように刀が仮標を両断するための刃物として酷使されています。

近年でどれだけの刀が無意味に消費され、姿を消したことかわかりません。


はじめから存命中の現代刀匠の作を買い求めて使っているなら、現代刀匠を応援することにもなるので目を瞑れますが、予算的に今は古い刀の方が安い時代となっているため、初心者はことさら古い刀を購入して試斬に挑む傾向にあるのです。

まともな腕も無い者が刀を扱えば、どれ程の負担が刀にかかるかは、過去記事でも触れた通りであり、下に御紹介する渓流詩人さんのブログも参考にしていただきたい。


斬り損じ時にかかる刀への負荷 ※過去記事、クリックして是非読んでください。

刃筋 http://blog.goo.ne.jp/kelu-cafe/e/f419bcbbb593a244c0d11dab048b0de8
渓流詩人さんのブログから



近頃の日本刀ブームでは、とりわけ女性ファンが多く、彼女達をターゲットにした試斬体験会もちらほら企画開催されているわけですが、彼女たちに真の日本刀ファンとしての自覚やプライドがあるのなら、正しく刀を学ぶことに力を注いで頂き、結果的に日本刀をぞんざいに扱い、その刀の寿命をも脅かしかねない試斬体験会には出席されないことを切望してやみません。


古の士達ですら、使用することなく大切に遺して来たのに、それをどうして現代人が己の欲のためだけに使い、潰してしまうのか…

安易な気持ちで試斬体験会に参加するのは、刀への冒涜と感じ取ってもらえる心ある刀ファンが増えますように。












関西(大阪豊中・兵庫川西)で古流居合術を学ぶなら、『修心流居合術兵法 修心館』
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