長男の刀剣商修業 | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

長男の刀剣商修業

長男の刀剣商修業




今月から長男が家業である刀剣売買の修業を開始した。

と、言っても、本人は刀剣に全くと言っていいほど興味がない。専門用語もわからなければ何が良い美術刀剣の条件かも全く無知である。

僕が長男に期待するのは、割り切って商売人になりきれる点だ。

何故ならこの仕事、刀好きでは勤まらないからだ。


商売人は商品に惚れてはいけないのだ。


元々、刀剣収集が趣味で、その延長として始めた刀剣商の仕事故に、僕は商品である刀剣に惚れ込み、非売品としている名刀、名槍などがたくさんある。

来店された御客様が譲って欲しいと好条件をつけてきても、断ることもしばしばだ。


また、刀をぞんざいに扱うのがわかっている御客様に、売価1,200万円の名刀の譲渡をお断りしたこともある。


そんな僕に、商売人である父は、

「あほかお前は。売れる時に売るのが商売やろ。どんな名刀であれ、売ってしまったら、それが錆びさせられようが折られようが、それは買った者の自由やろ。1,200万もあったら家族にうまいもん食わせて、旅行にも連れて行ってやれるのに、何をかんがえとんねん。」

と叱咤したが、白兵戦を行わない今の時代、刀剣はもはや工業製品ではなく、貴重な文化財なのだ。

お金を積まれても、相手が気に入らないなら売らない。
大切にしてくれないのなら売らない。
価値が解らないのなら売らない。

そんな風に僕みたいな偏屈者がいなければ、一流刀工の名刀はさておき、二流や三流の名もなき刀工の作は、単なる鉄屑と化してしまう。

だから僕は人並みに生活さえ出来れば、刀剣を守る側の人間であり続けたいと思っている。


話が少々脱線したが、今日、長男にさせる仕事は

習字

である。

文字は人を表すなどとも言われるのに、長男の文字はそれこそ象形文字かと思わせるほど乱筆なのだ。


刀剣を管理する上で、登録証の番号や銘文を荷札に記し、刀剣に結わえる作業を行うため、僕が見ても、また、御客様がご覧になられても、スッキリと読める文字を書けるようにならなければいけない。

習字と言っても手本を並べ、それを見て真似るのではなく、僕好みの書体をワードで打ち、プリントアウトして、それを上からなぞり書きさせるのだ。

長男にとっては退屈で面白くもない作業だろうが、何度も繰り返しなぞっているうちに、自ずと文字の形を覚えることができると考えている。
事実、僕はそうやって習字をしてきた。

先ほど長男には、あかさたなはまやらわのひらがなから、47都道府県、そして家族の名前などをプリントアウトした紙を手渡した。

今から一時間、ずっとなぞり続けろと言い渡して。


刀のことが好きで、自分から修業に飛び込んだ身と異なり、刀のことを何も知らないド素人なので、教育するのには時間がかかりそうだ。












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