4/29の稽古 | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

4/29の稽古

一人五本ずつ、巻藁を使用しての刃筋チェック。

以前このブログで紹介した中学三年生の上西さんが入門したことで、我が娘にもやる気が起きたようです。


この日は上西さんに初めて巻藁を斬らせてみたのですが、日頃から熱心に形稽古しているだけあって、初太刀から実に良く袈裟を斬りました。

この子ならいけるかも…

そう思い、斬り上げを教えてやらせてみたところ、数度の失敗の後、斬ることができました。

それを見た娘は「負けられない」と、これまた上手に斬り上げをして見せてくれまして、これからこの二人の成長が楽しみでなりません。

いつもは試斬台に刺し立てた巻藁を斬るのみですが、この日は趣向を変え、日頃どれだけ真向斬が正しくできているのかを試すべく、希望する門弟に土壇斬をさせました。

土壇斬とは、刀の斬味を試した試刀術の業の一種で、一尺二寸(約36センチ)の高さに築き上げた土壇に、罪人の死体を重ね置き、上から下へ真っ向に斬ると言うもの。

その名残で現在では己が振りの斬撃力を量る意味で、巻藁を横に寝かせて重ね置き、上から下まで何本の巻藁を裁断することができるのかを試します。


以前試させた時には二本も斬れなかった門弟が、今回は四本近く斬ってみせました。着実に腕をあげている証拠です。

長男も楽々と四本裁断。娘は一本半。小学校二年生の三男は半畳細巻きを二本斬りまして、一畳巻きだと一本ちょっと斬りました。

みんな上手になっています。


土壇斬の後はいつものように形稽古。


この日の稽古は門弟のリクエストに応え、初伝形五本目『八重垣』のみを徹底して稽古させました。


まずは三十分程を仮想敵を相手に形稽古させ、残る時間を二人一組になっての稽古。


そうして二人で稽古させながら、時折僕が門弟の業の完成度を確認すべくまわります。

崩し方が悪ければ即反撃して見せ、何故反撃されたのかを考えさせるのです。


これがなかなかに面白く、門弟達は頭を悩ませながらも、実に和やか。時折稽古場には笑い声も響きます。
ふざけていての笑い声ではなく、業をかけられた方が「あれ?何故?」と言ったように、思わず笑い声を出してしまうのです。

武術としての居合術を最初に考案した先人には、本当に頭が下がります。

ちなみに僕の道場での八重垣の稽古法は、他の英信流系道場では恐らく行っていないと思います。

僕自身、吉岡道場で修行していた頃に、この術理を教わったこともありませんし、これまで各分野の数多の先生方の御助力の御蔭で、自分なりに閃き、気づいたものを、一つの稽古法として実践しているからです。

この日も楽しく、また、怪我をすることもなく、充実した稽古ができました。