据斬について | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

据斬について

僕が出演したフジテレビ『ザ・ベストハウス123』で広く知られるようになった『据斬(すえぎり)』ですが、最近youtubeに据斬をアップされる方が増えました。

残念ながら本物の据斬ができている方はほとんどおられません。

今日は据斬と抑え切りの違いについて説いてみます。



ギネスには、武術としての据斬を登録していますので、のんびり歩いて足場を固め、振り下ろして残しても、カウントされないようルールづけしております。


その場で刀だけを振り下ろして斬り残しても、それは単なる物斬りの類で、武術的試斬とは捉えませんので、ギネスで言う『martial arts』にはならないのです。

つまり、速やかなる一足一刀で斬り残して初めて据斬一太刀成功なのです。


身体の前進と振り、そして沈身の三位一体を瞬時に成すことはたやすいものではありません。

更に数ある動画に見られるのが上述の抑え切りですが、刃筋を通し、抵抗なく斬ってのける据斬と異なり、抑え斬りは刃筋の狂いから生じる物理現象の一つで、高度な業が成すものではありません。
そのため素人や経験の浅い修練者によく見られるのです。

どういう物理現象が起きているのかと言いますと、真っ直ぐに振り下ろすことができない、または、振っている途中で刃筋を捻じってしまうような切り方のため、地面に立っている巻藁に対し、斬撃の圧力が真下にかかるため、切った上部だけが落ち、下部は倒れずに残るというもの。

この切り方を続けていると、やがて刀は捻じれ、武器として用を成さない鉄屑と化します。


本物の据斬ができているかどうかを判断するには、地面に立て置いた巻藁を切るのではなく、試斬台に軽く刺した、指で押すとグラグラ揺れるような状態の畳表を斬って、微動だに動かないかどうかで判断できます。


据斬ができたと喜んでおられる方々に、水を差すようで申し訳ないのですが、切り口が真っ直ぐではないもの、また、斬撃の際に「ピュッ」と言った高い音ではなく、「バチン」「ドン」と言った異音がまじっているものは、単なる抑え切りです。


是非、本物の据斬を目指して更なる修練を積んでみてください。