映り(うつり) | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

映り(うつり)

刀剣を趣味にされている方なら

「映り(うつり)」

という言葉をきいたことがあるでしょう。


書籍や押し型ではなんとなく理解できても、いざ実物を見ると、どれが映りなのかよくわからない方も多いはず。

映りは古い刀ほど鮮明に見えるものが多いと言っても過言ではありません。いえ、むしろ古い刀ほど鮮明に現れると断言しても良いでしょう。


この映りと呼ばれる鉄の科学変化がある刀剣は、折れにくく、よく斬れると古来より言われます。


上述のように映りには判然と現れたもの、淡く現れたもの、よくよく見ると映りらしきものが見受けられる程度のものなど様々です。


今日の記事でご紹介する、室町最初期に鍛えられた信國の太刀は、この映りが顕著に鑑てとれる逸品。

平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba-信國 應永元年八月日

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お判りいただけるでしょうか?
刃文と鎬筋の間に、もうひとつ薄い刃文のようなもの、もっとザックリ言えば刀身の地鉄に色のムラのように見えるものがありますよね。

これが映りです。


映りある刀剣はよく斬れ、強い利刀であることは先に述べましたが、仮に骨董屋や刀剣店で、これら映りがある無銘の刀を手に入れたからと言って、斬稽古に使用することは控えてください。

映りある刀は名刀が多く、磨り上げられて今は無銘でも、名のある刀工が鍛えた我が国の文化財です。

然るべき鑑定機関に審査に出し、鑑定書をつけて大切に次の時代に引き継いであげてください。

試斬には現代刀匠を応援すべく、現代刀を存分に用い、斬った時の感触や刃の粘りなど、つぶさに刀工に教え、現代の名刀作りに一役買うことこそ、現代に生きる武道家の務めだと思います。


今日の記事でご紹介した信國にご興味ある方はこちらから詳細をご覧下さい。