皆様ご心配をおかけしました | 平成の侍 町井勲オフィシャルブログ『居愛道』Powered by Ameba

皆様ご心配をおかけしました

ペタしてね



先ほどの記事で心配してくださった皆さん、本当にありがとうございます。

あまりにも不条理なことを言われ、凹んでしまってました。


どうして片側からの話ばかりを聞き、両者から公平に話を聞こうとしないのでしょう。

話を聞いてくださいとお願いしても、聞く耳をもってくれようとはしないのは何故でしょうか…

これからの将来がある方のことを想い、多少のことには言い訳をせず敢えて悪者にされるを良しとしてきた相手への甘さは、私への悪い噂の膨張という仕打ちに変わってしまったのです。

弁明をせずに、私だけに悪い噂がたつのならば、元は私が絡んだ事でもありますから敢えてそれに甘んじます。

ただ、こうした悪い噂が一人歩きし、私を信頼して仕事を任せて下さるお客様や、そこに生活をたてている私の家族にまで影響を及ぼしかけている以上、ここにせめてもの説明という事実を残させて頂きます。


数年前、とある鞘師さんに現代刀の拵を作ってもらっていました。お客様がその刀に興味を持たれ、見たいとおっしゃって下さったものですから、鞘師に連絡して、作業途中ではありますが、一旦返送してもらえないかとお願いしました。

すぐに刀が返送されてきたのですが、開封して鞘から抜いてみると刀の表裏の全面に指紋形に赤茶色の錆が発生していました。

元々研ぎあがった刀に拵を作ろうとしていましたので、鞘を作る際に小さなヒケ疵が入るかもしれないくらいの覚悟はしていましたが、完全な錆身になっているとは思ってもみませんでしたので、大変なショックを覚え、お客様への弁明に追われました。

原因は作業の途中そのままで梱包してしまったことによるもので、これは刀身に錆止め油を塗り忘れた鞘師の明らかなミスです。

職人さんには良い仕事をしてもらいたい。互いに良い関係、信頼関係を築きたいと思っている僕は、普段から職人さん達には「いつも仕事を請けてくださってありがとうございます。」という意味合いからも、贈り物などをもしながらに良好な間柄を保つことに気を配り、決して自ら因縁をふっかけるようなことはしません。

しかし、あまりにも単純な配慮の無さによって生まれた損害に、プロとしてはっきりと物をいわなければならなかったのです。


ちょっとした小さな錆なら目を瞑って内々に処理もしますが、この時の錆は元から先まで表裏全身。当たり前のことながら研ぎ直すには、数十万という高額な研磨代が発生します。

僕も嫁・子供を養っていかなければならない身。
これまでも互いの友好関係を良好に保とうと、過去にあったこの鞘師さんからの、金具を紛失されたり傷をつけられたりといった度重なる損害を、僕が自腹をきって埋めてきたという努力も、額が額だけにこのときばかりは及ばなかったのです。

事情を説明し、
「申し訳ありませんが、今回ばかりは研磨代を頂けませんでしょうか。」
と、当然請求すべき代金を請求したところ、「今後町井さんの仕事はお請けできません。」と一方的にご縁を絶たれてしまったのです。

縁は切れたものの、鞘師もちゃんと弁済はして下さり、公にする必要性も感じませんでしたが、日頃苦々しく思われていたのかも知れません。
今、その事実は一方からの話側ばかりに悪いように尾鰭がつきまくり、

「町井は最初は人当りが良いが、段々と本性を出してえげつないことをしてくる。」
「町井の仕事を請けると、難癖をつけられ、金をとられる。」

といった悪い噂になって一人歩きしていたようなのです。


以前から薄々人伝えに聞き、その時にはその話をされた方にだけ、

「事実はそうではないのです。」

と最低限の事情を説明させていただいてはおりました。


この一件以外にも、このような仕事をしていましたら、職人さんとのトラブルはいくつかあります。

無理難題を押し付け弁済を求めるようなことや、悪徳な商いをやったことなど、誓って一度もやってはいませんが、何かにつけてこのように悪い噂が一人歩きしているのかも知れません。

お客様からお預りしている御刀に傷をつけられれば、それを弁済してもらうのは当然のことだと思います。
それは、個人・業者にかかわらず当然のことだと信じます。

金銭にかかわることですから、それで職人さんが気分を害することもあるでしょうが、ミスを犯した職方の名を出さず、ただひたすら店の責任として、不名誉は僕の顔で、お客様からのお叱りを受けるのです。

執拗なまでに責任を追及され、職人が弁済した金額以上の弁済をしてきたのです…

あまりにも一方の都合のいいように話が広まってしまい、僕を信頼して下さる方々に対しましても、何らかの不名誉が及ぶ可能性も感じたため、実名を挙げてでも弁明したい気持ちがありますが、ここではやはり敢えてそれをやらないことを僕の意地とします。


今日、僕が凹んだ理由は、高名な某職方に、一方的な悪い噂しかきかぬまま、「君は評判が悪いからつきあいたくない。」と言われたからです。

弁明しように聞いてはいただけず、
「君から話を聞く義理はない。君は売名行為ばかりして気に入らない。千本斬ったかなんかしらないけど、刀でボールを斬るような人と付き合いたくない。」
とまで言われました。


売名行為って何ですか?
ボールの居合斬りにしても、家族を養う立場の人間としてギャラをもらい、仕事として請負いながら、更には純粋に自分の居合の可能性にチャレンジしただけのことです。
他人様がなんと言おうと、斬った自分を誇りに思います。

それに、武術としての居合を目指して修練する上において、その技術で名を挙げることは、なんら悪いことではありません。
自分の居合の可能性を探るべく、ボール居合斬りを請け負ったことを咎められるのであれば、
ハエを箸で摘んだ宮本武蔵に、箸は飯を食うための道具であって、ハエを摘む道具じゃない。
刀を使って碁盤を作る伝統工芸職人に、刀は戦いのための道具であって、碁盤に線を刻むための道具じゃない。
と、ありとあらゆることに対し難癖をつけるのでしょうか?

「刀で兜を斬るなど、古い時代のことを再現するならまだしも」

とも言われましたが、古い形や斬る物質に固執することだけが立派なことでしょうか?


職方に迷惑をかける行為ばかりしているのなら、お付き合いを断られてもしかたありませんが、この世界ではありがちな代金の支払いのトラブル等に関しても、僕は非常に綺麗な取引をする人間です。


色眼鏡を通してではなく、曇りなき眼でしっかりと僕と言う男を見て欲しいものです。

少なくとも僕は、噂だけで他人様を判断するようなことはしません。


皆様、ご心配をおかけ致しました。