槍
馴染みのお客様が昨日槍を持ってこられました。
最近入手したものらしいのですが、手放すということで、買い取りました。
銘はしっかりとして良いものでしたが、長らく放置された槍の中心というのは、樫の木のタンニンのせいでしょうか、あまり状態の良いものはみかけませんね。そのためなのか、槍の中心には透漆を塗って保護してあるものもまま見かけます。
穂先の形状やケラ首など、仕立が丁寧でしっかりしているため、在銘に違いないと判断したお客様は、銘を見たいという焦りから、抜けない穂先を抜くために、折角の柄を切断してしまわれました。
口金などの金具類も、ペンチで挟んで潰してしまったために再生不可。
穂先を傷つけるくらいなら柄を切ってしまえと判断されてのことですが、世の中にはこういった柄から抜けない中心を、刀身も柄も疵を付けることなく、上手に抜く職人さんがいらっしゃいます。
本日御持参頂いた切断された柄や鞘、鞘の皮覆など、頗る状態が良く、銀着せの金具でしたので、焦りから切断されたことが悔やまれてなりませんでした。
中心を見たい
というお気持ちは解りますが、『餅は餅屋』という言葉もあるように、決して無理はせず、専門の職方に任せてください。刀剣類は単なる武器ではなく、魂を象徴する大切な文化財です。自然災害以外の人為的な行為で、それらの命を断ってしまうことだけは避け、是非とも製作された当時の姿に近いままで、次の時代に伝えていけるよう、刀剣商・骨董商のみならず、愛好家の皆様も是非お心がけください。