ちょっと前の話になるけど、9月7日にIFAW「国際動物基金」のイベントに出演させて頂いた。


象牙というと、印鑑しか頭に浮かばなかったが、昔はピアノの鍵盤、三味線の撥、ビリヤードの玉なんかにも使われたいたことがあったらしい。


旧約聖書の時代から「象牙の塔」という言葉があるように、かつては世界中で珍重されていたが、今は、日本と中国に、需要が集中している。


1989年のワシントン条約締結によって、事実上、象牙の貿易は終焉したはずだったが、その後、象の数が増えたことを理由に、1999年に、一定の条件下で輸入が再開された。でも、ルールを守らない密猟者の間で、乱獲が促進してしまったことから、象牙の取引は再び中断された。


ところが、2007年6月、取引が再開されることになった。今度は、中国も競売に参加できるようになったらしい。中国の経済成長と、需要を考えると、象牙の価格は高騰すると思われる。価格の高騰が、密猟を促進させないか、心配だ。


取引される象牙は、自然死した象、人や家屋に危害を加える凶暴な象を殺して採取されたもの限られるというが、それこそ、密猟者に、都合のいい口実を与えてしまうことにならないか、心配だ。


アフリカゾウの個体数はかつて数百万頭を数えたが、現在は50万頭に減ってしまった。そして毎年約2万頭が密猟の被害にあっているという。かつては中国にもいた象が、象牙をとる目的のために殺されてしまい、すでに唐の時代には、中国からいなくなってしまったという。もしかしたら、アフリカから象がいなくなってしまうのも、時間の問題かもしれない。


ヒトは、象との共生を真剣に考えないといけない時期にきている。


密猟は、貧困が原因でもある。金に困ってなきゃ、密猟なんてしないだろう。


有名なアフリカンソングに「マライカ」(スワヒリ語で天使という意味)という曲がある。

「天使」という意味から、日本ではラブソングと思われているが、実際は、金がなくて好きな娘と結婚できない男の哀歌で、貧困をテーマにした歌なんだ。


密猟者の気持ちを想ったとき、マライカの歌詞が頭に浮かんだ。

ケニアの活動家ワミチ氏は、事前に僕と打ち合わせをしたわけでもないのに、僕がマライカを歌ったところ、スピーチで「マライカ」の歌詞に触れ、「貧困」について語ってくれた。僕は英語が得意じゃないから、ワミチ氏との言葉でのコミュニケーションは限られていたけれど、音楽は、言葉以上にメッセージを伝えてくれたみたいだった。