生コン試験係養成講座シリーズです。

今回は、試験設備の点検・校正(3)についてです。

試験設備の点検・校正(3)

 

JISQ1001 適合性評価-日本産業規格への適合性の認証-一般認証指針(鉱工業品及びその加工技術):2020の附属書B(規定)品質管理体制の審査の基準 B.1 審査の基準(A) 4 ホ に「製造設備又は加工設備及び検査設備について、点検、検査、校正、保守等が社内規格に基づいて適切に行われており、これらの設備の精度及び性能が適正に維持されていること」と規定されておりますので、各JIS認証工場であれば社内規格に試験設備の点検・校正について規定されていると思います。

 

今回は、空気量試験器具の点検・校正です。

 

空気量試験(JIS A 1128)で使用する器具は、次の通り。

 

  • エアメータ
  • 突き棒

エアメータ

 
JISA1128 には次のように規定がある。
 

a) 空気量測定器は,図1に示すようにコンクリートと蓋との間の空間に注水して試験するように造られたものとする。無注水法によって測定する場合は,注水しないで試験するように造られたものを用いてもよい。

b) 容器は,フランジ付きの円筒状容器で,その材質はセメントペーストに容易に侵されないものとし,水密で十分強固なものとする。また,容器の直径は,高さの0.75〜1.25倍に等しくし,その容積は注水して試験する場合(注水法)は少なくとも5 Lとし,注水しないで試験する場合(無注水法)は7 L程度以上とする。 さらに,容器はフランジ付きで蓋と高圧下で密封される構造となっているものとし,内面及びフランジの上面を平滑に機械仕上げしたものとする。 

c) 蓋は,フランジ付きでその材質は容器と同様にセメントペーストに容易に侵されないものとし,水密で十分強固なもので,注水口及び排水(気)口を備えていなければならない。蓋の下面及びフランジの下面は,平滑に機械仕上げしたものとする。 

d) 蓋の上部には,容器の約5 %の内容量をもつ空気室を取り付ける。 空気室は,圧力調整口,空気ハンドポンプ,圧力計及び作動弁を備えていなければならない。 なお,作動弁は,蓋と容器とを組み立てた場合に,100 kPaの圧力で空気及び水が漏れず,通常の使用圧力下において空気量の目盛で0.1 %以下の膨張に抑えられる剛性をもつものでなければならない。さらに,空気室内の高圧の空気を容器に噴出し,かつ,空気室に水が浸入しないような構造でなければならない。 

e) 圧力計は,容量約100 kPaで1 kPa程度の感度のものとする。その目盛板の直径は9 cm以上とし,容器中の空気量に相当する圧力の点に空気量の分率(%)(5.4参照)を少なくとも8 %まで目盛り,また,初圧力(5.3参照)を明示したものとする。

f) キャリブレーションのため,必要な水量を簡単な操作で器外に取り出せるような器具(長さ50 mmのキャリブレーションパイプ,延長チューブ,図2参照)を用意する。

 

図1はエアメータの横から見た図となっています。

 

エアメータはキャリブレーションしなければなりません。

 

JIS A 1128 5.測定器のキャリブレーションに規定されています。

 

(1)ふたと容器の質量、容器の質量(①)及びガラス板の質量(②)を1gまで量る。


(2)容器に水を満たし、質量(③)を1gまで量る。

  (注)この時、ガラス板と容器の間に空気が入らないように注意する。


(3)用いた水の温度を測定する。(④:試験温度における水の密度) 

温度

(℃)

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

密度

(g/㎝3)

0.9991

0.9989

0.9988

0.9986

0.9984

0.9982

0.9980

0.9978

0.9975

0.9973

0.9970

 

(4)容器の容積を算出する。
      容器の容積 = { ③ - ( ① + ② ) } ÷ ④ 


(5)容器に水を満たし、ふたの表裏を通気できるようにしておいて、静かにふたを容器に取り付ける。


  (注)下部キャリブレーション・パイプはこの際にふたに取り付けておく。


(6)無注水法の場合は、あらかじめ満水の質量を量り(3.参照)、容器にふたを取
り付けた後に、その質量だけ注水する。(満水の状態でふたをすると水がこぼれるため)


(7)注水法の場合は、容器にふたを取り付けた後に、排気弁を開け、ふたの裏側と
水面との間の空気排気排水口から追い出されるまでペットコックから注水する。


(8)すべての弁を閉じ、空気ハンド・ポンプで空気室の圧力を初圧力(IPL)よりわずかに大きくする。約5秒後に調圧弁を徐々に開いて、圧力計の指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。無注水の場合は赤目盛、注水の場合は黒目盛を用いる。


(9)圧平衡弁作動レバーを十分に押し、空気室の気圧と容器内の気圧とを平衡させて圧力計を読み、その読みが空気量0%の目盛と正しく一致するかどうかを調べる。これが一致しない場合には、空気及び水の漏れの有無、その他を点検した後、キャリブレーションを繰り返す。2~3回繰り返したとき、圧力計の指針は同じ点を指すが、ゼロ点に一致しない場合には、初圧力の目盛の位置を、指針がゼロ点にとどまるように移動する。この後操作を繰り返し、初圧力の目盛の位置が適切であったかどうかを確かめること。


(10)初圧力のキャリブレーションに、引き続いてペットコックに上部キャリブレーション・パイプを取り付け、ペットコックを開き容器内の水を容器の容量の2%だけとりだす。取り出す水は、キャリブレーションパイプの先に置いたメスシリンダーにて受けて量る。メスシリンダーの容積が校正されていない場合は、校正された秤で量り取った水の質量を測定し、質量から容積に換算する。

 

【参考】容器にかけられた圧力を利用して水を取り出すため、初めのうちは一度に2%分の水を取り出すことができない。水が取り出せなくなったら、全ての弁を閉じ、空気ハンド・ポンプで空気室の圧力を上げて、圧平衡弁を開き、容器内に圧力をかけて水を取り出す。


(11)排気排水口を開き容器内の気圧を大気圧に等しくした後、すべての弁を閉じ、
空気ハンド・ポンプで空気室の圧力を初圧力(IPL)よりわずかに大きくする。約5秒後に調整弁を徐々に開いて、圧力計の指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。約5秒後に圧平衡弁作動レバーを2~3回押し下げ圧力計の指針を平衡させ指針を読みとる。
注) 圧力計を読む場合には、圧力計の針が安定するよう、毎回圧力計を指で軽くたたいてから読む。
 

(12)以後、容器の容量の2%ピッチ(4・6・8%)で前記の(10),(11)項の操作を繰り返し、それぞれの場合の空気量を読み取る。

 

10%まで行っている場合も見ますが、10%を超える目盛りがないため、確認できません。よって10%は確認する必要はないです。
 

(13)取り出した水量の容器の容量に対する百分率と空気量の目盛とを比較する。これらの値がそれぞれ一致しているときには、空気量の目盛は正しい。
 

(14)許容範囲は、理論値と指示値の差が2目盛り以内としている工場がほとんどです。よって2~6%は±0.2%、8%はー0.2%、+0.4%となっていることが多いと思います。

 

日常点検では、コンクリートの付着、ポンプの作動状態、空気漏れの有無を点検します。

 

 

突き棒

 

JISA1101には次のように規定がある。
 

突き棒は,直径16 mm,長さ500 mm〜600 mmの鋼などの金属製丸棒で,その先端を半球状とする。

 

検査する要件としては、

  • 直径16mm
  • 長さ500mm~600mm
  • 先端が半球状
直径はノギスを使用して測定します。
長さは金属製直定規で測定します。
先端の形状は目視検査です。
 

許容差は直径に関してのみ±0.5mmか±1mmとしている工場が多いと思います。

(ISOでは±1mm)

 

しかし、JISでは、定期的に寸法を測定することを求めていません。

(確かに直径も先端が半球状でなくなれば直径も満足しなくなるので、交換になりますし、長さも許容範囲が100mmもあるので、先端の半球状だけ日常的に点検しておけば、問題ないと思います。)

 

 

日常点検では、コンクリートの付着や、損傷、変形の有無がないかを点検します。

 

 

 

基本的には日常点検が重要です。使用前によく確認してから使用しましょう。

 

 

空気量試験器具の点検・校正の解説は以上になります。

 

次回は、試験設備の点検・校正(4)圧縮強度試験用型枠についてです。


 

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