生コン試験係養成講座シリーズです。

今回は、強度試験用供試体の作製方法(圧縮)についてです。

強度試験用供試体の作製方法(圧縮試験用供試体)

 

JIS A 1132:2020 コンクリートの強度試験用供試体の作り方を確認すると、 

  1. 適用範囲:コンクリート強度試験用供試体の作り方について規定する
  2. 引用規格:試料採取方法、各強度試験方法、振動機等
  3. 用語及び定義:スペーディング
  4. コンクリート試料:JISA1138によって作るか、JISA1115によって採取する
  5. 圧縮強度試験用供試体
  6. 曲げ強度試験用供試体
  7. 割裂引張強度試験用供試体
  8. 型枠の取外し及び養生
  9. 供試体の運搬
  10. 報告

これらが規定されています。

 

3.用語及び定義

スペーディング:コンクリート試料と型枠の側面及び端面とが接する面に,金属製のへら又は類似の器具を挿入し,上下しながらコンクリートと型枠面とのなじみを良くし,大小の気泡を取り除くこと。 

 

曲げ強度試験用供試体を作製するときに、この作業があります。

5.圧縮強度試験用供試体

5.1 供試体の寸法 

供試体は,直径の2倍の高さをもつ円柱形とする。その直径は,粗骨材の最大寸法の3倍以上かつ100mm以上とする。供試体の直径の標準は,100 mm,125 mm,150 mmとする。 

注記 粗骨材の最大寸法が40 mmを超える場合には,40 mmの網ふるいでふるって40 mmを超える粒を除去した試料を使用し,直径150 mmの供試体を用いることがある。ここで,40 mmの網ふるいとは,JIS Z 8801-1に規定する公称目開き37.5 mmの網ふるいのことをいう。

 

5.2 器具 

器具は,次による。 

a) 型枠は,非吸水性でセメントに侵されない材料で造られたものとする。 

 

b) 型枠は,供試体を作るときに漏水のないものとする。また,幾つかの部品からなる型枠の場合,その継ぎ目には油土,硬いグリースなどを薄く付けて組み立てる。 

 

c) 型枠は,所定の供試体の精度が得られるものとする1)。 

注記 型枠は定期的に精度の確認を行うものとする。 

注1) 試験の目的によっては,精度の確認された型枠を使用する場合,5.5 a)〜d),6.4 a)〜c) 及び7.4 a)〜b) を省略してもよい。 

 

d) 型枠の内面には,コンクリートを打ち込む前に鉱物性の油又は非反応性の剝離剤を薄く塗る。 

 

e) 突き棒を用いて締め固める場合,突き棒は,先端を半球状とした直径16 mm,長さ約500〜600 mmの丸鋼とする。 

 

f) 内部振動機によって締め固める場合,振動機はJIS A 8610による。振動機の棒径は,供試体の最小寸法の1/4以下2) とする。 

注2) 直径100 mmの供試体の場合,棒径28 mmを用いてもよい。 

 

g) 振動台式振動機によって締め固める場合,振動機はJIS A 8611による。 なお,振動台式振動機又はその他の方法によって締め固める場合,対象となるコンクリート試料を十分締め固めることのできる性能のものとする。

 

5.3 コンクリートの打込み 

5.3.1 コンクリートの詰め方 

コンクリートは,2層以上のほぼ等しい層に分けて詰める。各層の厚さは,160 mmを超えてはならない。 

 

5.3.2 詰め方の方法 詰め方の方法は,次による。

a) 突き棒を用いる場合 

各層は少なくとも1000 mm2に1回の割合で突くものとし,すぐ下の層まで突き棒が届くようにする。(直径100mmの場合:8回、直径125mmの場合:12回)突いて材料の分離を生じるおそれのあるときは,分離を生じない程度に突き数を減らす。 突き終わった後,型枠側面を木づち(槌)で軽くたたく等して,突き棒によってできた穴がなくなるようにする。 

 

直径100mmの場合:50×50×3.14=7850mm2÷1000mm2≒8

直径125mmの場合:62.5×62.5×3.14=12265mm2÷1000mm2≒12

 

b) 内部振動機を用いる場合 内部振動機は,コンクリート中に鉛直に挿入する。最下層を締め固める場合は,型枠底面から約20 mm上方の深さまで突き入れる。最下層以外を締め固める場合は,すぐ下の層に20 mm程度差し込むようにする。 振動締固めは,大きな気泡が出なくなり,大きな骨材の表面をモルタル層が薄く覆うまで続け,その後ゆっくりと引き抜く。 振動機を抜き終わった後,型枠側面を木づち(槌)で軽くたたく等して,振動機によってできた穴がなくなるようにする。 

 

c) 振動台式振動機を用いる場合 型枠は振動台に取り付けるか,強固に押し当てる。振動締固めは,大きな気泡が出なくなり,大きな骨材の表面をモルタル層が薄く覆うまで続ける。振動のかけすぎは避けなければならない。

 

5.3.3 上面のならし 

型枠の上端より上方のコンクリートは取り除き,表面を注意深くならす。 キャッピングを行う場合は,コンクリート上面が,型枠頂面から僅かに下になるようにする。

 

キャッピングの厚さが供試体直径の2%を超えてはならないので、下げすぎないようにしてください。

 

直径100mmの場合:100mm×2%=2mm
直径125mmの場合:125mm×2%=2.5mm

 

5.4 供試体の上面仕上げ 

5.4.1 キャッピングによる場合 

キャッピングは,次による。 

a) キャッピング用の材料は,コンクリートによく付着するもので,かつ,コンクリートに悪影響を与えるものであってはならない。 

 

b) キャッピング層の圧縮強度は,コンクリートの予想される強度より小さくてはならない。

 

c) キャッピング層の厚さは,供試体直径の2 %を超えてはならない。 なお,参考として供試体のキャッピング方法を附属書JAに示す。

 

5.4.2 研磨による場合 

研磨によって上面を仕上げる場合は,コンクリートに悪影響を与えないように行う。

 

5.4.3 アンボンドキャッピングの場合 供試体打込み時に硬化後の平面度3) が2 mm以内になるように仕上げなければならない。この供試体を強度試験に適用する場合には,JIS A 1108の附属書A(アンボンドキャッピング)による。 

注3) ここでいう平面度は,平面部分の最も高い所と低い所とを通る二つの平行な平面を考え,この平面間の距離をもって表す。

 

5.5 供試体の形状及び寸法の許容差 

(省略)

 

6.曲げ強度試験用供試体

(省略)

7. 割裂引張強度試験用供試体

(省略)

8.型枠の取外し及び養生

型枠の取外し及び養生は,次による。 

a) コンクリートを詰め終わった後,その硬化を待って型枠を取り外す。型枠の取外し時期は,詰め終わってから16時間以上3日間以内11) とする。型枠を取り外すまでの間,衝撃,振動及び水分の蒸発を防がなければならない。 

注11) 基本的には硬化コンクリートに悪影響を及ぼさない範囲とする。 

 

b) 供試体の養生温度は,20±2 ℃とする。ただし,試験の目的によって特に定めた条件のある場合には,その条件による12)。供試体は,型枠を取り外した後,強度試験を行うまで所定の状態13) で養生を行わなければならない。水中で養生する場合は,絶えず新鮮な水で洗われるような状態にしてはならない。 

注12) 20±2 ℃以外の温度で養生する場合は,養生中の温度を記録しておく。

注13) 供試体を湿潤状態に保つには,水中又は湿潤な雰囲気中(相対湿度95 %以上)に置くとよい。

 

9.供試体の運搬

供試体の運搬中は,所定の養生状態が保たれるようにする。強度試験を行うまで湿潤状態で養生する場合には,供試体が乾燥しないようにする。 

 

10.報告

(省略)

 

附属書JA (参考) 供試体のキャッピング方法

コンクリートを詰め終わってから適切な時期1) に上面を水で洗ってレイタンスを取り去り,キャッピングを行うまで十分に吸水させて水を拭き取った後セメントペースト2) を置き,押し板で型枠の頂面まで一様に押し付ける。キャッピングの厚さはできるだけ薄くし,押し板とセメントペーストとが固着するのを防ぐため,押し板の下に丈夫な薄紙などを挟む。 なお,アルミニウム粉末を混入したセメントペースト3) を使用してキャッピングを行う場合には,圧縮強度に悪影響がないことを確認するとともに,押し板が浮き上がらないように重しを載せる。 

 

注1) 硬練りコンクリートでは2〜6時間以後,軟練りコンクリートでは6〜24時間以後とするのがよい。 

注2) 水セメント比を27〜30 %とし,使用する約2時間前に練り混ぜ,水を加えずに練り直して用いる。 

注3) 水セメント比を27〜30 %とし,アルミニウム粉末・混和材料を添加し,自由膨張量が10〜12 %程度となるように定めるのがよい。この場合,練置きしないで使用することができる。

 

 

ぜひ、試験方法を見ながら実践して下さい。

 

供試体を作製する上での注意事項

  • 試料は均一なものを使用する。例えば供試体を3本作製する場合、3本とも同じ試料が供試体に投入されるように観察しながら投入する。(モルタル量、粗骨材量が同じになる。供試体の質量を測定したときに全て同じ質量になる等)
  • 作製した際に天端を少し下げますが、スランプや単位水量、使用混和材によってブリーディングが違います。作製時に下げる量が2mmだったとしても、その後のブリーディングによって3mmや4mmにさらに下がってしまいます。
  • 供試体を作製したのちに、硬化する前に移動するとタイミングによって強度が低下することがあります。気を付けましょう。
  • キャッピングのセメントペーストは水セメント比が27~30%と規定されています。通常は28%ぐらいでよいと思います。季節によっては30%で用意して2時間後にちょうど良い軟度になると思います。自分のやりやすい水セメント比で行いましょう。
 


コンクリートの強度試験用供試体の作り方(圧縮)の解説は以上になります。

 

次回は、コンクリートの強度試験用供試体の作り方(曲げ)についてです。


 

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