生コン試験係養成講座シリーズです。

今回は、コンクリート温度測定についてです。

コンクリート温度測定方法

 

JISQ1011:2024には、コンクリート温度の検査頻度は規定されていません。

 

JIS A 1156:2014 フレッシュコンクリートの温度測定方法を確認すると、 

  1. 適用範囲:コンクリートの温度測定方法について規定する
  2. 引用規格:試料採取方法、温度測定方法通則
  3. 試験用器具:温度計、容器
  4. 試料:JIS A 1115によって2L以上採取
  5. 測定方法
  6. 測定結果
  7. 報告

これらが規定されています。

 

3.試験用器具

a) 温度計 

温度計は,接触方式の温度計とし,0〜50℃の測定範囲の目量が1℃以下のものとする。なお,温度計の校正は,JIS Z 8710に規定する「接触式温度計の校正方法」によって行う。 

備考 接触方式とは,測定対象と温度計の検出部(感温部)とを物理的によく接触させて同じ温度に保ち,温度を測定する方法をいう。また、温度計の検出部とは,測定対象に接触し,その温度と同一温度になるべき部分をいう(JIS Z 8710参照)。 

 

b) 容器 試料を受ける容器は,水密なものとし,内径(一辺)および高さが14㎝以上かつ容量が2L以上とする(1)。 

注(1) 容器として一輪車を用いてもよい。

4.試料

試料は,JIS A 1115の規定によって2L以上採取する。

5.測定方法

a) 試料を容器に入れ,直射日光や風などが当たらない平らな場所に静置する。 

 

b) 温度計は,容器の中央部からほぼ垂直に挿入する。その際,温度計の検出部全体が試料に浸没するまで挿入する。温度計を挿入した後,温度計周囲の試料表面を軽く押し均す。 

 

c) 温度計は,示度が安定するまで静置し,試料に挿入した状態で示度を読み取り記録する。 参考 各温度計の取扱い方法は附属書(参考)による。 

 

附属書(参考)温度計の取扱い方法

1. ガラス製棒状温度計による測定 

 

ガラス製棒状温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度測定を行う場合は,JIS Z 8705(ガラス製温度計による温度測定方法)によって行う。 

 

ガラス製棒状温度計は,JIS B 7411(一般用ガラス製棒状温度計)に規定される全浸没温度計または浸没線付温度計を用いる。 

 

全浸没温度計を用いて温度測定を行う場合には,JIS B 7411の4.2項に従い,その液柱頂部がフレッシュコンクリートの表面と同一面又は2目盛以上,上方にならないように挿入する。 

 

浸没線付温度計を用いて温度測定を行う場合は,球部(ガラス製棒状温度計の先端部分で,感温液が封入されている部分)から浸没線までをフレッシュコンクリート試料中に挿入するとともに,その時の挿入深さは60mm以上とする。 

 

温度計の示度の読み取りは,上記条件に従って温度計をフレッシュコンクリートに挿入し,両者が熱的平衡に達した後,目盛面に垂直な方向から見て行う。

 

なお,熱的平衡に達するまでの時間(示度が安定するまでの時間)は,2分以上とする。 

 

全浸没温度計を感温液柱の一部を露出した状態で使用する場合,又は浸没線付温度計を正しくない浸没状態(浸没線まで挿入していない状態)で使用する場合には,温度計の示度に大きな誤差を生じることがあるので,浸没条件を満足しなければならない。 

 

なお,温度計破損による怪我や試料へのガラス片混入等を防止するため,保護管の使用,又は飛散防止シート付きの温度計を使用することが望ましい。

 

2. 抵抗温度計等による測定 白金抵抗温度計やサーミスタ温度計等の抵抗式測温体による温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度測定を行う場合は,JIS Z 8704(温度測定方法−電気的方法)によって行う。

 

抵抗温度計は,JIS C 1603(指示抵抗温度計)などのJIS C 1604(測温抵抗体),JIS C 1606(シース測温抵抗体)及びJIS C 1611(サーミスタ測温体)に規定された抵抗式測温体を用いたものとする。

 

温度計の示度の読み取りは,検出部をフレッシュコンクリートに挿入し,両者が熱的平衡に達した後に行う。なお,その時の挿入深さは,ガラス製棒状温度計による測定と同様,60㎜以上とする。

 

3. 熱電温度計による測定 熱電温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度を測定する場合は,JIS Z 8704(温度測定方法−電気的方法)によって行う。

 

熱電温度計は,JIS C 1601(指示熱電温度計)などのJIS C 1602(熱電対)及びJIS C 1605(シース熱電対)に規定された熱電対を用いたものとする。

 

温度計の示度の読み取りは,検出部をフレッシュコンクリートに挿入し,両者が熱的平衡に達した後に行う。なお,その時の挿入深さは,ガラス製棒状温度計による測定と同様,60㎜以上とする。 

 

1.ガラス製温度計は、工場で比較的使用されている50℃まで測定できるアルコール温度計ですが、本来はアルコール温度計は精度が悪いため、使用には適していません。しかし、現在はアルコール温度計をしている工場が多いため、一応認められています。

 

2.抵抗温度計、3.熱電温度計は、一般的に使用されているデジタル温度計になります。認証に係る製品検査を行う場合は、校正証明書を入手して国家標準へのトレースができるようにしておきましょう。

 

 

d) 試料の採取から示度を読み取るまでの時間は,5分以内とする。

6.測定結果

温度は,1℃単位で表示する。

 

7.報告 

報告は,次の事項について行う。 

a) 必ず報告する事項  

1) 日時 

2) 天候 

3) フレッシュコンクリートの温度(℃) 

4) 温度計の種類 

5) 容器(種類と容量) 

6) 温度測定場所(屋内または屋外) 

b) 必要に応じて報告する事項  

1) バッチ番号または運搬車番号 

2) 試験室の温度または気温(℃) 

3) 温度計の校正年月日

 

ぜひ、試験方法を見ながら実践して下さい。

 

注意点としては、通常しているガラス温度計は全浸没温度計になります。予想温度の指示位置までコンクリートに差し込む必要があります。

 

容器の寸法が内径及び高さが14㎝以上で2L以上の要求があります。使用している寸法や容量に注意して下さい。現場の試験で以前は、温度計をスランプに挿しているのをみたことがあります(さすがに最近では見なくなりましたが…)。写真で間違った測定方法の証拠を残すことになるので注意して下さい。

 

また、コンクリートに差し込んだ後に、「温度計を挿入した後,温度計周囲の試料表面を軽く押し均す。」をしている人を見たことがありません。

 

それでも監査や審査は通用していますが(JISA5308の要求品質ではないからとは思いますが…)、社内規格でこのJISA1156で測定を行うと決めた以上はその測定方法で実施してほしいと思います。


コンクリートの温度測定の解説は以上になります。

 

次回は、コンクリートの塩化物含有量測定(カンタブ)についてです。


 

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