生コン試験係養成講座シリーズです。
今回は、空気量試験(JISA1128)についてです。
空気量試験方法(JISA1128)
JISQ1011:2024には、空気量の検査頻度が規定されています。
管理項目 | 測定頻度 |
---|---|
製品検査 | 必要に応じて試験を適宜行う |
工程管理 | 1回以上/午前、1回以上/午後 |
JIS A 1128:2020 フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法-空気室圧力法を確認すると、
- 適用範囲:コンクリートの空気量試験方法について規定する
- 引用規格:試料採取方法、コンクリートの作り方
- 器具:空気量測定器、振動機、突き棒
- 試料:JIS A 1115によって採取,又はJIS A 1138によって作製
- 測定器のキャリブレーション
- 骨材修正係数の測定
- コンクリートの空気量の測定
- 計算
- 報告
これらが規定されています。
5.測定器のキャリブレーション
これは、エアメータの校正方法で別に解説します。
6.骨材修正係数の測定
骨材修正係数の測定は,次のとおり行う1)。
注1) 骨材修正係数は,骨材が異なると変わる。通常,同一のロットの骨材では一定としてよいが,随時試験によって確認することが推奨される。
a) 空気量を求めようとする容積VCのコンクリート試料中にある細骨材及び粗骨材の質量を,次の式によって算出する2)。
mf=Vc÷VB×mf'
mc=Vc÷VB×mc'
ここに,
mf: 容積VCのコンクリート試料中の細骨材の質量(kg)
mc: 容積VCのコンクリート試料中の粗骨材の質量(kg)
VB: 1バッチのコンクリートのでき上がり容積(L) =1000=1m3
VC: コンクリート試料の容積(容器の容積に等しい)(L) =エアメータの容積
mf': 1バッチに用いる細骨材の質量(kg) =配合計画書の計画値
mc': 1バッチに用いる粗骨材の質量(kg) =配合計画書の計画値
注2) 空気量の測定を行ったコンクリートから,150 μmのふるいを用いてセメント分を洗い流し,骨材の試料を採取してもよい。
b) 細骨材及び粗骨材の代表的試料を,それぞれ質量でmf及びmcだけ採取する。約1/3まで水を満たした容器の中に骨材を入れる。細骨材及び粗骨材は混合して少しずつ容器に入れ,全ての骨材が水に浸されるようにする3)。
骨材を入れるときには,できるだけ空気が入らないようにし,出てきた泡は速やかに取り去らなければならない。空気を追い出すために,容器の側面を木づち(槌)などでたたき,また,細骨材を加えるごとに25 mmの深さに達するまで突き棒で約10回突くものとする。
注3) 試料骨材粒の含水状態を,コンクリート試料中の骨材粒の含水状態と同様にするため,5分間程度水に浸すのがよい。
c) 全ての骨材を容器に入れた後,水面の泡を全て取り去り,容器のフランジと蓋のフランジとをよく拭い,ゴムパッキンを入れ,蓋を容器に締め付け,排水(気)口から水があふれるまで注水する。次に全ての弁及び口を閉じ,空気ハンドポンプで空気室の圧力を初圧力より僅かに大きくする。約5秒後に圧力調整口を徐々に開いて,圧力計の指針を初圧力の目盛に一致させる。次に,作動弁を十分に開き,空気室の気圧と容器内の圧力とを平衡させて圧力計の指示値を読み,これを骨材修正係数(G)とする。必要があれば,5.4 e)の関係を用いて,指示値を補正する。
このように骨材修正係数とは、骨材が含んでいる空気量のことです。
骨材の種類によってこの値が変わるため、空気量を測定する前に求めておく必要があります。
普通コンクリートでは、骨材修正係数は「0.0%」となることが多いです。
一度、測定してみましょう。
7.コンクリートの空気量の測定
コンクリートの空気量の測定は,次のとおり行う。
a) 突き棒を用いて締め固める場合には,試料を容器の約1/3まで入れ,ならした後,容器の底を突かないように突き棒で25回均等に突く。突き穴がなくなり,コンクリートの表面に大きな泡が見えなくなるまで,容器の外側を10〜15回木づち(槌)などでたたく。ただし,流動性が高いコンクリートの場合には,十分な締固めが得られる範囲で突き数及び/又はたたく回数を減らしてもよい。次に,容器の約2/3まで試料を入れ,上記と同様な操作を繰り返す。最後に容器から少しあふれる程度に試料を入れ,同様の操作を繰り返した後,定規で余分な試料をかき取って平たんにならす。突き棒の突き入れの深さは,その前層にほぼ達する程度とする。
①試料を約1/3入れる
②突き棒で均す
③25回均等に突く(突き入れ深さはスランプと同じ、前層にほぼ達する程度)
④容器の外側を10~15回木槌等でたたく。(突き穴がなくなり,コンクリートの表面に大きな泡が見えなくなるまで)
⑤①~④を繰り返す
⑥最後の3層目は容器から少しあふれる程度に試料を入れること
⑦定規で余分な試料をかき取って平たんにならす
b) 振動機を用いて締め固める場合には,(省略)。
ただし,スランプ8 cm以上の場合は,振動機を用いない。
通常は振動機を使用することはありません。
c) 容器のフランジの上面及び蓋のフランジの下面を完全に拭った後,蓋を容器に取り付け,空気が漏れないように締め付ける。
エアメータの蓋の下面にゴムのリングがついています。
このゴムと容器のゴムがあたる部分にモルタルが付着していると、測定の際に空気が漏れることがあります。
よく拭ってふたを取り付けましょう。
ふたを取り付けて締め付ける前に、ふたを左右に回転して、蓋と容器の当たり具合を確認すると異物がある感触がわかります。
d) 注水法の場合には,排水口から排水されて,蓋の下面と水面との間の空気が追い出されるまで軽く振動を加えながら注水口から注水する。無注水法の場合には,この注水操作を省く。最後に全ての弁及び口を閉じる。
通常は無注水法となります。
e) 空気ハンドポンプで空気室の圧力を初圧力より僅かに大きくする。
約5秒後に圧力調整口を徐々に開いて,圧力計の指針が安定するよう圧力計を軽くたたき,指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。
約5秒経過後,作動弁を十分に開き,容器の側面を木づち(槌)などでたたく。
再び,作動弁を十分に開き,指針が安定してから指示値を0.1 %の桁まで読み取り,コンクリートの見掛けの空気量(A1)とする。必要があれば,5.4 e)の関係を用いて,指示値を補正する。
5秒待つ手順が2回ありますので、注意して下さい。
f) 測定終了後は,蓋を外す前に注水口と排水(気)口を両方開いて圧力を緩める。このとき,容器及び空気室の両方の圧力を緩める前に作動弁を開かないようにする4)。 注4) これを怠ると水が空気室に入るため,その後の測定で誤差が大きくなる。
故障の原因になりますので、注意して下さい。
8.計算
計算は,次のとおり行う。
a) コンクリートの空気量 コンクリートの空気量(A)は,次の式によって算出する。
A=A1−G
ここに,
A: コンクリートの空気量(%)
A1: コンクリートの見掛けの空気量(%)
G: 骨材修正係数5)(%)
注5) 骨材修正係数が0.1 %未満の場合は,省略してよい。
通常は、読んだ指示値がそのまま空気量となります。
b) 省略
c) 省略
9.報告
報告は,次の事項について行う。
a) 必ず報告する事項
1) コンクリートの空気量(%)
b) 必要に応じて報告する事項
1) 試験年月日
2) 試料の識別記号又は番号
3) コンクリートの配合
4) 注水法又は無注水法の区別
5) コンクリートの締固め方法
6) 単位容積質量(kg/m3)
7) 試験時のコンクリート温度(℃)
8) スランプ又はスランプフロー(cm)
9) 試験室の温度又は試験場所の気温(℃)
10) ふるい分け前のコンクリートの空気量の算出値(%)
11) モルタル部分の空気量の算出値(%)
12) 粗骨材の最大寸法(mm)
13) 骨材の種類及び種別
14) 骨材修正係数(%)
15) 混和剤の種類(%)
ぜひ、試験方法を見ながら実践して下さい。
空気量試験は、試験者の技量に結果が左右されやすい試験です。同じ試料でAさんとBさんが試験を行っても同じ結果になるとは限らないのです。
初めは試験を確実にできるように、一つ一つ確認しながら行い、試験精度をあげていきましょう。
試験の注意事項
- ハンドスコップの中の試料は代表的な試料ですか?モルタルが多くないですか?砂利が多くないですか?
- エアメータの操作手順は間違っていませんか?
- エアメータ容器の均しはできていますか?容器フランジより盛り上がっていませんか?試料が足りないことはありませんか?
練習の時には、上記に記載したダメなこともやってみてください。
なぜ、このようなことしてはいけないのかが理解できます。
空気量試験(JISA1128)の解説は以上になります。
次回は、コンクリートの温度測定についてです。
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