生コン試験係養成講座シリーズです。

今回は、骨材の表面水率試験についてです。

骨材の表面水率試験方法

 

細骨材の表面水率試験方法と粗骨材の表面水率試験方法があります。

 

JISQ1011:2024には、それぞれの検査頻度が規定されています。

細骨材

管理項目 測定頻度 測定方法
通常 1回以上/午前、1回以上/午後 JISA1111、JISA1125、JISA1802又は自動表面水測定装置による方法
高強度コンクリートの場合 初回練混ぜ開始前、1回以上/午前、1回以上/午後
回収骨材の場合(B方法) 1回以上/午前、1回以上/午後
再生細骨材Hの場合 1回以上/午前、1回以上/午後 JISA1111、JISA1125又は自動表面水測定装置による方法

 

粗骨材

管理項目 測定頻度 測定方法
通常 必要の都度 JISA1803又はこれに代わる合理的な方法
高強度コンクリートの場合 必要の都度
回収骨材の場合(B方法) 必要の都度
再生粗骨材Hの場合 1回以上/使用日

 

細骨材の表面水率はJIS A 1111:細骨材の表面水率試験方法により実施することが多いです。

 

粗骨材の表面水率はJIS A 1803:コンクリート生産工程用試験方法-粗骨材の表面水率試験方法により実施することが多いです。

 

まずJIS A 1111:2015細骨材の表面水率試験方法を確認すると、 

  1. 適用範囲:細骨材の表面水率試験方法について規定する
  2. 引用規格:骨材の密度及び吸水率試験方法
  3. 器具:はかり、容器
  4. 試料:採取方法、必要な量、試料の状態
  5. 試験方法
  6. 計算:表面水率の計算方法
  7. 精度
  8. 報告:必要な報告事項

これらが規定されています。

 

3.器具

3.1 はかり 

はかりは,ひょう量が試料の質量以上で,かつ,目量が試料質量の0.1 %以下のものとする。 

 

一般的に試料の質量は500gとなりますので、500g×0.1%=0.5g

目量は0.5g以下のはかりを使用することになります。ですが、試験方法では0.1gまではかると規定していますので、0.1gの目量をもったはかりを使用する必要があります。

 

3.2 容器 

容器は,容量500〜1000 mLで,次のいずれかとする。 

a) 一定の容量を示すマークがあるガラス容器 

b) 目盛があるガラス容器 

c) ピクノメータ 

d) 上面をすり合わせ仕上げしたガラス製容器

 

容積法ではチャップマンフラスコ、質量法ではピクノメータを使用することが多いと思います。

 

4.試料

試料は,代表的なものを400 g以上採取する。採取した試料は,できるだけ含水率の変化がないように注意して二分し,それぞれを1回の試験の試料とする。 なお,2回目の試験に用いる試料は,試験を行うまでの間に含水量が変化しないようにする。 

注記 試料の乾燥を防止するには,試料を入れた容器を湿布などで覆うとよく,その際は湿布などが試料に接触しないようにする。

 

5.試験方法

試験は,次の質量法又は容積法のいずれかによる。 なお,試験の間は,容器及びその内容物の温度を15〜25 ℃の範囲内で,できるだけ一定に保つ。 

a) 質量法 

質量法は,次による。 なお,試験には,3.2の容器を用いる。 

1) 試料の質量(m1)を0.1 gまではかる。 

2) 水を入れた容器の質量(m2)を0.1 gまではかる。 はかり方は,次のいずれかによる。 

一定の容量を示すマークがあるガラス容器又は目盛があるガラス容器を用いるときは,マーク又は所定の目盛まで水を入れて,そのときの質量をはかる。 

ピクノメータ又は上面をすり合わせ仕上げしたガラス製容器を用いるときは,容器にあふれるまで水を入れた後,空気を混入させないよう注意して蓋又は平らなガラス板で蓋をして,このときの質量をはかる。 

3) 容器を空にし,試料を覆うのに十分な水を入れる。次に試料を入れ,試料と水とをゆり動かすか又はかき回して,空気を十分に追い出す。さらに,2) と同じようにしてマーク若しくは目盛まで,又は蓋若しくはガラス板を用いて容器を満たすまで水を入れ,容器,試料及び水の合計質量(m3)を0.1 gまではかる。 

4) 試料で置き換えられた水の質量(m)は,次の式によって算出する。 

m=m1+m2-m3

ここに, 

m: 試料で置き換えられた水の質量(g) 

m1: 試料の質量(g) 

m2: 水を入れた容器の質量(g) 

m3: 容器,試料及び水の合計質量(g) 

5) 質量法による表面水率の試験は,同時に採取した試料について2回行う。

 

b) 容積法 

容積法は,次による。 なお,試験には,3.2に示す容器のうち,一定の容量を示すマークがあるガラス容器又は目盛があるガラス容器を用いる。 

1) 試料の質量(m1)を0.1 gまではかる。 

2) 試料を覆うのに十分な水の量(V1)を0.5 mLまではかって容器に入れる。 

3) 試料を容器に入れ,試料と水とをゆり動かす又はかき回して,空気を十分に追い出す。 

4) 目盛がある容器を用いるときは,試料と水との容積の和(V2)の目盛を0.5 mLまで読む。マークがある容器を用いるときは,試料と水との容積の和(V2)は,入った量が分かるようにして水をマークまで満たし,この水の容積を容器の容量から差し引いて求める。 

5) 試料で置き換えられた水の量(V)は,次の式によって算出する。 

V=V2-V1

 

ここに, 

V: 試料で置き換えられた水の量(mL) 

V2: 試料と水との容積の和(mL) 

V1: 試料を覆うのに十分な水の量(mL) 

 

6) 容積法による表面水率の試験は,同時に採取した試料について2回行う。

 

6.計算 

計算は,次による。 

a) 表面水率(H)は,次の式によって算出し,四捨五入によって小数点以下1桁に丸める。

 

 

b) 2回の試験の平均値を表面水率の値とする。

 

7.精度

それぞれの測定値は,いずれもその平均値との差が0.3 %以下でなければならない。

 

8 報告 

報告は,次の事項のうち必要なものを記載する。 

a) 骨材の種類及び産地 なお,人工軽量骨材の場合は,商品名でもよい。 

b) 試料の採取場所及び採取日時 

c) 表面水率(%)及び採用した試験方法の種類

 

次にJIS A 1803:2009コンクリート生産工程用試験方法-粗骨材の表面水率試験方法を確認すると、 

  1. 適用範囲:粗骨材の表面水率試験方法について規定する
  2. 引用規格:骨材の密度及び吸水率試験方法
  3. 器具:はかり、容器、水槽
  4. 試料:採取方法、必要な量、試料の状態
  5. 試験方法
  6. 計算:表面水率の計算方法
  7. 精度
  8. 報告:必要な報告事項

これらが規定されています。

 

3.器具

試験用器具は,次による。 

3.1 はかり 

はかりは,ひょう量5 kg以上で,目量0.1 g又はこれより精度の良いものとする。また,その構造は,皿の中心から直径3 mm以下の金属線で試料容器をつるし,これを水中に浸すことができるものとする。 

3.2 試料容器 

試料容器は,直径約200 mm,高さ約200 mmの金属製又はプラスチック製の容器で,水が漏れないものとする。 

 

容器は、ステンレス製の容器を用いることが多いです。

 

3.3 水槽 

水槽は,試料容器を水中に入れることができる大きさとする。

 

水槽は、ホーロー製、一定水量で排水され水位を維持できるものが使用される。

 

4.試料

試料は,次による。 

a) 試料は,使用時の含水状態の粗骨材から,代表的なものを,約3 kgずつ2組採取する。 

b) 試料は,できるだけ含水率の変化がないように取り扱う。 

c) 試料の表乾密度は,JIS A 1110によってあらかじめ確認する。ただし,はかりは,3.1に規定するものを用い,試料の質量,水中における試料の見掛けの質量及び乾燥後の質量は,試料質量の0.02 %まではかる。また,平均値との差は,0.01 g/cm3以下とする。

 

試料の表乾密度は、1回/月の受入検査の値もしくは配合設計に用いる値を使用することが多いです。

 

5.試験方法

 試験方法は,次による。 

a) 試料を試料容器の中に入れ,その質量を1.0 gまではかり,あらかじめ測定しておいた試料容器の質量を差し引き,試料の質量を求める。 

b) 試料容器に注水し,軽くかくはんするなどして,骨材表面及び粒子間の空気泡を除去する。 

c) 試料容器を静かに水槽に入れ,その質量を0.1 gまではかり,あらかじめ測定しておいた試料容器の水中質量1) を差し引き,試料の水中質量を求める。 

注1) この規格の中でいう水中質量とは,水中における見掛けの質量をいう。

 

6.計算 

計算は,次による。 

a) 試料の表面水率は,次の式によって算出し,四捨五入によって小数点以下2けたに丸める。

b) 試験は,同時に採取した試料について2回行い,その平均値を算出し,四捨五入して小数点以下1けたに丸める。

 

7.精度

平均値との差は,0.15 %以下でなければならない。

 

8 報告 

報告には,次の事項を記載する。 

a) 粗骨材の種類,及び産地又は製造業者名 

b) 粗骨材の最大寸法 

c) 試料を採取した日時及び位置 

d) 表乾密度(g/cm3) 

e) 表面水率(%) 

f) 試験日 

 

 

 

 

ぜひ、試験方法を見ながら実践して下さい。

 

細骨材表面水率試験早見表

 
細骨材表面水率試験早見表pdfを上のリンクからダウンロードできます。

表面水率試験の解説は以上になります。

 

次回は、コンクリートのスランプ試験についてです。


 

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