生コン試験係養成講座シリーズです。

今回は、骨材の単位容積質量及び実績率試験と粒形判定実積率試験についてです。

骨材の実積率試験方法

 

実積率には骨材の工程管理や配合設計に用いる実積率と砕石及び砕砂の粒形を判定する粒形判定実積率があります。

 

実積率はJIS A 1104:骨材の単位容積質量及び実積率試験方法により実施します。

 

粒形判定実積率はJIS A 5005:コンクリート用砕石及び砕砂の7.6粒形判定実積率試験により実施します。

 

 

骨材の実積率試験は、粗骨材のみ工程検査として粗粒率又は実積率を1回以上/週となっています。

 

粒形判定実積率試験は、砕石及び砕砂の受入検査として1回以上/月に行います。

 

まずJIS A 1104:2019骨材の単位容積質量及び実積率試験方法を確認すると、 

  1. 適用範囲:コンクリートに用いる骨材の単位容積質量及び実積率試験方法について規定する
  2. 引用規格:骨材の密度及び吸水率試験方法、骨材の含水率試験方法、縮分方法
  3. 器具:はかり、容器、突き棒
  4. 試料:採取方法、必要な量、試料の状態
  5. 試験方法
  6. 計算:単位容積質量、実積率の計算方法
  7. 精度
  8. 報告:必要な報告事項

これらが規定されています。

 

3.器具

はかりは、試料質量の0.2%以下の目量をもつものと規定されている。

 

容器は金属製の円筒型で骨材の最大寸法に応じて次による。

表1

骨材の最大寸法(㎜) 容積(L) 内高/内径 1層当たりの突き回数
5以下 1~2 0.8~1.5 20
10以下 2~3 20
10を超え40以下 10 30
40を超え80以下 30 50

 

また,容器の容積(V)は,これを満たすのに必要な水の質量を正確に測定して算定する。

 

大多数の工場は容器の容積を1回/年の頻度で検査します。

 

検査方法は、エアメータの容積を検査する方法と同じです。エアメータの検査で解説します。

 

突き棒 突き棒は,その先端を半球状にした直径16 mm,長さ500〜600 mmの鋼又は金属製丸棒とする。

 

4.試料

試料の採取は,次による。 

a) 試料は,代表的なものを採取し,JIS A 1158によって,ほぼ所定量となるまで縮分する。 なお,骨材の最大寸法が40 mmを超える場合は,他の合理的な方法で採取する。 

b) 試料の採取量は,用いる容器の容積の2倍以上とする。 

c) 試料は,絶乾状態とする。ただし,粗骨材の場合は気乾状態でもよい。 

 絶乾状態と気乾状態では、計算方法が違います。注意して下さい。

d) c) の試料を二分し,それぞれを1回の試験の試料とする。

 

5.試験方法

5.1 単位容積質量 単位容積質量の試験は,次による。 

a) 試料の詰め方 

試料の詰め方は,棒突きによることとする。ただし,骨材の寸法が大きく,棒突きが困難な場合及び試料を損傷するおそれのある場合は,ジッギングによる。

 

40mmではジッギングで行う方が良いと思います。(棒突きで実施している工場が多いですが…)

 

試料の詰め方は,次による。 

1) 棒突きによる場合 試料を容器の1/3まで入れ,上面を指でならし,突き棒で均等に所要の回数を突く。このとき,突き棒の先端が容器の底に強く当たらないように注意する。突く回数は骨材の最大寸法に応じて表1による。次に容器の2/3まで試料を入れ,上記と同様の回数を突く。最後に容器からあふれるまで試料を入れ上記と同様の回数を突く。 

 

この最後に容器からあふれるまで試料を入れるというのが結構重要です。

 

2) ジッギングによる場合 容器をコンクリート床のような強固で水平な床の上に置き,試料をほぼ等しい3層に分けて詰める。各層ごとに容器の片側を約5 cm持ち上げて床をたたくように落下させる。次に反対側を約5 cm持ち上げ落下させ,各側を交互に25回,全体で50回落下させる。 

b) 骨材の表面のならし方 

1) 細骨材の場合 突き棒を定規として余分の試料をかきとり,容器の上面に沿ってならす。 

2) 粗骨材の場合 骨材の表面を指又は定規でならし,容器の上面からの粗骨材粒の突起が,上面からのへこみと同じくらいになるようにする。

 

粗骨材のこの均しが、あいまいなので個人差が出るところです。

 

c) 試料質量の測定 試料を詰め,骨材の表面をならした後,容器の中の試料の質量(m1)をはかる。 

5.2 試料の密度,吸水率及び含水率 

試料の密度,吸水率及び含水率の試験は,次による。 なお,絶乾状態の試料を用いる場合又は試料の含水率が1.0 %以下の見込みの場合は,含水率の測定は省略してもよい。

a) 質量を測定した試料から,密度,吸水率及び含水率を試験するための試料を採取する。 

 

工場で管理する場合は、1回/月の受入試験データ(密度,吸水率及び含水率)を使用して実積率試験を行う。

 

b) 密度,吸水率及び含水率は,JIS A 1109,JIS A 1110,JIS A 1125,JIS A 1134及びJIS A 1135によって試験する。 

5.3 試験の回数 

試験は,同時に採取した試料について2回行う。

6.計算 

計算は,次による。 

a) 骨材の単位容積質量(T)は,次の式によって算出し,四捨五入によって有効数字3桁に丸める。

b) 骨材の実積率(G)は,次の式によって算出し,四捨五入によって有効数字3桁に丸める。

c) 2回の試験の平均値を,四捨五入によって有効数字3桁に丸め,試験結果とする。

7.精度

単位容積質量の平均値からの差は,0.01 kg/L以下でなければならない。

 

8 報告 

報告は,次の事項のうち必要なものを記載する。 

a) 骨材の種類,大きさ,外観及び産地又は名称1) 

b) 骨材の採取場所及び採取日 

c) 容器の容積 

d) 試料の状態(絶乾状態又は気乾状態) 

e) 試料の詰め方(棒突き又はジッギング) 

f) 含水率測定の有無及び含水率の測定値(気乾状態の場合) 

g) 密度及び吸水率

h) 単位容積質量 

i) 実積率及び試料の粒度 

注1) 名称は,人工軽量骨材の場合だけとし,商品名でもよい。 

 

続いて、JIS A 5005:2020コンクリート用砕石及び砕砂の7.6粒形判定実積率試験を確認すると、 

 

7.6粒形判定実積率試験

粒形判定実積率の試験は,次による。 

a) 砕石の試料は,砕石4005,砕石2505及び砕石2005は,そのままで,その他の区分の砕石については砕石2505又は砕石2005の粒度に適合するように混合する。それらの試料を絶対乾燥状態になるまでよく乾燥し,呼び寸法20 mmのふるいを通過し,呼び寸法10 mmのふるいにとどまるものを24 kg,呼び寸法10 mmのふるいを通過し,呼び寸法5 mmのふるいにとどまるものを16 kgそれぞれふるい採り,これらを合わせてよく混合して試験に供する。 

b) 砕砂の試料は,呼び寸法2.5 mmのふるいを通過し,呼び寸法1.2 mmのふるいにとどまるものを十分に水洗いし,絶対乾燥状態とする。

 

試料は、a)、b)で規定されていますが、通常の実積率試験と違い、ふるいによって試料を調整して試験を行うことになります。

 

なので、試験の目的が違うのです。

 

実積率試験は、粒形が良い骨材は値が大きくなりますが、粒度が適当な骨材も値が大きくなります。

 

粒形判定実積率は、粒度を調整して粒度を同じ条件で試験するため、粒形の良さだけを評価できるのです。

 

c) JIS A 1104に規定する方法によって,試料の単位容積質量を求める。 

d) 試料の絶乾密度は,密度及び吸水率試験によって求めた数値を用いる。 

e) 粒形判定実積率は,次の式によって算出し,四捨五入によって小数第一位まで求める。

f) 粒形判定実積率は,2回の試験の平均値とし,四捨五入によって小数第一位に丸める。

 

試験方法としては、単純に容器にどれだけの量の骨材が入るのかの試験です。

 

ぜひ、試験方法を見ながら実践して下さい。

 

 


実積率試験の解説は以上になります。

 

次回は、骨材の表面水率試験についてです。


 

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