生コン試験係養成講座シリーズです。

今回は、硬化コンクリートの性質についてです。

硬化コンクリートの性質

 

良いコンクリートとは、フレッシュな状態では、作業に適する流動性を有し、均質で材料分離を生じにくく、硬化後は、所要の強度、耐久性を有し、かつ経済的なものとされている。作業性を重視しすぎると硬化後の諸性状が悪くなることが多くなることがあるため、所要の耐久性、所要の強度、適切な施工性をバランスよく満足する必要がある。

 

硬化コンクリートの性質には次のようなものがある。

  • 強度
  • 変形性状
  • 体積変化
  • 水密性
  • 熱的性質と耐火性
  • 単位容積質量

強度

強度には、圧縮強度、引張強度、曲げ強度等がある。
JISA5308でいう強度とは、圧縮強度(普通・軽量・高強度コンクリート)と曲げ強度(舗装コンクリート)になります。
 
一般的にセメント水比(1立方メートル当たりのセメントの質量を水の質量で割ったもの C/Wという)と強度は相関関係にあると言われている。コンクリートの配合設計に用いられます。
 
コンクリート配合計画書には、C/Wの逆、W/C(%)で表示します。
 
コンクリートの圧縮強度に影響する要因
  • セメント水比
  • 骨材強度
  • 骨材の比表面積(表面が荒々しい)
  • 粗骨材の最大寸法
  • 空気量(W/Cが一定の時、空気量1%の増加で圧縮強度が4~6%低下する)
  • 練混ぜ時間
  • 締固め
  • 材齢
  • 養生方法
他にも挙げればきりがないです。
 
生コン工場では、このような特性要因図を作成して強度の変動要因を探っています。
 
他の強度も簡単に説明しておきます。
 

引張強度

引張強度は割裂引張強度試験で求められ、圧縮強度の1/10~1/13程度の値となる。
 

曲げ強度

曲げ強度は、舗装コンクリートに用いられ、曲げ強度試験によって求められる。圧縮強度の1/5~1/8程度の値になる。
 

変形性状

固まったコンクリートですが、あれが変形するの?と思いますが、少し変形します。皆さんも経験したことがあると思いますが、橋の上で停車しているときに大型車両が走行すると揺れていませんか?
 
これは、コンクリートが変形しているからです。
 
変形性状の話をすると少し難しい用語が出てきます。コンクリート技士などを受験する際はある程度理解する必要がありますが、今はスルーします。
 
コンクリートは、力が加わったときに少し変形して耐えることができますが、変形量が多くなると破壊されます。
 

体積変化

コンクリートは3つの要因で体積変化します。
  • 乾燥収縮
  • 自己収縮
  • 温度変化による体積変化
乾燥収縮は、水分の移動(乾燥・吸水)によって体積変化することです。
 
自己収縮は、セメントの水和(化学反応)による体積減少から起こります。
 
コンクリートにも熱膨張係数があり、1℃で7~13×10の-6乗程度と言われています。
1℃につき0.000007~0.000013(1mで0.007~0.013mm)変化するということです。
 

水密性

全てのコンクリートは水を通さないように見えますが、コンクリートも吸水していきます。
 
水密性の要因は、施工欠陥、水セメント比、粗骨材の最大寸法、締固め、養生、使用材料等により変化します。
 
最近では透水コンクリートとして、わざと水を通りやすくして集中豪雨の排水対策、ヒートアイランド対策の保水性などに利活用することもあります。
 
熱的性質と耐火性
 コンクリートの熱膨張係数、比熱、熱伝導率、および熱拡散係数は、水セメント比や材齢などの影響が小さく、骨材の種類および単位量に影響されます。
 
加熱によるコンクリートの強度や弾性の低下は、骨材と硬化したセメントペーストとの熱膨張の差による組織のゆるみ、ペースト中の化学的結合水の脱水、水酸化カルシウムなどの水和物の分解、骨材の変質などによって生じます。
 
普通のポルトランドセメントを用いたコンクリートが加熱された場合、加熱温度が高いほど強度の低下が著しく、500度(火災等)では常温時の強度の60%以下に低下します。
 
同一条件のコンクリートを、その後30日程度空中放置すれば、冷却直後の強度からさらに10%程度低下し、その後は徐々に回復します。
 
弾性係数は、温度上昇にともなう低下が強度以上に著しく、500度では常温の値の10~20%となります。この値は、空中放置30日後でもあまり変わらないが、1年後にはかなりの回復を示します。
 
また、緻密なコンクリートあるいは含水率の高いコンクリートでは、急激な加熱によって爆裂を起こすことがあります。
 

単位容積質量

普通のコンクリートは2.2~2.4t/1立方メートル程度です。骨材の種類を変更することにより、軽量コンクリート(1.2~2.1t/1立方メートル)や重量コンクリート(3.0~5.0t/立方メートル)とすることができる。
 
また混和剤の使用により気泡コンクリート(0.5~1.0t/1立方メートル)にすることもできます。
 

硬化コンクリートの性質は以上になります。

 

次回は、ふるい分け試験についてです。


 

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