[AGB] 闇の森の秘宝「やっぱりおまえは」 | Isanan の駄文ブログ

Isanan の駄文ブログ

… 自作小説(?)やら何やらの駄文を、気が向いたときにだらだらと書き連ねて行くブログです

はじめに戻る

 あなたは少女の方を見つめた。闇と霧で、ほんのわずかな距離に、触れ合っているほど近くにいるにも関わらず、あなたには少女の顔の表情すらも見て取ることができなかった。あなたは何も言わず、静寂と時間だけが森の中に流れて行った。やがてあなたを押さえていた少女の手が緩み、力が抜けたように息を吐くのが聞こえた。笑ったようだった。

「ふっ、分かってはいたが、やっぱりおまえは馬鹿な奴だ。好きにするのだな。」

 あなたは松明に火をつけた。明かりに浮かんだ少女の姿からは、今までと違った様子は見受けられなかった。二人は歩き出し、森の中へと足を進めた。

「こんな話を、聞いたことはあるか?」

 少女は歩きながら話し始めた。森は霧に閉ざされてその姿を隠し、あなたの前には霞のかかった闇が進むのに合わせて現われ出た。少女の言葉は続いた。

「森の秘宝にまつわる、古い言い伝えだ。秘宝を求めた姉妹の身に起こった、それは哀しい伝説…。」


次へ進む