昔から変な声だと言われていたけど、自分では何がどう変なのかがよくわからなかった。
だけど、テレコから聴く自分の声は確かに変わってた。
身体や骨を伝ってくる自分の声は、そこまでおかしくはないつもりだったんだけど(笑)。
幼少の頃、相当、内向的な性格だったのもあって、口の開きも悪く、ボソボソと早口で話す癖も災いしたのかも。
よく、「何言ってるのかわからない」と言われてた。
おとなしすぎて学校でも友達があまりいないし、絵を描くのが好きでノートにマンガばっかり描いてた。
数少ない絵描き友達の影響で中学に入ってからはアニメにハマッて、その頃『声優』という職業を知る事になる。
コンプレックスだらけの声を、もしも武器にできたら…
よし!声優になろう!と決めて、結局22の頃だったかな…どうしても入りたいプロダクションがあって、その附属の俳優養成所に入った。
地元の大阪、東京にも出ていった。
本当にプロになりたくて、必死に夢を追いかけた。
結局はダメだったんだけどね。
6年間、プロになる事だけを考えてずっと走り続けた結果、
どれだけ勉強しても、どれだけ思いが強くても、叶わないものがあるんだと知った。
…かと思えば、なれる人は努力半分でもなれちゃうものだって事も知った。
現実って厳しいもんです。
業界ってそんなものです。
色々見てきて、実感して、
たくさん絶望しても、
それでも憧れ続けたなあ。
覚悟もできてた。
オーディションもたくさん受けた。
デキレースもあるし、なんだよって思うけど、「まあ、オーディションのリハーサルもできたし、いいか。」と思って進む。
そんなこんなだったけど、結果は『ただの人』。
でも、負け惜しみじゃなくて、こういう経験も一つ一つ『イマ』に活きてるかな、と思う。
苦手だった授業のダンスも日舞も日本語アクセントも、発声も自己PR練習も…
演技だけじゃなくて、そこから学べるものはいっぱいあったし。
「変わった声」って、ベテラン声優にも言われたので、ホントにヘンなんだろうなぁ(笑)。
「変な声」でも『武器』にしたいから、今もずっとあの頃と同じように走り続けてる。
だから、たまーーに『いい声だね』と言われると天にも昇る気持ちになる。
素直に嬉しいなって。
でもやっぱり『変な声の人』だから、
『いい声の人』よりもっと努力しないといけないなあ、と思うのです。