
掃除していたら出てきた。
すごく丁寧で美しい手書きの年賀状。
これ、目指していたプロダクションの大御所の先生からもらったもの。
プロダクションに上がる為の所属オーディションに落ちちゃったんだけど、この先生にはとてもお世話になっていたので、
結果の報告を兼ねたお礼状を送った時に、返してもらったものだったと思う。
あの時は、本当に人生賭けていたから(養成所に通算5年通った…笑)、
夢が目の前で完全に断たれてすっごい落ち込んだんだよなあ…。
だからこの葉書とメッセージはすごく心に沁みた。
5年×365日ずっとそのプロダクションに入る事だけを想い続けて(養成所に入る前から計算するともっと長いけれど)、
結果がダメならハイソレマデヨ!の世界。
保障もなければ履歴書に書ける事も何も残らないわけで。
本当にシビアな世界。
結果が全て。
どれだけそれまでにコツコツ積み重ねたものがあったとしても、
『肝心な瞬間』に出たものが全て。
それで決まってしまう世界。
失敗は失敗。
その失敗が“全て”。
リアルな話、積んできた時間もお金もね…全部パーになるっていうか…(笑)。
でもなんていうんだろ…
経験は自分の身についたし…、
深夜の井の頭公園で、扇子回しながら皆で真夏に日本舞踊の練習をした事だとか、
「私の目の届かない所に行って!」とダンスの先生にダメ出しくらって、最前列から最後列の下手側に移動しなくちゃいけなかった時の悔しい気持ちだとか、
高い音が出せなくて人一倍苦労したけれど先生が暖かく見守ってくれた音楽の時間だとか、
役に入りすぎて過呼吸でぶっ倒れかけた芝居の授業(笑)も…みんなみんな良い思い出だし、今の力になってる。
「ぐあーーッ」ってほど悲しい想いや苦しい想いもいっぱいしたけれど、
今こうしてここにいるリアル…。
どっちだったら幸せだったかなんてわからない。
でも、「今が不幸か?」と聞かれれば、「そうじゃない。」とハッキリ言える。
壁にぶつかっている時は、本当に壁しか見えない距離に居るから、前にも進めないし、周囲は暗いから足元も見えにくくて、すごく苦しい。
なんだかんだ言っても、最終的に立ち上がるのは自分の力。
ゆっくりで全然構わないから…自分のペースで歩きだしたいよね。
ちゃんと待っててくれている人もいるから、焦らなくてもぜんぜん大丈夫だよ。
100人全員じゃなくてもさ、
自分を本当に愛してくれている人がたった一人でも大きく手を広げて待っていてくれるなら…、
それはきっと、とても幸福な事だと思う。
苦しい事がわかる人は、喜びも同じ分だけわかる人。
貴方にも、貴方にも、貴方にも、…たくさんの幸せが待っていますように。
追伸:あ。大御所の先生は、“波平さん”の声でお馴染みの永井一郎さんでした。

う~ん!達筆!