昔、お気に入りのボードゲームがあった。
ファミコンを買ってもらう前の話だ。
今思ってもかなり妄想上手な子供だったけど(笑)、
さらに想像力を引き立ててくれるそのゲームには1本のカセットテープが付いていた。
サイコロ振ってコマを進ませ、“未知のジャングル”を探検していく。
そして止まったマスに従って、そのテープを再生していく…という作りだった。
テープを聴く時っていうのはだいたい危機的状況のマスで、その緊張状態をさらにドキドキするナレーションと音楽が盛り上げてくれる。
大蛇に出会ったり、崖から落ちそうになったり、突然の大雨に襲われたり…と孤独な探検家達は次々と多くのアクシデントに見舞われていく。
効果音が入る事で臨場感が格段に上がるから、ワクワクしたり、もうダメだ!と思ったり、、、ピンチの度に毎回絶望するんだけど(笑)。
今のTVゲームは視覚や聴覚をダイレクトに刺激してくれるけど、
この時代のアナログさも捨て難いもので、『滝だ!』と聴いて想像するイメージは一人一人違うし、そこがいいなあと思う。
このテープは再生の度、
『また、新たなる難関が君を待ち受ける!』っていうナレーションが必ず最後に入る。
ピンチを乗り越えても、まだまだ気は抜けない。
探検家達に安らかな休息はないのだ。
…カセットテープっていうのが懐かしい。
CDが世に出る前の話。
あれから何年も経つし、
もちろんそのゲームは手元に残ってない。
だけど今でも、なんか辛い事とか、どうするかなあ…という時には、このセリフを思い出す。
『また、新たなる難関が君を待ち受ける!』
そうすると、今の厳しい現状に立たされた自分が、まるでゲームの中にいる主人公のように思える。
辛さを全部100%抱えるんじゃなくて、
適度に一歩引いた距離感が保てるっていうんだろうか。
自分の前を立ち塞ぐ『難関』をどう切り抜けていくか…っていうゲーム感覚で、絶望をワクワクに変換する。
きっと越えられる。
難関は越える為にあるし、必ず越えられるようにできている。
あのゲーム、もう一度やってみたいなあ。