井上左官工業の現場ブログ

井上左官工業の現場ブログ

奈良県の左官屋さん。ジュラク塗り・漆喰仕上げ・掻き落としやカラーモルタル・土塀の修復・塗り替え工事や左官の未来など、日々の現場報告や最新の左官情報などをUPしていきます。

こんにちは。あっという間に2月が過ぎ年度末となってきました。昨年からの建設不況で寒ーい日々を過ごしておりますが、バタバタしてようがジッとしていようが、毎日は過ぎていきます。これからを見据え新たな取り組みをと考えつつも、悩み多き春になりそうですー。

さて、今朝は随分と前に東大寺周辺を散策した際に見かけた土塀を考えてみようと思います。

 

 

子どものころから幾度となく見てきた古い土塀ですが、今、改めて見ていると色んな発見があって面白いものです。一番美しいと感じた土塀の写真をUPしています。左官職として眺めていると、当時の施工方法を考えます。恐らくこのように進めたのであろう、その為にはこういう準備が必要で、どれだけ材料が必要となり、施工における役割分担はどうあるべきか?そんな事をとを考えつつ土塀を眺めているとあっという間に時間が経ちます。

 

 

なんといってもこの土塀のリズムの良さには惚れ惚れします。渡す人積む人が小気味よくテンポよく、サッサッさと進めている光景が目に浮かびます。そして何より粘土の成分がとても多くて、雨に強い。雨が掛かるであろう箇所でも当初のままの平滑な肌を維持している。そんな土さえ用意出来れば、今でも同じ結果は得られるのだろうけれど、重機や動力もない時代に、これほどの粘土を施工性の良い硬さで準備をするのはとても大変だと思います。

 

 

一度でいいから当時の施工風景、準備の最中を見てみたい。自分が想像している通りなのか、それとも人力・体力にものを言わせてゴリ押しでやっていたのか?材料はどう合わせた?どこから採ってきた?興味は尽きません。文化財でもない限り、このような土塀を今後新たに築造することなどはないでしょうね。関われることもないだろうから、考えることに意味はないのかもしれない。でもやっぱ美しいんですよね。

 



東大寺の北側にあります。奈良にお越しの際はぜひ見て下さいねー

土蔵再生・土塀の修復や古民家再生など奈良らしい風景や文化を
守る伝統的な左官工事を未来へ継承する井上左官工業株式会社

 

おはようございます。気が付けばもう月末(いつも同じこと言ってますが)ですね。私が好きな唐招提寺門前の桜も満開となってきました。いよいよ暑い季節が近づいてきています。気持ちも上がって、といきたいところですが、ホルムズ海峡問題で、建築業界も大きな影響がありそうです。見通しが悪い日々ですが、気持ちは前向きに出来ることに取り組んで参ります。

 

 

今回は割れ壁サンプルのご紹介です。割れ壁とは見ての通りひび割れを意匠(デザイン)として捉えて、あえて発生させて仕上げる壁です。割れてしまったではなく、下地や塗り方を工夫して、意図的に表現しています。もちろん好みの分かれるところかと思います。カッコいい!!と感じる方もいれば、怖い、不安といったネガティブに感じる方もおられるのかもしれません。

 

こうした割れ壁でも嫌味な割れ意匠もあったりします。ただ単にヒビが入っていれば良いという訳でもないのです。
 


 

今回は土を使い、土の収縮によるひび割れをデザインとして表現しました。土の割れは反ってくる(剥がれようとする)方向にも起きてくるため、その加減が難しい所です。額縁内で表現すればアートな感じもしてきます。まだまだ色々と試したいこと、表現したことが溜まってきました。

 

また、合間を見て作って紹介していけたらと思います。

 

土蔵再生・土塀の修復や古民家再生など奈良らしい風景や文化を
守る伝統的な左官工事を未来へ継承する井上左官工業株式会社

 

 

こんにちは。昨日今日と随分と暖かくなり、仕事着の服装が難しくて難儀しますね。明日からは出張のため準備をしつつも、インナーを極暖にするかノーマルヒートテックにするか悩みながらブログを書いています(笑)。今夜から雨となるようで、雨のドライブからのカッパ作業となりそうです(涙)。風邪ひかないように気をつけよう。

 

 

さて、今回は塗り版築の研究作業をUPします。随分と大げさに書いていますが、要するにサンプルを作りながら、いかにリアルな版築さを出せるかの研究試作です。版築といえば型枠を組み、材料を入れて突き固めて上がっていく工法です。よく突き固められる層の上部は目が詰まり、圧のかかりにくい層の下部は空隙が出来やすく、それらが意図しない美しい積層模様となります。

 

 

ただそうした本式の版築壁はとても手間が掛かり、新築でない限り改修工事では施工難易度も上がるため、コストが高くなりがちです。そこで選ばれるのが版築模様をコテ塗りで再現する「塗り版築」と呼ばれる技法です。当初はリアルな版築を目指している面が大きかったようですが、最近ではまったく版築には見えないけれど、意匠性を高めた壁も層を重ねるデザインであれば「塗り版築」と呼んでいる傾向にあります。

 

 

今回はリアルさを追求するという目標で取り組みました。リアルさを追求すると表情や平面の精度だけでなく、色もとても重要であることが分かりました。どんなに質感を近づけても、自然の土・石灰という版築の主材料から逸脱する色ではリアルさを感じることが出来ません。ただ、それは完全に玄人の目線であり、オーナーからすれば「もう少しこういう色を出せないか?」という声となり、「その色ではリアルさに欠ける」という問答になりがちです。

 

 

悩ましいところですが、リアルさを極めても、あくまでも塗り版築であって、「塗り版築だからこそ」を追求する方が未来的であると感じました。とことんリアルさを追求した塗り版築も実現可能にしつつ、色んな方向性を追い求めていきたいものです。

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おはようございます。気が付けば2月も中旬となっていました(汗)。昨年秋ごろから住宅関連の業界は景気がとても悪く、現場は落ち着いてしまっているのですが、暇なら暇で何かと考え事や準備などが多く、気ばかり焦っているこの頃です。物価高騰に働き方改革と、建築費は高騰するばかり。いい面もあるものの、仕事が無いと話になりません。頑張ろうー。

 

 

さて!今朝は前回の続き遠山記念館をUPしたいと思います。上は小口を黒漆喰の磨きで仕上げて、壁は土壁の仕上げとされています。今でもこうした小口磨きを採用した収まりもあります。土のままだと擦れると痛いし、欠けやすく傷がつくので、磨きとして建物の保護と人への配慮をした収まりですね。とっても難しいし、手間が掛かります。

 

 

上は那智石の洗い出しでしょうか。現代でいう洗い出しとは異なり、これは玉石を一つずつ並べて施工する必要があります。超絶難しいーという技法ではありませんが、石の並べ方が圧倒的に美しい。↑の写真では分かりにくいですが、↓を見れば分かってもらえるかもしれません。

 

 

いきなりやっていって出来るものではないですね。事前に並べてみて間隔や石の向きなどを緻密に頭の中で整理しておかないと出来ないでしょう。

↓は廊下や和室などで見られた土壁の仕上げです。京都の古い茶室などに見られるような、貫や半柱の模様が格子状に浮き出ています。古びた茶室のようにと、狙ったものなのか、結果として浮かび上がってきたのかは、これだけ歴史があると分かりません。

 

 

分かりませんが、下地から丁寧にしておかないと、こうして美しく現れることはありません。いずれ浮かび上がってきたとしても美しく。そんな想いは込められていたのかもしれません。ほかに赤の磨き壁や、デザインなど見どころは山盛りです。ぜひ一度訪れてみて欲しいと思います。


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おはようございます。気が付けば1月も最終週になってきました。あやうくブログの更新を忘れかけてしまいした。最近はスケジュール管理もスマホに頼り切りです。手書きのアナログ手帳は変わっていないのですが、どうしても約束事を忘れがちで、リマインド機能に慣れてしまうともう戻れないですね。

もの忘れが多くなっているのも、頭を使っていないからかも、気をつけよう。

 

 

さて今朝はもう随分と前のことになりますが、若手社員と一緒に遠山記念館を訪れたときのことをUPします。埼玉にあるものつくり大学から新卒で若手が入社する事となり、卒業制作で作った鏝絵を見せてもらいに行くという社員旅行を企画しました。会社で社員旅行は初めてでした。大学の設備や規模に驚きつつ、しっかりと指導を頂いたようで素晴らしいものを見せてもらいました。

 

 

遠山記念館は簡単にはいけない場所にあります。ひとり旅ではハードルが高かったんです。ずっと行きたいと願うこと10年くらいでしょうか。北関東をレンタカーで走る旅行を企画し、ようやく行くことが出来ました。最高峰の材料と最高峰の技術で建てられており、圧巻の仕事がされていました。↓は蛍壁と呼ばれ、土壁に鉄の削りカスを混ぜて塗り、その鉄から出る錆を蛍が飛んでいるように見せるという仕上げです。

 

 

現在は竣工からもう90年経っているので、土壁そのものの錆も出ています。どの時点で完成として塗られたのか?当時の職人に話を聞いてみたいものです。

↓は玄関の床で研ぎ出しと呼ばれる技法で磨き上げられています。セメントに種石を混ぜ、一つひとつ丁寧に磨き上げて作られています。当時にどのような機械があったのかは分かりませんが、手で砥石で研いだのだろうと想像すると大変なことです。

 

 

他にも驚くべき仕事ばかりでした。何よりもう100年近く前の設計であるにも関わらず、とてもセンスが良く、カッコいいし美しいのに驚きました。自分自身が古建築が好きだからかもしれませんが、ずっと良いと感じるカタチは今も昔もあまり変わっていないのかもしれません。

続きはまた次回にUPしますね。

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