突然、女の子からメールで呼び出された
冷たい雨が滴る中、右手には傘を、左手にはラッピングされた袋を持ち、俯き加減な瞳は、雨の潤いを映したように聡明で綺麗だった…
両手が塞がっているものだから携帯も扱えず、ただ、待ち続けてくれていた女の子に、心が揺れる音を胸のあたりには確かに感じた
一体、彼女はいつから待っていたのだろうか…
少し遅れた罪悪感から、そっと横顔へ声を掛けてみる
はっと振り向いた顔は、緊張感からぎこちなくも、こんな天気に晴れやかな表情を魅せてくれたのだ
思わず手元に視線を逸らしてしまい、照れ隠しのつもりが、プレゼントの受け取りを促すものと勘違いされ、「あ、これなんだけど…」と女の子は慌てながら差し出してきた
しまった、ずっと待ってくれていた彼女に対して、これでは冷たいのではないか
彼女のタイミングに合わせるべきだ、と頭を掻いて反省してみせる
「ありがとう」
そして、僕の為に待っていてくれて…
しかし、大事に袋を受け取ると、「じゃあね」と女の子は足早に立ち去ろうとした
「え、もう行ってしまうの?」
告白されるのではないかという期待もあったが、恥ずかしさを察してあげるべきなのか、引き止められず、先程まで間近にあった横顔は、みるみる小さくなっていく後ろ姿に、寂しさで霞んでいく…
改めてプレゼントを見つめ、やはり嬉しさが込み上げて勝るのは、手に伝わる重さに他ならない
すると、雨の滴る音が静かになり、代わりに僕の耳には聞き覚えのある音が届いてくる
この場所には不似合いな、とても正確に鳴り続ける機械音だ
どうやらこのプレゼントから聞こえてきているようだと、耳をあててみる
チョコレートだと決めつけていたが、プレゼントが時計というのは珍しい
わざわざ動かしている様子だと、よほど面白い仕掛けになっているのだろう、とさっそく袋を開けてみた
もう傘をささなくても気にならない程度の雨の中、傘をほおり投げ、夢中で袋を開けた
袋から取り出すと、置き時計らしいものがラッピングもなく取り出される
赤や青などのコードがついた、変わった時計だ
時間の針は、正しい時刻を指していない
その時、メールが届いた
予想通りに女の子からのメール、胸を踊らされた僕の目に届いた文面は、「木っ端微塵にくたばれ」だった
そして、突然目の前が真っ白になった
キャー
