「おかしな男の夢」―幻想的な物語― ドストエフスキー
自殺を考えていた「おかしな男」が眠った時に夢を見た。その夢の中で彼は宇宙をさ迷った。そして太古の地球を思わせる星に辿りついた。そこに住む人々(?)の描写です。
彼らはまるで子供のように快活で陽気であった。彼らは自分たちの美しい森や林をいつも歩きまわっていた。彼らはお気に入りのすばらしい歌をうたっていた。彼らは自分たちの木々の実とか、自分たちの森でとれる蜂蜜とか、自分たちの愛する動物の乳のような、軽い食物しか口にしなかった。彼らは自分たちの衣食のためにはあまり気を使わず、ほんのわずかしか働かなかった。彼らにも恋はあって子供も生まれた。
おかしな男は夢の中で、地球の叡智、科学を教えることによって、この星の人々を堕落させます。そして夢は終わります。
ふと目覚めた彼は自殺を思いとどまり、「生きる」ことを始めます。そして彼が夢で見た星の生活を伝道しようと心がけます。
ちょっと残酷な童話のような、とても面白い物語です。50頁くらいの短編なので、ドストエフスキーを好きな人も、嫌いな人も、ちょっと難しそうだなぁって勘違いしている人も、きっと楽しめると思います。
★★★★★★★☆☆☆ 7点
ドストエフスキー『作家の日記4』(ちくま学芸文庫:1997)