「正しいことって何?」  (『スプートニクの恋人』より) | coffee house  

「正しいことって何?」  (『スプートニクの恋人』より)

村上 春樹
スプートニクの恋人

  小学校教諭の僕と教え子の母親との会話。不倫の関係を終わりにしよう、と僕が切り出す。離れるのは辛いことだけど、「これは正しいことじゃない」と僕はいう。その後の母親のセリフ。

「正しいことって、いったいどんなことなの? 教えてくれる? 正直なところ、なにが正しいことなのかわたしにはよくわからないのよ。正しくないのがどんなことか、それはわかるわ。 でも正しいことって何?」   (太線部は本文では傍点)


村上春樹さんの小説は長短編ともに結構好きなので、有名なものはだいたい(6割くらい)読んでいると思います。で、この小説は僕が好きなものの一つです。内容はそれほど印象的だったわけじゃないんですが、文章がほんとうに素晴らしくて、何度読んでも(3,4回は読んだと思う・・・)「うーん」って唸ってしまいます。


だからいくつも印象的な文章があるんだけれども、今日は『スターウォーズ』にちなんでこの文章を選びました。きっとアナキンも「何が正しくないことなのか」は(きっと)わかっていたけれども「何が正しいことなのか」はわからなかったんじゃないかと思います。



★★★★★★☆☆☆ 7点

引用:村上春樹 『スプートニクの恋人』(講談社:1999年)