先月、フランスはパリ
オランジュリー美術館の
ミュージアムショップにて購入
これにて
日・英・仏と3冊揃った
絵本
『げんきなマドレーヌ』
1898年、現在のイタリアに生まれ
後にアメリカへと渡った
アメリカ人イラストレーター/作家
Ludwig Bemelmans による
1939年の作品
MADELINE
(✳日本での初版は1972年 

マドレーヌという名は作者の奥さまの名前から)
およそ80年の時を経た今でも
決して色あせることなく
愛され読み継がれ
私も 大 大 大好き
な絵本です

さてさて
3冊読み比べてみましたよ

いずれも味わいがあって
それぞれに良さがあるのですが
なんと言っても英文の原版
ライム(rhyme:韻)が素晴らしい

They left the house
at half past nine
in two straight line
***
Everybody had to cry ー
not a single eye was dry.
***
In a car with a red light
they drove out into the night.
と、挙げたら本当にキリがないほど
随所に韻が踏まれてて
そのリズム感、躍動感から
読んでいてとっても楽しいんです

特に上記3つ目の例
「救急車(ambulance)」をあえて
" a car with a red light "
なんてする言葉選びは最高です

ちなみに、日本語では
きゅうきゅうしゃが、あかいライトを
つけて、やみのみちを とばしました。
フランス語では
「救急車(ambulance)」という表現は出てきますが
違う言葉でちゃんと韻を踏んでます↓
Et l'ambulance l'emporte.
Dans la nuit son feu clignote.
私、実は小さい頃
このお話の舞台は孤児院的な所かなぁ
と思っておりました

というのも、日本では
寄宿学校がそこまでメジャーではないし
ましてや家族の姿が描かれていない…
でも、原版やフランス語版を読むと
パパの存在を示す1文が

… they walked and then said, "Ahhh,"
when they saw the toys and candy
and the dollhouse from Papa.(英語)
***
Elles s'esclaffent toutes ravies
de voir cadeaux et gâteries
que son père lui a remis.(フランス語)
日本語では
へやにはいると、「わあ! すごい!」
おもちゃに キャンデーに にんぎょうのいえ。
と、それらがお父さんからだということが
省略されてしまっています

翻訳をする上でどうしても
原文を一字一句訳すというのは難しく
一部内容をカットしてしまうことも
多々あるとは思いますが
フランス語版では
医師のコーンせんせい(Dr. Cohn)が
ドンせんせい(Docteur Donne)
また、深夜に病院へと運ばれたマドレーヌが
盲腸の手術から2時間後に目が覚めた
というシーンでは
「7時頃(vers sept heures)」と
具体的な時間が書かれていたりと
(私のイメージでは、まだ夜明け前かなぁ
笑)

様々に変更が加えられていて
面白いです

既にお気付きの方も
いらっしゃるでしょうか
原版のイラストには小さな誤りが

このシーンではマドレーヌは入院中
=寄宿舎の女の子は11人のはず
ところが
原版・日本語版では12人います

(✳フランス語版では修正が施されてますね
)

続いて
これは何故だか分かりませんが
原版のイラストとは鏡になっている
フランス語版の1ページ

こうして色々な言語で読み比べてみると
興味深い発見がたくさん

ますます絵本にハマりそうです

本日もご拝読
ありがとうございました
