カトリック洗礼2年生の私が、令和の福音宣教ってどうしたらいいのか、勉強するために、晴佐久神父様の『福音家族』を読み、感じ入ったところを抜書きしてみました。本文は、素晴らしい事例と、キリスト教的裏付けのパートで構成されていますが、事例成分多めのメモになっています。
ぜひ、私のメモを読んで気になると思われた方は、本を買ってお読みください!
『福音家族』晴佐久昌英著 オリエンス宗教研究所刊 読書メモ
この本は、家族のことで悩んでいる人、教会のより良いあり方を探している人、更には人類の未来を憂いている人のために書かれた
教皇フランシスコとバチカン大使館
- 「家族の心は、教会の本質的な要素であるといえるでしょう。それがキリスト教のあるべき姿であり、キリスト教はそうならなければなりません。教会は、神の家族である、そうあるべきものです」(一般謁見講話 2015/10/7)P23
- 教皇が言っているのは、「現代の教会には、家族の心で人々をもてなす共同体が、緊急に必要とされている」ということ P25
- バチカン大使館から「福音家族を応援しています。ぜひ一緒ごはんにお使いください」とお申し出があり、レトルトパックのご飯が800食も届いた P171
「福音家族」とは
- 「神のよって結ばれた、神の国の証となる、血縁を超えて助け合う福音的な家族」P11
- 「一緒にごはんを食べる家族」P37
- わたしがお世話をしている福音家族は現在24ありますが、いずれの家族も原則として月1度は共に食事をすることにしている 。基本的には、料理の得意な人が作って振る舞う P37
- 基本は無料、余裕のある人が出し合う。それが家族だから P38
- 家族とは「一緒ごはんをする仲間」「一緒ごはんをすることによって信頼関係を育てて、具体的に助け合えるセーフティーネット」P43
- イエスの「神の国運動」は、いうなれば「一緒ごはんによる家族づくり運動」P44
- マルコ6:41-44
- マルコ14:22-23
- ルカ11:37
- ルカ19:1-2、5-6
- 人々が本当に求めているのは、福音の理解ではなく、福音体験P60
- 「無期限のつながり」「無償の分かち合い」「無条件の助け合い」P115
- あくまでも、福音家族は、何があっても共にいて助け合うという真の家族づくりにあることを、メンバーは繰り返し確認し合う必要があります。家族とは、何か現実的な目標を達成するためにあるのではありません。集いそのものに意味があるのです。P138
- あらゆる分野の福音家族をお世話して、それらを有機的につなげていくのが、教会のあるべき奉仕の形。まずは人と人とが出会い、家族的な集いを体験しないことには、福音が福音にならないから
- よく、「教会」の信徒減少と高齢化が指摘されますが、福音家族の現場にいると、その実感は全くありません。多様で個性的な人々を招き入れ、家族になって一緒にごあんを食べている現場には、恐れを超え、壁を超えていく神の国の香りがします。そのような香りのもとにこそ、人は集まります。 P153
以下、福音家族の例
心の病で苦しんでいる人のためのクリスマス会
- 教会の仲間たちがお世話係になって、普段は教会に来づらい、心の病で苦しんでいる人たちをおもてなしして、主の降誕をともに祝う
- 家族としてともに働く仲間を募ったところ、集まったほとんどの人が数年以内に洗礼を受けた人たちで、自分も心の病を抱えている人たちが少なくなかった
- 合言葉は「その人が自分の家族ならどうするか」おもてなしの工夫
- プログラム
- 聖堂に集まりお祈り
- 司祭が福音を語る
- 聖歌奉仕フループが合唱
- 青年たちがその会のために作ったオリジナル曲を披露
- 信徒会館で心尽くしの手料理を振る舞う
- 乖離の際に小さなプレゼントを差し上げる
- 当事者の意見をリサーチし、
- 大勢の中で緊張して苦しくなってしまう人のために、静かに休憩できる部屋を準備
- 服薬中の人は手が震える方もいるので、箸の他に重めのスプーンを準備
いやしのミサ
- 月1回
- 司教様のお許しをいただき、都内の修道院の聖堂をお借りた
- 心を病んで元気のない人やどこの教会にも馴染めない「教会難民」対象
- 毎月100人近くの人が集まっている
ここヤシの集い⇒正式名称:こころの病に苦しむ青年のためのいやしの集い
- 開かれた教会には、人が集まってくる。自分自身をそのまま受容してくれる、真に安らげる場所に出会ったことがなかった、心を病んでいる人が多い
- 目的は「福音家族になること」
- 月に1回の集いを開始
- 専門家もボランティアで招集
- キリスト者である精神科の医師
- 精神科の看護歴がある信徒
- 看護婦のシスター
- プログラム
- ミサ
- 用意した小さな祭壇を一つの輪になって囲み、家族的な一致を象徴的に体験
- 食事
- 「お母さんの手作り」をイメージしたもの
- スタッフが調理して参加者と一緒に家族の食事を味わう
- ミサ
まんまカフェ
- 子育てで悩んだり孤立したりしたりしているお母さんたちを支える集い
- 月に2回、お昼におむすびとお味噌汁を作り、お母さんや子どもたちと一緒に食べる
- 口コミで集まったお母さんたち、教会が初めてという人も多い
- アレルギーなどもあるので、子どもたちの食事は原則として持参
- お母さんが食べている間、スタッフがキッズコーナーで子どもたちを遊ばせる
- 「ここに集まっているわたしたちは、神様が結んでくれた家族ですから、安心して何でも打ち明けてくださいね。困ったことがあったら、この家族が力になりますから。だいじょうぶですよ。さあ、今日も一緒にご飯を食べて、いっそう家族になりましょう」
うぐいす食堂
- ホームレスとの方々対象
- 福祉活動でも救済事業でもなく家族の食卓。美味しいものを自分だけでなく、家族でいただこうというプロジェクト。フルコースを教会でいただく
- 連絡をとるのが難しいので、1年分の日程と地図の入った招待状を毎月配る
- スタッフの中には、路上脱出のお手伝いをする人がいる
- 食事前に教会のシャワーを浴びる人も出てきた
タンタム会
- タンタム=ベトナム語で御心
- ベトナム人留学生の福音家族
- 自分たちでベトナム料理を作り、一緒ごはんしている
- 月1回ベトナム語のミサを行う。150名近く集まる
ベトナム人技能実習生の福音家族
- あえて、彼らと同年代の日本人の学生や就職魔もない青年たち、そして駆け出しの新聞記者にも加わってもらっている
- もしも技能実習生たちに不利益なことがあったら、家族全員で講義に行くため
- 日本の若者にとっても大きな出会いの体験になっている
アキバダファミリア
- オタクの生地である秋葉原に集まるような人たちで家族になろうという集い
福音サロン
- 大学生対象。月に2回
- 当初は神学部の学生を中心に、神学の研究発表をしていましたが、友達が友だちを呼ぶうちに、多様な学生たちが出入りする文化的な集いに
- 福音塾
- カトリックの神父がプロテスタントの牧師の集まりをお世話して毎月一緒ごはんをしている
- 「教会家族づくりによる福音宣教」というビジョンに強く反応したのは、プロテスタントの人たちで、たくさんの人が個別に訪ねてきたので、福音家族にするのはどうかと思って始めた
こども家族
- 貧困に苦しむ子どもや不登校で悩んでいるこどもたちの居場所になるような福音家族を作りたいと学生たちから声が出た
- 子どもを世話する仲間たちが一緒ごはんを重ねて、本当に家族になっていくところから始めよう
メモは以上です!
2019年に発行された本なので、コロナ後どうなっているのか、また、なぜ、人がどうやって集まってくるのか知りたいと思いました。晴佐久神父の他の本を読んだり、スパイ活動したりしようと思います!