■夢小説「エレヴェーター」 | 銀のマント

夢小説「エレヴェーター」



マンションのエレヴェーターに乗っていると、突然ストップし、電気も消えてしまった。
乗っているのはぼく一人。
非常ボタンを押すと「どうしました」という声がスピーカーから流れた。
管理人の声ではなかった。
「エレヴェーターが突然止まっちゃったんだけど」
「待ってください、今調べてみます」
1分ぐらいたって、「エレベーターは正常に動いてますよ」という声がした。
「いや、まだ動いてないし、電気も消えたままだ」
「そんなはず、ないんですけどねえ」
声の主はのんびりした口調でいった。イタズラだと思っているのだろうか。
カチッとスピーカーが切れる音がした。
非常ボタンを押しても、もう反応がない。
いつまでここに閉じこめられることになるのだろう。
大きな不安に包まれた。
突然さっきの声で「ハッピバースデー ツーユー」という歌がスピーカーから聞こえてきた。
そして電気がついてエレベーターが動きだした。
すぐに次の階にとまったので外に出ようとしたら、男が立っていて中へ押し戻された。
ドアが閉まりふたたびエレベーターが動きだした。
同時に男が「ハッピバースデー ツーユー」と歌いだした。さっきの声だ。
気がつくと男の手にはむき出しのナイフが握られていた。
「ハッピバースデー ツーユー」
同じフレーズを男はバカみたいに繰り返した。

ぼくの誕生日は半年先だが、生きてここから出られるのだろうか。