免疫グロブリン投与3日目。


ようやく最終日です。



やっぱり投与を始めると、すぐに気分が悪くなっていきます。


が、最後だから、とにかく我慢我慢。



ただ、この日わずかですが改善の兆候が現れました。


前日までは車いす、もしくは点滴台に両手でつかまってでしか歩くことが


できなかったのが、点滴台に片手をつかまるだけで歩けます。



ただ、基本的にずっと寝てるし、というか寝すぎの状態・・・


副作用の気分の悪さだけでなく、寝すぎから来る頭痛がつらくなってきました。



日曜日だったので、母親だけでなく親父まで見舞いにやってきました。


普段はあまり会話はないのだが、さすがに親父も心配しているようだ。



そりゃあ、息子が脳神経科に緊急入院となったら驚くよな。


逆の立場で、もし僕の息子がそうなったらと考えると・・・



検査の時からずっと付き添っているヨメ以上に


状況の分からない母親は相当な心配ようだったようだ。


ずっとじいちゃんの仏壇に拝んでいたらしい。



ipodを聞いていたら、かりゆし58の「アンマー」が流れてきました。


自然に涙があふれます。



こんな時は、本当に人の温かみを感じることができますね。



前日の夕方に、Facebookや所属しているランニングクラブの掲示板に


病気のこと、入院のことをカミングアウトしました。



100名を越える人々から応援のメッセージ。


本当に多くの人から支えられてるんだなあと再認識しました。


皆さん、本当にありがとう! どれだけ元気づけられたか。


元気になったら、何らかの形で必ず恩返しします。



免疫グロブリン投与は2日目になりました。


朝8時から投与が始まり15時ごろまでかかります。


朝起きた時は若干気分がよかったのですが、投与が始まるとまた気分が・・・



ずっと寝たままの生活です。


テレビは2重に見えるのと、角度的に斜めに見なきゃならないのがつらいので見ません。


目がちゃんと動かないので・・・



ただ、正面30cmくらいの一点のみ焦点が合います。


だから、暇つぶしはもっぱらiPhoneでYoutubeを見てます。



ずっと画面を見るのはつらいので、おもにライブを聞いたりしてます。


ミスチルやコブクロ、はたまた自分を励ますために矢沢栄吉まで。



が、一番勇気づけられるのは、実は実は長渕剛と森高千里。


どちらも、特に20代のときに好きだったんです。



精神が弱ると、なんだか一番懐かしく感じる時代にすがりたくなるのかな。


まだ将来がまっさらだったあの頃。


夢いっぱいだった青春時代を懐かしく思います。






治療方法は、免疫グロブリンの大量投与。


600ccを3日間、合計1800ccを点滴で投与します。



免疫グロブリン製剤はとても粘度が高く、これを投与していると


血液がドロドロになってしまい、脳梗塞や心筋梗塞のリスクがあります。



そのため、前日の夜からビタミン剤を点滴しつづけ


血液をサラサラに保たなければなりません。


まるまる3日間、ずっと点滴につながれっぱなしの生活が始まりました。


 

さまざまな副作用があると言われてましたが、


僕の場合、激しい倦怠感とムカムカ感に襲われました。



当然のことながら食欲はまったくありません。


体力をつけないと思って無理して食べますが、わずかに箸をつけるだけで精一杯。



病気の症状と薬の副作用で、もう歩くことも難しくなっていました。


検査のときには車いすでの移動。


車いすなんて生まれて初めての経験です。



ただ、体調と気持ちは最悪でしたが、


気分は治るんだという希望に、とてもハッピーになってました。







不安でなかなか寝付けない夜を過ごしました。


起きると、やはりさらに悪化している。



どうやら味覚もおかしくなっていて食欲もない。


味覚がおかしいってどんなかと言うと


ミネラルウォーターが、ちょっと醤油をたらした味に感じるんです。


まずそうでしょ・・・



午前中は、心電図やら眼科やらの検査。


総合病院での病気の特定っていうのは、徹底的な消去法なんですね。


可能性がある病気を一つ一つつぶしていく作業。


眼が動かない、2重に見えるという症状か眼科的にも検査。



それから、どうやら不整脈が出ているらしく


ず~っと心拍計をつけさせられます。



お昼前、主治医が来て説明。


今日は回診があって、他の先生たちにも診ていただいて


その結果で治療方針を決めると言われました。



午後になって回診。


まるで白い巨塔のように白衣の先生たちに取り囲まれました。


まさにまな板の鯉状態です。


主治医が他の先生方に説明し、他の先生からいろいろ聞かれたり


目の動きや腱反射などを診察されます。



そして先生たちの会話から聞きなれない名前が・・・


「フィッシャーで間違いないんでは?」


「まだ多発性硬化症の疑いもあるので・・・」


「MRIの画像は・・・」


「やっぱりフィッシャーでしょ」



んんん、フィッシャーって何だ?


そりゃ、もとバス釣り師だし、愛用してるスキー板はフィッシャーだが・・・



回診後、すぐにフィッシャーで検索


フィッシャー症候群



書いてある症状は、まさに今の自分と同じだ。


そして、 ほぼ完治する と書いてある。



夕方、僕とヨメはカンファレンスルームに呼ばれ、主治医から治療方針を聞きました。


主治医からは 「8割方 フィッシャー症候群で間違いないと思います。」


治療法は、免疫グロブリンという血液製剤を大量に投与することが一般的である。


完治までは個人差はあるが、長ければ半年はかかる。


免疫グロブリンは非常に高額であること、


血液製剤であるため、未発見のウィルスに感染するリスクは0ではないこと、


肝臓にかなりの負担がかかり、肝機能障害になるおそれがあること。


また、症状が悪化しているので、明日からでも治療に入ったほうがいい。



これらの説明を受け、もちろん明日からの治療に承諾。


そして、先生に聞きました。


「完治するんですよね?完治したらフルマラソンだって出来ますよね?」


先生からは 「十分にできます!」



本当に真っ暗な地獄の中で、神様を見た思いでした。


完治するんだ。治るんだ。


また、もとの生活に戻ることができるんだ。



半年かかろうが全然いい。


だって、治るんだから。





初めての病院での夜は、枕が合わずに寝にくい感じはあるものの


一日中の検査に疲れていたのか熟睡しました。



朝起きると、2重にものが見える複視はあいかわらずながら


さらに明らかに目の動きが悪くなってます。



ですが、ここでいきなりのわがままを。


発症以来風呂に入ってなかったので、とにかくシャワーを浴びたくて


髄液採取を午後にしてもらい、午前中はシャワーを浴びました。



が、ふらふら・・・


若い看護婦さんに付き添いましょうかと言われるが、それは恥ずかしくて無理。


なんとかいろんなところにつかまりながらシャワーを浴びました。


トイレもそうですが、介護用とか身障者用についてる手すりが


体が不自由だとどれほど役に立つかを身をもって知りました。



午後になってヨメが来ました。


昨夜は病気のことが心配でネットで調べてたら、余計に心配になって眠れなかったらしい。



そう言えば「多発性硬化症の疑い」って書いてあったけど、どんな病気だ?


正直言うと、この時点での僕の認識は甘く考えていました。


それに、iPhoneで調べることもできるけど、どうしても複視がきついので


調べる気になれなかったというのもありました。


が、ヨメの様子を見て、やはり僕もきちんと調べようと思いました。



その後、恐怖の髄液採取。


腰のところから背骨に注射して髄液を吸い取るやつです。


看護婦さんからも痛いと聞かされてたので覚悟を決めていたのですが、


なんと、これは全然痛くなく、しびれもまったくなし。


先生の腕が相当良かったようです。



夜、一人になって思い切って多発性硬化症について検索しました。


ショックでした・・・



治っても再発を繰り返す。


再発しないようにするためには、なるべくストレスをかけない生活をすること。


疲れるような運動は避ける。


紫外線は避ける。



要するに完治しない。


今まで通りの生活には戻れない。  ってこと?



ストレスをかけないって、それじゃ今の仕事はできないよ!


経営なんてストレスばかりなのに。


再発を繰り返すのなら、いつでも自分がいなくなってもいいようにしなきゃいけないってこと?


もちろん、マラソンや自転車ももうできない?



さらに子供たちのことを考えると、もう涙が止まりませんでした。


目の前が真っ暗になってしまいました。


もう、俺の人生終わっちゃうのかなと。