Q :被相続人である父は、生前に贈与などを多くしており、現在の遺産は少ないのですが、このような生前の贈与は、遺留分侵害額の算定に当たりどのように考慮されますか。
A :無制限に遺留分算定の基礎となるとすれば取引の安全を害するので、一定の条件をみたした贈与のみが遺留分算定の基礎となる財産に含まれます。
① 相続開始前の1年間になされた贈与(民法1030条前段)
② 1年前の贈与であっても、遺留分権利者に損害を加えることを知ってなされた贈与(同条後段)
加害の意図や誰が遺留分権利者であるかを知っている必要はなく、遺留分を侵害する認識があればよい
③ 不当な対価でなされた有償処分は、対価を差し引いた残額が贈与として加算(民法1039条)
④ 特別受益としての贈与(最判平成10年3月24日)
特段の事情がない限り、相続開始1年前であるか否かを問わず、また、損害を加えることの認識の有無を問わず、全て加算される。例えば、共同相続人の一人に、生計の資本として生前になされていた贈与などがこれにあたります。
以上の①~④に該当するものがあれば、これを相続開始時の遺産に加算して、遺留分額を計算します。
例えば、亡くなった時の預金が200万円であったとして、①が1000万、④が2000万あれば、遺留分算定の基礎となる財産は200万+1000万+2000万=3200万円になります。
相続人が一人だった場合は、遺留分割合は2分の1ですから、1600万円が遺留分ということになり、①や④の贈与を受けた人に対して、遺留分減殺請求ができることになります。
算定の基礎の計算はなかなか難しいです。専門家である弁護士にご相談ください。
エルピス総合法律事務所