(医学部大学等事件228)
前回記事でご紹介しました、山岸理事、堀研究科長、村田事務部長へお尋ねしたメールに対して、
https://ameblo.jp/iryouziko/entry-12605206305.html
本日(6/23)19時時点でご返信はありませんでした。
さて、今回は、5年目になる、医療裁判例を用いた研究室配属授業の案内などです。
金沢大学医学類3年生の秋から約1ヶ月半、学生全員が基礎医学・社会医学系の研究室(がん進展制御研究所を含む)へ配属になって(通常、1研究室に数名まで)、実習・演習などを行う授業です。
本日、今年用に、次の案内文を提出しました(本記事末尾に案内文の画像をお示ししています)。
<案内文ここから>
分子情報薬理学分野(薬理学)
(1)研究スタッフ
准教授(分野主任) 小川和宏
(2)研究の概要と特色
(ア)ヘム代謝調節のメカニズム解明と生体防御機能増強への応用
ヘムはヘモグロビンなどの構成分子として生命維持に必須だが、過剰になると活性酸素を発生して毒性が強く、ヘムが過剰になるとヘム分解酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現が誘導されて、ヘムは速やかに分解されて抗体酸化作用を持つビリルビンが生じる。これは生態防御反応であり、様々な疾患の治療や予防に役立つ。
我々は、ヘムが転写抑制因子Bach1に直接結合することで、Bach1のDNA結合を阻害して、脱抑制によりヘムが転写誘導することを見いだした。これは高等生物のヘム結合性転写因子の世界初の同定である(論文被引用336回)。また2012年には小川の「ヘムオキシゲナーゼ-1誘導剤」、2014年には小川らの「原虫感染症の治療又は予防薬」、2018年には小川の「心臓保護薬」の発明で、小川が特許権を取得し、応用への準備も進めている。
(イ)医療事故の分析による薬物治療の安全性向上
薬物治療領域での医療事故の分析とその情報発信で、医療の安全性向上に貢献している。
(3)学習目標
今年度も期間が短いため、実験手技の習得よりデスクワークを中心とするが、本研究室で以前に行っていた英文教科書の単なる輪読ではなく、能動的演習や実践に重点を置く。具体的には、医療事故事案の分析や創薬研究の起案を目指して、配属学生1人1人がテーマを決め、医学文献、特許文献、判決例等の調査などを行い、それらをまとめて発表する。
こうした過程を通じて、次の(i)〜(iii)を習得することを学習目標とする。
(i)文献調査、分析、まとめ、発表までを経験し、自主的にこれらを行えるようになる。
(ii)薬理学など基礎医学が、診療をはじめ多岐にわたる領域に役立つことを理解する。
(iii)医師など医療者側のみならず患者側の実感も理解し、医療事故防止の視点を養う。
(4)配属学生の指導方針
薬物治療領域の医療事故事案(本学や近隣での事案を除く)あるいは創薬研究等から、配属学生と指導教員の話し合いでテーマを選び(原則1人1テーマ)、医学文献、特許文献、判決例等の基本的な調査方法やまとめる方法などを指導し、後半に学生が発表を行う。
(5)配属学生への要望
自身のノートパソコン、薬理学図書室や図書館などを利用して、積極的に取り組むこと。
(6)受入れ可能人数
2〜5名
<案内文ここまで>
上記文中の特許権取得3件の特許証(特許庁長官発行の証明書)は、次の通りです。



また、昨年の配属人数は次の一覧表の通りで、私の薬理学研究室には8名が希望して全員を受け入れました(4名→7名→6名→昨年8名で推移)。

教員3〜4名の研究室が多いなか、教員1名の研究室では最多人数であり、全体でも最多に近いようです。
また、医療の質・安全学会で、この授業方法と実践が、ベストプラクティス賞候補にノミネートされるなど、高く評価されています(次の写真)。


今年は、セミナー室に飛沫拡散防止のビニールを張ったり、随所に消毒用アルコールを多く配置したり、フェイスシールドを購入したりといった、コロナ対策を行なっています。
●授業案内の画像
