9月28日の公判について*重要なお知らせあり!!! | 医療大麻解放戦線

9月28日の公判について*重要なお知らせあり!!!

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9月28日は第6回公判でした。
傍聴に駆けつけてくれた皆様、ありがとうございます。

その内容は?というと、論告・求刑及び最終弁論。
検察側が「こいつはこんなに悪いヤツだから、こういう刑にしてやりましょう」と言い、弁護側が「いやいや、こういう理由でこれはこうじゃないか」とやり合うんですね。

だいたい10~15分前くらいに喫煙所の辺りで弁護団と合流するのですが、行ったら阿曽山大噴火さんが居ました。
以前も傍聴に来て頂いた事があるので「今日も是非お願いします」と声を掛け、その後弁護団と合流。

で、法廷に入っていつもの通り被告人席に着いたんですが、入るとき、ちょっと柵に挟まりました(苦笑)
ああいうのはリアクションに困りますね。

その後検察官、裁判官が登場。
なんと、今回は検察官席に中澤康夫さんが居ません。
小太りの中年の女性と、クロブチメガネにスーツ姿の若い女性が検察官席に着きました。
中年の方(名前が分からないので)は終始目も合わせずブスっとしてましたが、クロブチメガネの方は秋葉原辺りで人気出そうな感じでした。
役割的には読む係、メモる係といったとこなのでしょうか。
中澤康夫さんは政権交代の煽りをくらい移動になったのか、逃げたのか、はたまた不都合な証拠を採用させてしまった責で切られたのかはわかりませんが、何れにしても証人喚問を妨害した張本人には変わりません。
例の中年の名前は調べて後日アップしますね☆

起立、礼、挨拶。
書類のやりとりが済み論告。
中年が手にしたファイル(この文書も後日頂く予定です)を読み上げました。
曰く、「被告人は病気で苦しんでいないし大麻使用は医療目的ではなく、自分の罪を軽くする為の後付けの卑怯な言い訳」だそうです。(オイ
まぁ、人事だと思って言いたい放題ですね。
意図してかどうかは分かりませんが虚偽の発言もあり、そこは最後に訂正させて頂きました。
求刑は1年6ヶ月及び押収物の没収。

対して弁護側の最終弁論。
こちらは手元にある原文そのままを載せますが、無許可での複製や転載などは一切禁止とさせて頂きます。

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平成20年(特わ)第2441号 大麻取締法違反被告事件

2009年9月28日
東京地方裁判所刑事第2部 御 中

被 告 人    成  田  賢  一

弁 護 人  弁護士 藤  澤     整
同      弁護士 瀬  野  俊  之

弁 論 要 旨

第1 はじめに
訴因変更後の公訴事実のうち,リゼルギン酸ジエチルアミド(通称LSD)の所持については争わない。
同公訴事実のうち大麻の所持については被告人は無罪である。

第2 被告人の大麻所持の目的
   被告人の大麻所持の目的が,自ら罹患しているクローン病の治療目的であることは,以下に述べるとおり,証拠上明白である。

 1 被告人がクローン病に罹患していること
   被告人がクローン病に罹患していることは争いのない事実である。
   被告人は,1999年の夏もしくは秋頃から肛門周囲膿瘍いわゆる痔瘻の症状に悩まされており,2003年に東京女子医大病院に入院して手術した直後,クローン病であると診断を受けた(被告人供述調書2ないし5頁,弁2)。
   それ以降,被告人は現在まで毎年,クローン病患者として特定疾患医療受給者証の交付を受け,入通院を続けている(弁1,弁2)。

 2 クローン病が既存の療法では完治しない難病であること
   クローン病は,原因不明の非特異性炎症性腸疾患の一つであり,主として口腔から肛門までの消化管全域に非連続性の炎症および潰瘍を起こす原因不明の疾患である。
   本疾患における病変としては,消化管の粘膜から漿膜までの全層を侵し,進行すると腸管が狭くなる狭窄によって腸閉塞をきたすことや,腸管に穴のあく穿孔や瘻孔(ろうこう),それらに膿が溜まった膿瘍ができることがあり,主な自覚症状としては,腹痛,下痢,血便,発熱,体重減少などの症状が現れる。
   多くの患者が寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(症状が悪化している状態)を繰り返し,長い経過の中で徐々に病気が進行していき,小腸・大腸癌の合併のリスクも高まる疾患である。
   クローン病に対する治療法として主に行われる薬物療法としては,5-ASA(5アミノサリチル酸)製剤,副腎皮質ステロイド,免疫調節剤,抗TNFα抗体製剤などがあるが,いずれも対症療法または寛解状態をできる限り維持するためのものにすぎず,そればかりか,それぞれに強い副作用が存在する。すなわち,副腎皮質ステロイドには骨粗鬆症,精神異常,知覚異常,細菌性敗血症等の感染症など,免疫調節剤には白血球減少や,胃腸症状,膵炎,肝機能障害など,抗TNFα抗体製剤には頭痛,発熱,悪心,めまい,肺炎などの日和見感染,結核等の様々な副作用が認めれるところであり,既存治療法は十分ではない。
   また,若年発症し慢性的に経過するため,患者は疾患による苦痛だけでなく,治療による時間的,金銭的にも多大な制約を受けるなどまさしく「難病」なのである(以上,弁3,弁4・200~203頁,弁6・169~173頁)。
   被告人も,2度にわたる肛門周囲膿瘍の入院手術を行い,現在も,5-ASA製剤を12錠,ステロイド1錠,免疫抑制剤1錠,胃を保護する薬4錠,整腸剤4錠と睡眠薬1錠を毎日服用している状態で(被告人供述調書14頁),医者からは中程度の病状と言われている(同8頁)。

 3 被告人が大麻の医療効果を知るに至った経緯
   被告人は,クローン病との確定診断を受けた後,自らの病気をインターネットで調べるうちに,ワシントン州などでは医療大麻法という法律があり,クローン病が適応疾患の一つとして加えられていること,大麻の成分であるカンナビノイドが体内のレセプターに作用して炎症を抑制し,腸管の修復を促進する作用があること,海外のクローン病患者本人による大麻療法の実体験談などが書かれたブログの存在などを知るに至った(弁8,9,10,被告人供述調書10~12頁)。
   また,自らの実感としても,大麻の使用によって,ストレスから来る胃腸のうずきや身体のだるさから解放され(被告人供述調書13,21,22頁),実際,海外では大麻療法のみでクローン病の進行を抑え寛解状態を保つことに成功している人がたくさんいることから,被告人も,自らの寛解状態を少しでも保つために(同15,16頁),クローン病治療のために大麻を使用していたのである。
   被告人が本件逮捕当時所持していた大麻も,自らのクローン病治療の目的で所持していたものであることは明白である。

 4 被告人の捜査段階における供述
このことは,被告人の逮捕時及び捜査段階における供述からも明らかである。
すなわち,現行犯逮捕時における職務質問で,被告は「内蔵の粘膜を強める薬」である旨供述しているほか(甲1・3頁),捜査段階の供述調書においても,繰り返し「病気から来る体中のストレスが抜け,特に病気で痛んでいる胃や腸のストレスが抜ける」(乙2・2,3枚目),「病気が理由で,ストレスから逃れるため」(同5枚目),「ストレスを和らげるため」(乙3・4枚目),「私のようにクローン病にかかっているものが大麻を吸うとストレスが抜けることから,医療用には合法にすべき」(乙4・4枚目)と供述しており,クローン病治療の目的で使用していたことを明らかにしている。

第3 クローン病に対する大麻の医療効果
   大麻がクローン病治療に多大な効果があり,米国などでは既に大麻によるクローン病治療が認められていることは,以下に述べるとおり,客観的な事実である。

 1 米国の多数の州で医療大麻法が制定され,クローン病が指定疾患とされていること
   米国においては,1996年にカリフォルニア州で大麻の医療使用が認められたのを皮切りに,現在までに実に13州で医療目的の大麻使用が合法化され,そのうち5つの州ではクローン病が具体的許可事由として明記されており,カリフォルニア州では明示的にクローン病は指定されていないものの,「その他大麻により症状の緩和が得られる疾患」の枠組みに含まれている(弁12ないし弁15,弁17・3ないし6頁)。そのほか,オランダ,カナダ,イスラエル,スペインなど世界各国でも次々に医療大麻が認められているのが現状である(被告人供述調書13頁など)。

 2 クローン病患者に対する大麻療法の医学的有用性
   医学的に見ても,大麻によるクローン病患者への医療効果が明らかとなっている。

   すなわち,弁台17号証の意見書を執筆したジェフリー・Y・ヘルゲンラザー医師の研究によると,クローン病患者の大麻使用により,痛み,拒食症(食欲不振),嘔吐感,嘔吐,疲労感,鬱っぽさ及び活発性,炎症発生の頻度や重症度などに対して,それぞれ統計的に重大な改善が見られている(弁17・7頁,弁16)。
また医学的なメカニズムとしても,大麻草固有の分子であるカンナビノイドが,人間の身体の特定の場所に見られるカンナビノイド受容体と反応すること,受容体のうちCB1受容体は食欲,免疫機能,筋肉制御,痛み,眼底圧,認知,嘔吐,神経興奮,報酬機制及び体温調節を制御しており,CB1受容体のカンナビノイド活性化によってこれらの自然な作用を下方抑制すること,CB2受容体は脾臓内の免疫機能及び循環している白血球内にあり,カンナビノイド活性化により免疫機能や細胞増殖,炎症及び痛みを制御することなどが判明している。特に,2005年8月号の医学誌「胃腸病学」では,イギリス・バース大学の研究チームにより,クローン病を煩った患者の胃腸内側細胞組織内に大量のカンナビノイド受容体が存在し,受容体を活性化することで胃腸細胞膜の治癒が促進されることが発表されるなど(弁17・7,8頁),大麻療法がクローン病治療に効果を持つことは,医学的にはもはや疑いのない事実といってよい。
上述のヘルゲンラザー医師は,クローン病に対する既存の療法では治療が非常に困難であることを説き,手術をしても別の箇所で再発すること,瘻孔,閉塞症,慢性感染症及び出血といった合併症が現れること,寿命が短くなること,既存の療法では高額なしかも副作用のある薬剤を多数処方することになるが,疾患の進行を十分に制御することが出来ないこと,これに対し,多くの患者は常態的に大麻を利用すれば既存の医薬品を一切必要としなくなることを述べ,1日2~4回の大麻の喫煙または気化摂取が最適であると述べている(弁17・8,9頁)。

 3 被告人に対する大麻療法の有用性
また,ヘルゲンラザー医師は,実際に被告人自身の症状も聞いた上で,被告人に大麻療法が有効であることを述べている。
すなわち,ヘルゲンラザー医師は,被告人と2009年5月以降,数回にわたってインターネットを介したテレビ電話による会議を行い,被告人のカルテ,大腸内視鏡検査の写真と病理報告書を見て,被告人から,既存の療法では十分な効果が得られていないこと,痛みの緩和,腹痛,異常排便を抑える最良の方法が大麻だったとの報告を受けたうえで,他の療法と比較した大麻の無害性,許容度,鎮痛,抗炎症,鎮痙及び免疫調整特性は別格であるとして,被告人の大麻使用を医学的見地から必要なものだと結論づけている(弁17・11頁)。
また,被告人の実際の大麻の使用頻度についても,大麻が手に入った際には,1日2,3回吸うなどというもので(被告人供述調書25頁),上述した最適使用量を上回るものではなく,ヘルゲンラザー医師からは,本来であれば倍の量を使用した方がいいとの意見をもらったところであって(同18頁),相当性を欠く過剰窃取などではないことが明らかである。

第4 被告人の大麻所持は無罪とされるべきこと
このような事情と目的のもとで大麻を所持していた被告人を有罪であるとし,刑罰をもって臨むことは決して許されることではない。

 1 大麻取締法3条1項,同4条1項及び同24条の2第1項の違憲性
そもそも,我が国の大麻取締法においては,同3条1項において大麻取扱者以外による大麻の所持・使用等が禁止され,また同4条1項においては,「大麻から製造された医薬品を施用し,又は施用のため交付すること」(同2号)も「大麻から製造された医薬品の施用を受けること」(同3号)も禁止されており,医療目的での使用が全面的に禁じられている。
これは,麻薬及び向精神薬取締法が,麻薬施用者は麻薬を施用する事ができるとし(同法1条18号),覚せい剤取締法が,医師や医師から指示を受けた者が覚せい剤を使用する事ができるとしている(同法19条各号)ことと比べても異常である。
これは大麻取締法が制定された昭和23年当時,大麻を医薬品として使用することが全く想定されていなかった時代の遺物そのものといわざるを得ない。
上述したとおり,今日,大麻の医療使用の有用性がこれだけ国際的に明らかとなった以上,医療使用の例外規定を一切設けないこれらの規定は,全く合理性を欠いている。
殊に,既存の治療法には限界のある難病で,かつ,海外では大麻療法が現在の最も有用な治療法とされているクローン病患者においては,医療目的で大麻を使用し,またその施用を受けることは,まさに自らの命をかけた治療のための行為であり,生存権(憲法25条)の自由権的側面及び自己決定権・幸福追求権(憲法13条)として,憲法上の保障を受ける基本的人権である。
したがって,大麻取締法3条及び同4条が,医療目的での使用,施用のための例外規定を設けていないことは違憲である。
また本件の罰条である大麻取締法24条の2第1項も,その前提となる同法3条4条と同様,医療使用目的のための所持すら一切認めない点において違憲無効であり,また,同条項を本件の被告人に適用する限りにおいて違憲であるから,被告人は無罪である。
大麻取締法において大麻所持等を罰する処罰根拠が人体に対する有害性にあるというのであれば,尚のこと,本件の被告人の大麻の所持目的は自らの健康に資することにあり,また客観的にもその有用性が認められているのであるから,法の趣旨からしても本件被告人のごとき医療使用目的のための所持を認めないことは背理である。

 2 被告人の所持は「みだりに」に該当しないこと
   同様に,被告人の大麻所持は,有用性が認められている真摯な医療使用目的であり,同法24条の2第1項に規定する「みだりに」には該当せず,被告人は無罪である。

 3 正当行為(刑法35条)
さらには,被告人の本件所持行為は,既に述べたとおり正当な治療目的というべきであり,刑法35条の正当行為として違法性が阻却されるべきである。
この点,本件のごとき医療目的のための大麻所持が争われた事案である大阪地裁平成16年3月17日判決は,医療目的での大麻の人体への施用が正当化される場合として,「大麻が法禁物であり,一般的な医薬品としては認められていないという前提で,なおその施用を正当化するような特別な事情があるときに限られる」と判示し,控訴審の大阪高裁平成16年7月21日判決もこれを是認する。
上記裁判例は,医療目的での大麻使用が研究段階にあることを前提として厳格な要件を課したものであるが,これは平成16年における裁判例であり,5年以上経過した現在においては,もはや世界の医療大麻は研究段階ではない。したがって,現在ではより緩やかな要件が定立されるべきであるが,少なくともこの当時の枠組みによっても,被告人の大麻所持は正当化されるものである。
すなわち,既に述べたとおり,被告人にはクローン病に罹患している確定診断があり,そのクローン病は根治療法が存在しない進行性の難病であり,かつ国内の既存療法では,多数の薬を処方され,重篤な副作用の恐れもあるなど,経済的にも身体的にも大変な負担を強いられる一方,症状の進行を止める効果は限られている。他方,大麻がクローン病治療に有用であることは既に医学的にも明らかである上,米国の各州などでは法律によりクローン病患者の大麻療法が認められている。
にもかかわらず,国内では医師による大麻療法を施用してもらうことは望めない。
このような状況の下,自らの寛解状態を少しでも続け,クローン病の治療をするという真摯な目的のために,相当な方法で相当量の大麻を使用するために,大麻を所持した本件の行為は,まさに「正当化するような特別な事情」が存する場合である。
したがって,本件被告人の大麻所持は正当行為(刑法35条)として,その違法性を阻却され,無罪である。

 4 可罰的違法性の不存在
また,被告人の行為に可罰的違法性はない。
すなわち,刑法における違法の評価は,法秩序全体に反するかどうかを,単に形式的にではなく,実質的・相対的に判断されるべきであるが,本件被告人のクローン病治療のための所持には,実質的に刑法上の制裁に値するだけの違法性が備わっていないのである。

5 期待可能性の不存在
加えて,刑法上,ある行為者に対し責任を認めるためには,その行為者に対し適法行為を期待でき,非難可能な場合でなくてはならないところ,自らの進行性の難病について,大麻がその進行を止めるのに有用であることを知り,藁にもすがる思いで,その療法を試す被告人の行為を非難することができようか。
被告人の行為には期待可能性が存在せず,無罪である。

第5 結語
   以上のとおり,あらゆる法的評価の観点からも被告人の大麻所持は有罪とされるべきではない。
   クローン病をはじめとする多くの難病患者は,既存の療法によっても完治することのない絶望感と闘い,効果の薄い夥しい数の薬物を投与され,多くの経済上,生活上の負担と副作用の恐怖に怯えながら治療を続けている。
そのような患者が,海外で実際に認められ,効果を上げている治療法を取り入れたい,試したい,と切実に願うのは,人間として当然の心情である。
難病患者にとって少しでも寿命をのばせる方法がそこにあるにもかかわらず,その方法を犯罪であるとして国家権力がこれを禁ずることは,難病患者に対し,漫然と病状の進行と死の接近を座視しなければならないという規範を押しつけることになる。
国民の生命を守ることを第一の責務とするはずの国家が,そして少数者の人権を保障するための裁判所が,難病患者にとって現在最良とされる治療の道を閉ざすという愚を犯さないことを切に願うものである。

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最後に、僕自身に対して「何か言いたい事は有りますか?」と聞かれ、上記検察の虚偽発言の訂正、現状の改善の為の請願、大麻が無罪ならばLSDの所持については執行猶予が付かない実刑でも構わないと考えている旨話させて頂きました。

が、絶対言おうと思っていた「大麻は無罪になったら返してください!!!」を失念しておりました(苦笑)

という訳で運命の判決は11月2日、同じく東京地裁528法廷にて午後1時半からです。