北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅹー1に引き続き、厚生労働省による行政処分無し及び行政処分等申立書に対する厚生労働省の時系列対応並びに行政処分等申立書(平成29年2月7日付)について記載したいと思う。

 

第Ⅰはじめに

1.厚生労働省による行政処分無し。

 

2.行政処分等申立書に対する厚生労働省の時系列対応

(1)平成29年2月6日、筆者は厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係 担当成田に電話をし、北里大学病院医療過誤につき、以下概略を説明した。

■「架空」の病院(茅ケ崎病院整形外科)における「架空」の診断(両変形性膝関節症)に基づく「架空」の治療歴(関節穿刺)のカルテ記載

■最高裁にて右膝MRSA感染経路を「架空」とする重大な事実誤認が判決として確定した事実

■治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしなかった事実

■治療途中に必須の治療を終了した事実

■院内感染防止対策を怠った事実

 同成田は筆者に行政処分申立書を提出するように返答した。

 

(2)平成29年2月7日、筆者は、前記成田宛に行政処分等申立書原本(平成29年2月7日付)及び証拠書類を送付した。

 

(3)平成29年2月8日、筆者は、前記成田に電話をした。

 カルテに「架空」の病院における「架空」の診断に基づく「架空」の治療歴の記載があることにつき、同成田は、「(架空の病院等について)事実関係を確認する。3月の処分は無理、9月もしくは来年(平成30年)の3月になる。」旨を回答した。

 

(4)刑事事件とならなかった医療過誤についても、医療を提供する体制や行為時点における医療の水準などに照らして、明白な注意義務違反が認められる場合などについては、処分の対象として取り扱うことになっている(「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」(厚生労働省医道審議会医道分科会(平成14年12月13日付、平成24年3月4日改正、平成27年9月30日改正、平成29年9月21日改正))。

 平成29年7月7日横浜地方検察庁検察官検事 犬木寛による不起訴処分及び平成29年12月19日横浜第二検察審査会による議決の結果である。行政処分等申立書(平成29年2月7日付)の補充の必要がある。

 

(5)平成30年1月15日、筆者は、前記成田宛に補充書面(平成30年1月15日付)、上申書(平成30年1月15日付)、診断書(平成29年5月24日付)等を送付した。

 

(6)平成30年1月31日、筆者は、前記成田に電話をし、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)は医道審議会に提出されているかどうか確認した。同成田は、「医道審議会に行政処分等申立書(同上)は提出しない。」旨返答した。

 筆者は、同成田に、一例として、「行政処分等申立書に明記した北里大学病院医師らの行為について、カルテや診療録等を実際に見た弁護士・医師らは、治療しないことに因る病態悪化を認識しながら意図的に治療をしなかった事実、治療が終わっていないにもかかわらず障害発生を認識しながら意図的に必須の治療を終了した事実等、刑事事件となる事案であると説明した。」旨を伝え、医道審議会に対する行政処分等申立書(同上)提出の必要性を主張し訴えた。

 これに対し、同成田は、「検討します。」と返答した。

 

(7)平成31年1月10日、筆者は、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)及びそれに付随する証拠書類一式の医道審議会への提出の有無について確認すべく、厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係に電話をした。

 前記成田は、平成30年4月1日付で異動となり後任は、岩永であった。

 筆者は、対応に出た同係 満保に行政処分等申立書(同上)提出の経緯及び北里大学病院医療過誤事件の概略を伝え、同係 岩永への取り次ぎを依頼した。

 しかし、前記満保は、「司法の判断が正しいので、厚生労働省はそれに従う。岩永も同じ内容になるので時間の浪費になる。」と返答した。

 

(8)要するに、行政処分等申立書(平成29年2月7日付)は医道審議会に提出されず、行政処分がなされなかった。処分行政庁である厚生労働省が不正と評価・認識している事案につき、北里大学病院については不問に付した。

 

(9)上記満保の「時間の浪費になる。」との発言はきわめて不快である。

 筆者とその家族らは、「時間の浪費」どころではない。

 平成21年4月24日北里大学病院整形外科外来担当医SKに関わったことに因り、筆者のその後の人生は台無しにされ、筆者のみならずその家族の生活までもが振り回され一変しただけでなく、令和4年1月においてもなお、理由もなく、筆者とその家族ら身辺における不審・不穏な事態が続発しているのである。

 

第Ⅱ 行政処分等申立書(平成29年2月7日付)

 

 

行政処分等申立書

平成29年2月7日

厚生労働大臣

塩崎 恭久 殿

 

                                        申 立 人 筆者

                    〒〇〇〇ー〇〇〇〇 〇〇〇県〇〇〇市〇ー〇

                    申 立 人     筆者

                    電話    〇〇〇〇ー〇〇ー〇〇〇〇

                    FAX        〇〇〇〇ー〇〇ー〇〇〇〇

                    携帯    〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇〇

 

                    〒〇〇〇ー〇〇〇〇 〇〇県〇〇市〇ー〇

                         被申立人   UK

                         被申立人   HN

 

                   〒〇〇〇ー〇〇〇〇 〇〇〇県〇〇市〇ー〇

                         被申立人   SK

 

                   〒〇〇〇ー〇〇〇〇 〇〇〇県〇〇〇市〇ー〇

                         被申立人   MA(平成21年当時)

                         被申立人   MM(平成21年当時)

                         被申立人   SH(平成21年当時)

                         被申立人   M(氏名不詳 平成21年当時)

                         被申立人   Y(名不詳 平成21年当時)

                         被申立人   O(名不詳 平成21年当時)

                         被申立人   T(名不詳 平成21年当時)

 

                   〒〇〇〇ー〇〇〇〇 〇〇〇県〇〇〇市〇ー〇

                         被申立人   OA(平成21年当時)

 

                   〒108-8642 東京都港区白金台五丁目9番1号

                         被申立人   学校法人北里研究所

                         代表者理事長 KK

 

 申立人は、被申立人らに対し、申立ての趣旨記載の処分を求める。

 

【目次】

申立の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

申立の理由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第Ⅰ部 本件行政処分、特定機能病院の承認取り消し及び行政指導を求める理由・・4

 第1部 当事者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

 第2部 本件判決確定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

  第1 本件判決の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

  1.本件判決の重大な誤判・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

  2.本件判決の重大な事実誤認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

第3部 医事関係行政法・行政規則違反・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

 第1章 SKによる医師法違反・医事に関し犯罪・不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

 ■ 最高裁の重大な事実誤認・誤判を牽制する必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

 第2章 UKによる医師法違反・医事に関し犯罪・不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

 ■ 最高裁の重大な誤判を牽制する必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

 ■ 最高裁の重大な誤判を牽制する必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

 第3章 HNによる医師法違反・医事に関し犯罪・不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

 第4章 MAによる医事に関し不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

 第5章 MMによる医事に関し不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72

 第6章 「M」による医師法違反・医事に関し不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

 第7章 SHによる医師法違反・医事に関し不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74

 第8章 OAによる医事に関し犯罪・不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

 第9章 Y・O両名による看護師業務に関し犯罪・不正の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78

 第10章 Tによる看護師業務に関し犯罪の行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80

第4部 特定機能病院の承認取り消しの必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81

第5部 行政指導の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89

第6部 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90

第Ⅱ部 結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90

 

申立ての趣旨

1 被申立人UK、同SK、同HN、同MA、同MM、同SH、同M(氏名不詳)及び同OAの医師免許をそれぞれ取り消す。

との行政処分を求める。

2 被申立人Y(名不詳)、同O(名不詳)及び同T(名不詳)の看護師免許をそれぞれ取り消す。

との行政処分を求める。

3 北里大学病院の特定機能病院の承認を取り消す。

との行政処分を求める。

4 被申立人学校法人北里研究所は本件事件類似事件の再発防止措置をとれ。

との行政指導を求める。

 

申立の理由

第Ⅰ部 本件行政処分、特定機能病院の承認取り消し及び行政指導を求める理由

第1部 当事者

1.申立人

 申立人は、被申立人学校法人北里研究所が設置運営する北里大学病院(以下、「本件病院」という。)において、平成21年(以下、平成21年であるときはその記載を省略する。)4月25日に正当性・必要性・妥当性のない手術(デブリドマン・持続洗浄)(以下、「本件第1手術」という。)を受けた結果、右膝MRSA感染し、MRSA右化膿性膝関節炎、骨の感染、MRSA右膝骨髄炎、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)感染し、右膝半月板消失、右膝前十字靭帯ほぼ消失、右下肢 膝関節 機能全廃 4級、MRSA右膝慢性骨髄炎、右膝MRSA感染再燃悪化の危険性、右膝疼痛増強等の傷害を負い、ザイボックスを含む全ての抗MRSA薬に耐性となり(以下、この医療過誤を「本件医療過誤」という。)、MRSA感染症の治療に使用できる抗菌薬が存在しないため右膝MRSA感染症治療が不可能な病態に陥り、右膝MRSA感染再燃悪化の場合には、右下肢切断(切断部位特定不可能)、又は生命の保証のない病態に陥っている被害者である。

 

2.被申立人ら

(1)被申立人UK(以下「UK」という。)、同HN(以下「HN」という。)、同SK(以下、「SK」という。」)、同MA(以下、「MA」という。)、同MM(以下、「MM」という。)、同SH(以下「SH」という。)、同M(氏名不詳)(以下、「M」という。)、同OA(以下、「OA」という。)、同Y(名不詳)(以下、「Y」という。)、同O(名不詳)(以下、「O」という。)、同T(名不詳)(以下「T」という。)(以下、11名を総称して「加害者ら」という。)の内、UK、HN、SK、MA、MM、SH、Mらは、いずれも被害者である申立人に対する本件医療過誤を引き起こした当時本件病院に所属する医師らであり(Mについては、カルテに記載があることから医師と推認する。)、また、OAは被申立人学校法人北里研究所が設置運営する北里大学東病院に所属する医師であり、Y、O、Tらはいずれも被害者である申立人に対する本件医療過誤を引き起こした当時本件病院に所属する看護師である(Tについては看護記録に記載があることから看護師と推認する。)。

 UKは申立人の主治医を務め本件第1手術及び本件第2手術の執刀医、HNは申立人の受持医を務め本件第1手術及び本件第2手術の助手、SKは4月24日整形外科外来における初診医でありカルテに架空を記載し、MAはチーフを務め本件第1手術の執刀医であり本件第2手術の助手、MMは院内感染対策指導医、SHは6月12日抜糸を実施し、Mは6月11日カルテに架空を記載し、OAは正当な理由がなくMRSA感染患者であることを漏らした精神科医であった。

(2)学校法人北里研究所は、加害者らが本件第1手術を行った当時、同人らを雇用していたものである。

 

第2部 本件判決確定

1.一審

 平成25年4月18日、申立人は被申立人(学校法人北里研究所)を被告として、本件第1手術の不法行為及び債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起した(平成25年(ワ)第10076号 損害賠償請求事件)。平成27年3月5日、同裁判所は申立人の請求を棄却した。

 

2.控訴審

 平成27年3月12日、申立人は東京高等裁判所に控訴した(平成27年(ネ)第1710号 損害賠償請求控訴事件)。平成27年7月15日、同裁判所は本件控訴を棄却した。

 

3.上告審

 平成27年7月21日、申立人は東京高等裁判所に上告提起及び上告受理の申立てをした。平成27年12月4日、最高裁判所第2小法廷は、本件上告を棄却し、また、本件を上告審として受理しない決定をし、申立人敗訴の判決(以下、「本件判決」という。)が確定した(平成27年(オ)第1416号、平成27年(受)第1764号)。

 

第1 本件判決の内容

本件判決は、以下の認定判断をし、本件病院と加害者らの債務不履行・不法行為責任を否定し、また、加害者らを雇用している学校法人 北里研究所の使用者責任を否定した。

 

1.本件判決の重大な誤判

(1)患者の自己決定権を否定する判断

 本件判決によって、医療水準を完全に無視し医師独自の見解に基づく医師独自の治療方法を医師が独断で決定し患者に治療方法の選択の余地を一切与えないことを容認する判断、すなわち、患者の自己決定権を完全に否定する新たな判断が確定した。

 

(2)医学界において認められていない治療方法を容認する判断

 本件判決によって、医学界において認められておらず、かつ医学文献に記載のない医師独自の見解に基づくきわめて特異的な治療方法を容認する新たな判断が確定した。

 

(3)MRSA感染増悪を認容する判断

 本件判決によって、MRSA感染症に対しバンコマイシンを直ちに投与開始しないことに因るMRSA感染増悪を不適切ではないとする反社会的な判断が確定した。

 

(4)MRSA感染症に対するMRSA耐性の抗菌薬使用を認容する判断

 本件判決によって、MRSA感染症に対するMRSA耐性抗菌薬(ペニシリン系、カルバペネム系、テトラサイクリン系等)使用を不適切ではないとする判断が確定した。

 

 すなわち、本件判決は、MRSA感染増悪及び薬剤耐性菌産生を認容する判断をした。最高裁のかかる判断は反社会的かつきわめて重大な誤判であり、また、薬剤耐性菌撲滅という国策に反し、MRSA感染増悪に因る更なる医療資源投入に因り国益を損なう。

 

2.本件判決の重大な事実誤認

(1)MRSA感染経路を「架空」とする事実誤認

 4月24日、SKは、「架空の病院」における「架空の診断」に基づく「架空の治療歴」をカルテに記載した。膝関節は「無菌」である。「無菌」組織である膝関節が「架空」でMRSA感染することはない。ところが、平成26年12月18日東京地裁611号法廷においてUKは前記「架空」のカルテ記載に基づき、これを右膝MRSA感染経路である旨を証言した。その結果、本件判決は右膝MRSA感染経路を「架空の病院における架空の診断に基づく架空の治療歴」と認定した。右膝MRSA感染経路が「架空」であることはきわめて重大な事実誤認である(甲A8の1、U証人調書15、45頁)。

 

(2)慢性の滑膜炎との確定診断を「化膿性膝関節炎」と事実誤認

 本件判決は、4月24日本件病院入院前採取の関節液培養検査結果「陰性」及び4月25日採取の関節液・組織・その他の培養検査結果「陰性」並びに病理組織検査結果による「慢性の滑膜炎」・「皮下脂肪組織炎」との確定診断名を認定判断せず、「化膿性膝関節炎と認定したことは重大な事実誤認である。平成21年6月分レセプトには、「入院後発症傷病名MRSA関節炎」と記載がある。また、2009年06月分診断群分類決定票には、「【後発疾患】MRSA関節炎」と記載がある。御庁保険局医療課作成のDPC/PDPS傷病名コーディングテキストによれば、「入院後発症傷病名」とは、「入院後に発症した傷病名」であり、「入院時にはなかった傷病名」である(甲A27、甲A55、甲B164の15頁、甲B165の92頁、乙A1の71~72頁、128~131頁)。

 ところが、本件判決は、「MRSA感染が入院後に判明したために、そのような記載となった可能性を否定できず、同記載だけから原告が入院後にMRSA感染したと認めることはできない。」と認定した。かかる認定は詭弁である(原判決29頁)。

 本件判決が、病理組織検査に基づく確定診断及び培養検査結果という科学的根拠に基づく客観的証拠をいずれも採用せず、かつ御庁作成のDPC/PDPS傷病名コーディングテキストに記載のある「記載欄」に定められている「留意事項」を無視し、傷病名を恣意的に解釈したことは問題である。

 

第3部 医事関係行政法・行政規則違反

第1章 SKによる医師法違反・医事に関し犯罪・不正の行為

 「架空」をカルテに記載することは、医師法(昭和23年法第201号)24条1項に違反する。同法24条が規定する診療録に関する事項は医師法施行規則(昭和23年厚生省令第47号)23条規定のとおりである。

第1 医師法24条1項違反

1.4月24日、SKは、「H20年12月より右膝痛。茅ケ崎orthoでBill knee OAとDx.膝水症でpuncture数回」とカルテ記載した(甲A8の1)。

 

2.平成20年12月、申立人の右膝痛が発現したが、同年同月、申立人はいかなる病院のいかなる整形外科をも受診した事実はない。右膝痛に対する初診・治療歴は1月13日本件病院整形外科 NK医師 右膝関節腔内アルツ投与である(U証人調書46頁、甲A5、甲C11)。

 

3.したがって、SKの「茅ケ崎orthoでBill knee OAとDx.膝水症でpuncture数回」とのカルテ記載は、「架空」である。SKが「架空」をカルテに記載したことは、医師法24条1項違反である(医師法33条の2)。

 

■ 最高裁の重大な事実誤認・誤判を牽制する必要性

1.UKは、SKの「架空」のカルテ記載に基づき、「どこかでされた注射で(MRSA)感染した可能性が一番高い」と証言し、かつ陳述書に「原告は、平成20年12月から右膝痛が出現し、茅ケ崎病院整形外科において両変形性膝関節症と診断され、穿刺を数回受けていました。」と記載した。UKの上記陳述書内容「茅ケ崎病院整形外科において両変形性膝関節症と診断され、穿刺を数回受けていました。」は「架空」である。茅ケ崎病院整形外科は存在しない。

 申立人は、平成20年12月いかなる病院のいかなる整形外科をも受診した事実がないことを陳述書に記載し、また、証言してきたが、SKのカルテ記載について審理を尽くさず事実関係が明らかにされることはなかった(U証人調書15、46頁、乙A12の1頁、甲C11)(括弧内・下線は申立人による。)。

 

2.その結果、本件判決は右膝MRSA感染経路をSKがカルテに記載した「架空の病院(茅ケ崎ortho)」における「架空の診断(Bill knee OAとDx.)」に基づく「架空の治療歴(膝水症でpuncture数回)」と認定判断した。つまり、カルテに記載ある内容はたとえ「架空」であろうと審理が尽くされず、「架空に因る右膝MRSA感染」との重大な事実誤認が判決として確定した。これは、診療録に真実を記載する義務を論ずる以前の問題であり、診療録に真実を記載する義務を否定す診療録の存在意義がない。

 

3.しかし、本件判決を覆すことはできない。かかる重大な事実誤認が確定した以上、「架空」のカルテ記載が再び繰り返し行われる危険性がある。また、本件判決が確定したことによって、診療録に真実を記載する義務が崩壊する虞がある。

 

4.そこで、最高裁に右膝MRSA感染経路を「架空」とする重大な事実誤認を前提とした誤判の重大性に鑑み、御庁のSKに対する厳正な処分権限発動による処分が必要である。

 

第2 SKによる医事に関し不正の行為

1.診療録に真実を記載する義務は、医師の職業倫理として遵守することが当然に求められる義務である。SKはカルテに複数の虚偽記載をした。これは医事に関し不正の行為に当たる(医師法4条4号、医師法7条2項)。

 

2.参考事項

(1)カルテ虚偽記載その1

ア.4月24日SKの「明日9:00 oncall Ope 予定」とのカルテ記載は虚偽である(甲A9)。

イ.4月24日本件病院入院前、UKは申立人及びその家族らに「緊急事態である。右膝内にある菌が全身を駆け巡り死に至る。オペ室が空き次第、たとえ夜間でも緊急手術を実施する。」と説明した。当日中の緊急手術に備え、申立人は同日14:40の「ウーロン茶1口」を最後に絶食となっていた。外来看護経過記録(緊急入院・全科)に、「本日 opeの可能性あり NPO(絶食)の説明ずみ」と記載があるとおりである(甲A75)(括弧内・下線は申立人による。)。

 

(2)カルテ虚偽記載その2

ア.4月24日SKの「U先生から、御両親、御本人へI.C.」とのカルテ記載は虚偽である(甲A9)。

イ.4月24日UKは申立人に本件第1手術の危険性及び合併症について一切説明しなかった。4月24日UKがカルテに一切記載しなかったことから明白である。

 

(3)カルテ虚偽記載その3

ア.4月24日SKの「A/Sで行う施設もあるが」とのカルテ記載は虚偽である(甲A9)。

イ.本件第1手術を実施した「中央手術室」において「A/S」での治療は可能である。

本件第2手術(5月1日23:45~2日04:45)を「中央手術室」において実施し、その際A/Sを使用したことから明らかである(乙A1の56頁)。

 

(4)カルテ虚偽記載その4

ア.4月24日SKは、当日採取の関節液性状(甲A7)について「黄色やや混濁白色沈殿物+」とカルテに記載したがこれは虚偽である(甲A8の2)。

イ.同関節液性状(甲A7)について、これを確認した全ての整形外科医は、「ただの水。」、「ただの水であり化膿性ではない。」と言明し、また、「やや混濁と記載する整形外科医はいない。」と明言した。

 

北里大学病院医療過誤裁判 東京地裁から最高裁まで 第Ⅹー3 第2章 UKによる医師法違反・医事に関し犯罪・不正の行為 に続く。