雨-Rain- | この世の全部を敵に回して

雨-Rain-

なにを考えているのか自分でもわからない


前を見つめながら歩行する


それでもなにを見つめているのかわからない


対象物をさけるために目がついているのか


ただただ目的地に向かうために目はあるのか


人間の中心はどこか


人間の肉体の中心はどこか


答えは目


眼球こそが健常者の中心にあたるのだという


そんな話をどこかで聞いた


袖からでた手にポツリとなにかあたるのを感じた


それが雨だと気づいたのは5秒後


ふいに歩みを止めて空を見上げる


雲がきれいな灰色になっていることを今知る


だんだんと雨脚が強まってきた


雨に打たれていると自分が裸ではないことに疑問を感じる


どこかで雨の訪れを祝っている声が聞こえる気がする


また前を向いて歩きだす


人間の肉体の中心は目


そんなことをまた考えだす


外からの刺激で思考が遮断されるのがよくわかる


雨が新しい行動を与えた


目で捉えた雨はあまりにも漠然としていて真実をみつけらてない


一体何粒の雨が体に降りかかったのだろうか


一体何粒の雨がこの周囲に落ちていったのだろうか


捕らえることができないものを目は捉えることができる


眼球に映し出されたものは


その瞬間に時がとめられている


瞳に映し出された雨はいくらふろうとも


眼球を通して脳内に保存される


あっという間に記憶のちりなろうとも


その瞬間はまちがえない保存される


歩きながら考えることを考えると


それはどこか不自然な行為にも思えてくる


わからない


雨がなにか答えをもっているならば


教えてほしい


人間の肉体の中心は目である