入蔵は三年前に妻を病気でなくしました。妻は47歳でした。普通にお見合いでしたので、いわゆる恋愛関係から結婚に至ったのとは違います。恋いは突然現れるもの、愛は育むものかもしれません。入蔵は恋愛経験皆無に近いので全く偉そうなことはいえませんが、そう思います。

子供もできて、入蔵は、本当に妻を愛していましたが、永い人生のうちには、思いもよらないことが起こり、晩年は妻にとってはつらい日々が続くことになりました。こんな他人事のような書き方をする入蔵に、子供たちは「本当に信じられない」ひどい対応を入蔵が妻にとっていたと言います。言い訳はできませんが、言葉数が少なく、自分の気持をあまり喋ってくれなかった妻と、自分中心の考え方をする入蔵のあいだに溝があり、なかなかその溝が埋まりませんでした。華々しくお互いの気持をぶつけ合えれば違っていたのかもしれません。入蔵の「こんなに妻を愛していて、その気持に全く変わりがないのに、なぜ受け入れてもらえないのか」という苛立ちが態度に現れ、更に妻を苦しめたのだと思います。今、軽々に総括できません。この話はおいておきます。

さて、「三年目」の主人公は妻を病気で失います。もう二度と結婚はしないと死にゆく妻に誓いますが、大店の跡取りという立場から、再婚し、子供ができます。そこへ、先妻の幽霊が現れるという話です。とても単純です。なぜ先妻の幽霊が現れるかということは、この話をご存じない方のために秘密にいたしましょう。単純すぎて難しい話です。

この主人公はまだ、年も若く再婚して幸せになりました。

このブログを御覧の皆さんの中にも、死別、離婚等で現在独身という方もいらっしゃるでしょう。人生は複雑です、本当につらい思いを抱えていらっしゃる方も多いでしょう。入蔵はそれは承知しています。地獄を見たような経験をしたという方もいらっしゃるでしょう。一概にどうこうといって欲しくないでしょう。それでも入蔵は自分への反省と、自分のこれからの人生も考えて、そういった皆さんに新たな恋に出会って欲しいと思います。新たに愛を育んでいただきたいと思います。

入蔵は「勇気を出して、新たな恋にぶつかって行ってください。あなたは必ず、幸せになれます」と「三年目」の中で言えればなあと思ってこの噺をいたします。うまく伝わればいいですけど、入蔵の技術ではねえ。でも、素人だから自分が「ちょっとは伝えられた」と満足出来るよう

にはしたいと思っています。

今、入蔵は年長者の恋について考えることが多いです。年若の人には何度でもやり直しをするチャンスが有ります。でも、年長者の恋には、年若の人が抱えている様々な悩みに加えて、もう 改善の余地のない「年齢」という壁があります。それでも、「恋はやってきます」そうして、やってきた恋には抗えず、楽しみもありますが、同時に深い苦しみをもたらします。そういった皆さんにも「恋をしてください」と言えるでしょうか? 自分のことも含めて入蔵の今後のテーマの一つです。もちろん、ご主人、奥様がいらっしゃる方は別ですよm(_ _;)m。