十年ほど前の職場の後輩に、ファッションやメイクにまったく興味がなく何もわからないまま二十代前半になったという女の子がいました。

 

お仕事はしっかりできるし、人柄もよくコミュニケーション能力もある。

 

大学では野外活動系のサークル活動をしていて、漫画やEテレのアニメが好き。

 

だけど、床屋さんで切ったようなショートカットで、絶妙におばあちゃんぽいスラックスに子供服にも老人服にも見えるカットソーを合わせてお仕事に来る。

 

あるとき、じーっと見てくるなと思ったら、「いるるんさんのほっぺたがピンクなのは、何かを塗っているんですか?」と尋ねられたりする。

 

それはそれとして、とても良い子なのでみんなに愛されていました。

 

その子が、「おしゃれというのを、してみたい」と言い出したので、部署の女子連が立ち上がりまして。

 

お休みの日に、女子が集合して、その子を連れて美容室→メイクカウンター→洋服屋とまわるツアーを組みまして、それにわたしも同行しました。

 

途中、ランチをしながら女子たちが思い思いにその子にアドバイスをしていたのですが、わたしよりすこし年上の先輩はその子にこういいました。

 

「●●はさ、太ももからお尻にかけてのラインがすっごくいいから、シルエット綺麗なパンツを穿くといいよ」

 

「そんなお尻見たら、男のひとふらふら~ってついてっちゃうよ」

 

わたしは、えっ、そんなとこ全然見てなかった!?って思ったんですが、そう言われて後日その子の後姿を眺めていたら、……確かに。

 

けっして太くはなく細身なんですが、太ももからお尻にかけて肉感的で柔らかさもあり男性には絶対にない感じのセクシーな曲線でできている下半身でした。

 

女の子、女のひとって、こういう、かわいくする綺麗にするとかの意思とは無関係に、美しくなってしまうみたいのがあるよなあと思います。

 

いまの職場でも、元気でまじめな若い女の子の後姿のうなじがすっごく白くて細かったり、お尻がぷりっぷりだったりするのに気づいて、ハッとなることがあります。

 

一度、おじさんばっかり~の場所で仕事をしていて、その真ん中の通路を近くの部署の若い美人の女の子が通ったら、

 

打ち合わせ中のおじさんたち、言葉もなく「おお~」とその子が通るのを見送ってました。

 

わたしも、「おお~」って、見てしまいました。

 

その女の子は、自分が通ったら急に静かになって怪訝そうにしておりましたが。

 

言葉に出して言ったらセクハラ一直線ではありますが、こういう無作為の美を感じるというのもひととひとが交流する中での潤いになっているような気がしないでもありません。