時間があるって | Irreplaceさんのブログ

時間があるって

大きな林檎の木がありました。ある日まだ三歳くらいの男の子が来てこう言いました。





君はなんていうの?木はこう言いました。





私はあなたのようにお父さんとお母さんもいなければ友達もいない。自分の名前もないんだ。





そうなんだ…じゃあ僕と友達になって。また遊びに来るから。そう言って男の子は帰っていきました。






木は嬉しかった。






何日か経って、男の子がやってきました。





男の子は木によじ登り、ぶら下がったり、お腹が空いたら生っている林檎を食べたりして遊び、木もわざと体を揺すったり、葉で男の子をくすぐったりして笑っていました。





疲れた男の子は毎回のように木に寄り添って寝てしまいますが、木は暑くないように体を傾け、日陰を作ってやりました。





木は嬉しかった。






男の子はよく木のところに来て話しました。家族のこと、学校のこと、友達のこと、おもしろかったこと、好きな子が出来たこと。





木はどの話も真面目に聞きました。腹を抱えて笑い合いました。





木は嬉しかった。






やがて月日は経ち、男の子は少年へ、青年へと成長し、それにつれて木のところに行くことも少なくなっていきました。





ある日男の子はガールフレンドを連れてやってきました。





木は言いました。さあ、私に登って遊びなさい。林檎も好きなだけ食べて良いんだから。





男の子は言いました。僕はもう高校生だ。そんなこと恥ずかしくてできやしないよ。二人で休むから日陰を作っておくれ。





木は日陰を作り、二人を優しく見守っていました。





木はそれで嬉しかった。











「大きな木」。大体こんな話だったような。感動超大作、まだ続きます。