※中期中絶。人工死産。の話なので不快に思う方やこれから妊娠を望む方、順調な妊娠をされている方はきっと不安になると思うのでここで読むのやめてくださいね(人・_・)







夕方頃。
精神看護師さんが会いに来てくれた。




毎度毎度ホッとする。




いろちゃんを見て笑顔で話しかけてくれる。



『頑張ったね。良かったね。綺麗に産んだね。思ったより大きい!』



痛みも少なくスーパー安産でここで産まれちゃったと話すと本当に親孝行な子だねと言ってくれた。



〇〇さん夫婦の子やわ!2人の子やからほんまいい子で産まれてきたんやね!と言われて泣きそうになった。




出産した時ずっと一緒に居てくれて、いろちゃんを連れてきてくれた優しい助産師さんも交代時間に臍の緒と手足型に身長体重が書かれた手作りのハガキと出産記録を記載した母子手帳も持ってきてくれた。



そして、いろちゃんの名前を聞いてくれた。
『心に彩るって書いてこいろです。』と言うと『あ、同じ漢字?』と名札を見せられそこには『七彩』と書いていて『ななせと読むんです』と教えてくれて『ナナイロ‼︎素敵な名前ですね』と言った。本当に優しい助産師さんにピッタリで素敵な名前だなと思った。
助産師さんもまた『こいろちゃん可愛い名前。こいろって名前初めてかも。いい名前つけてもらったね。』と言ってくれた。



こんな小さい事でも縁を感じてしまう。
いろちゃんが繋げてくれる縁。



夜勤交代でバトンタッチした助産師さんもまたいい人で、普通の赤ちゃんに接するようにいろちゃんに沢山お話ししてくれて、パパも来るならせっかくだから川の字にしてあげたいとベッドやら棚やら大移動させてくれて旦那のベッド、いろちゃん、私のベッドと3人川の字にしてくれた。
むちゃくちゃ嬉しかった。




23時前。
旦那がやってきた。



親子3人で過ごす最初で最後の夜。



2人で何度も何度もいろちゃんを眺めた。



旦那は浮腫がなかったら本当に普通の赤ちゃんなのにって言っていた。
こんな姿見たらまた赤ちゃん欲しくなっちゃうなと言われてどう言う気持ちで旦那が言ったかはわからないが私はこんな時に何言うねん!とはならず正直嬉しかった。
いろちゃんの代わりは絶対に居ないし、すぐ赤ちゃん欲しいともならないやろけど旦那は旦那で小さい小さいいろちゃんを目の前にして本当は生きて会いたかっただろうし、普通に抱っこして抱きしめたかったやろし、温もりを感じたかったやろなと思った。



目に焼き付けとかな!うん焼き付けた!と言いながらも何度も何度もいろちゃんを見ている旦那。



この何とも言えない気持ちは今は私たち夫婦にしかわからないよなと思った。



3人で川の字で朝を迎えれた。



朝ごはんを半分くらい食べて、先生の診察も無事に問題なく終わり、帰る支度の準備をして、本当は火葬許可書をもらいに行った時に火葬予約をその場でするみたいだったが近くの火葬場は赤ちゃんの骨が残らない可能性が高いと言われ、少し離れた火葬場だと赤ちゃん専用の火葬があると、でもその日は火葬場自体が休みで朝一で電話して予約とってくださいといわれたみたいで旦那が電話すると赤ちゃんの火葬は予約がなく朝から来た順番にしますと言われたみたいだった。



火葬許可書と予約時間がわからないと退院できなかったみたいで、助産師さんがまぁ10時頃ですかねと大目に見てくれていろちゃんの納棺をすることになり、一度いろちゃんが戻る。



手作りしておいたいろちゃんへの私からのプレゼントを着ていろちゃんが戻ってきてくれた。



するとタイミングよく、ずっと私といろちゃんを診てくれていた主治医の先生が来てくれた。
手術着?を着ていたから羊水検査か何かだったのかな。
先生はいろちゃんをみて『可愛い服を着せてもらって、靴まであるやん。これどうしたん?』


『作ったんです』と言うと『すごいすごい、上手やな』と褒めてくれて、いろちゃんの顔をそっと触ってくれた。
私たちが触っていいですか?と聞いた時に『血がついちゃうかもしれない』と言われてずっと我慢してたけど躊躇なくいろちゃんに触れる先生。
一番最初にいろちゃんの肌に触れたのが先生で私はなぜか嬉しく思った。
この先生にはやっぱり感謝でしかないし、先生からしたら沢山いる担当の子供の1人かもしれなかったがそれでも気にして見に来てくれて、いろちゃんに声かけてくれて嬉しかった。



納棺をするとき、初めて保冷剤もなくそのままないろちゃんを抱っこした。
軽いのにとっても重みを感じた。
棺に入れたくなくてただただいろちゃんを抱き上げたまま旦那といろちゃんを見つめた。




小さい棺にいろちゃんを入れる。
娘と息子が使っていたダッフィーとシェリーメイのラトルと手作りのベビーシューズを添えた。




旦那が棺の蓋を閉める。




小さい棺に我が子をいれる日が来るなんて…




帰る前に精神看護師さんが会いにきてくれた。




『本当に頑張りましたね。でも良かったね。ちゃんと綺麗に産まれてくれたし、ほんと親思いに生まれてくれて、何度も言うけどこの子は2人だから来てくれたんだと思うよ。』


2人でうなずいた。



娘に会わすか悩んでいることを話したら『子供は意外と大人と違って複雑なこと考えないから会っても可愛いって言ったりちゃんと理解するよ。お花とか添えた後に会わせてあげたらお花の力も借りて可愛いってなるかも。5歳だからだいぶ理解もできるし弟君の赤ちゃんの時の姿も見てるから会う前に話して会うか決めてもらってもいいかもね』と言われ、夫婦でそうしようと決めた。


『本当にありがとうございます』とお礼を言ったら『でもこれからだからね!いつでもフォローするしまた落ち着いたら赤ちゃん考えてもいいと思うからその話もこれからゆっくりしていきましょう』と。旦那は何度も『よろしくお願いします!』て言っていて笑顔でこの日はさよならできた。



さっきまで晴れていたのに帰る時、すごく雨が降ってきた。
デイルームにはたぶん産まれたばかりのパパが居てたり、ナースステーションには新生児が並んでいた。



棺をおくるみに包んで抱きしめながら直視できずに下を向きながら産科を出た。





外に出るとさっきまでの強い雨が嘘のように止んでいた。





手作りした肌着とベビーシューズ