鶏泥棒団(笑)(その4) | hitomodokiの寝言

鶏泥棒団(笑)(その4)

この連載でご紹介してきた通信使淀城下到着図について、通信使が鶏を盗もうとして倭人と取っ組み合いになっている様子を描いたものというのはロナルド・トビであって、通信使を鶏泥棒呼ばわりする人たちはそれに踊らされているだけという指摘が一部にあります。そういう見方もあるのかもしれませんが、『朝鮮人来聘記の解説にもあるように、通信使淀城下到着図」と『朝鮮人来聘記』は別個に作成されたのであって、通信使が鶏泥棒をしているところ、それを咎める倭人と取っ組み合いになり、通信使倭人を蹴散らしているというのが最も合理的な説明と考えられます。


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 ニワトリカエセヨー ( ´Д`)     <`田´ヽ> rァ         ⊂(・ω・`)/
         (つ  つ     (つ  つ' {            \   )
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         し(_)      レ(_フ,i,i,'             し(_)
     ∧_∧                          泥棒を捕まえろ!
 と⌒^つ゚д`)つ



また通信使淀城下到着図には、倭人の子どもに通信使が菓子を投げ与えているように見える描写があるのですが、『朝鮮人来聘記にはそういう記述はありません。もっとも通信使が出立する際に一騒ぎがあり、そこに居合わせた女性が着物をはだけて見せたのにたいして、通信使が菓子を播いた記述はあります:

114頁:

扨中官下官心次第に上馬に打乗たんゝゝたつ也。上々官唐冠装束改め漸々出立す。又小ばし詰にて、加藤春庵官人のこしに付居るさすか(刺刀)をいじり見るに、官人諸手にて春庵かあたまを、たんごをまるめる様/にする故、春庵笑て居。かたわきにて女子か乳を出し見たるば、官人悦てまんちうを沢山になけ遣す。かゝるそうとうははけしき事にて、筆に不及故あらゝゝあらはす也。(略)

中級・下級の朝鮮使節が馬に乗って次々と出立していった。上級の朝鮮使節は朝鮮国の冠装束に改めてようやく出立したようだ。また小橋の詰所で加藤春庵が使節の腰に差してある刺刀(さすか)を触ったところ、朝鮮使節は両手で春庵の頭を団子を丸めるようにしたので、春庵は笑い出してしまった。その傍らで女性が乳を出して見せると、朝鮮使節は悦んで饅頭をたくさん投げてよこした。このような騒動はあまりにも猥雑で、書き留めるようなことではないから、この程度にしておきたい。


<丶`∀´>  アガシ ヒューヒュー!!


朝鮮使節の盗みは鶏だけに止まりませんでした:

朝鮮人来聘記 第二:

35頁:

対州へ官人着といへとも、大御前(所カ)様への献上物あまりそまつに付、仕直候由にて手間取候由、四月さかいか五月上旬と申候由。扨大嶋与五左衛門へ相尋候所、諸道具并野菜物迄不残帳面にて相渡候故、帳と引合夫々請合をくなり、又官人とも盗候故、其せいとう(制統)を第一にする故、昼入用の道具斗取出、夜入用の道具をかくし置、夜は昼の道具をかくし置也。すてに左近将監殿之節も、たいす(台子)の釜を盗まれたる由

対馬に朝鮮使節が到着したというが、大御所様[第8代将軍・徳川吉宗のこと:息子の家重に将軍職を譲っていた]への献上品があまりにも粗末なので、用意しなおすのに手間取っている。そのため、淀に到着するのは4月下旬か5月上旬になるということだ。ところで大嶋与五左衛門に尋ねたところ、道具や野菜まで残らず帳簿につけて渡すので、あらかじめ帳簿と照らし合わせ、それぞれ分かるようにしておくという。朝鮮使節は盗みをはたらくので、その対策が最も重要なことである。そこで日中は日中に必要な道具だけを取り出しておいて夜に使う道具は隠しておき、夜になると日中に使う道具を隠しておくという。すでに左近将監殿[淀藩主だった松平乗邑(のりさと)のこと]のときも台子(だいす)[茶道具]に置いた茶釜を盗まれたそうだ

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         台子と茶釜


39頁:

下官詰へは、節句過に勘定奉行より点取にて評定所へ集め、又夫々の宿の町人亭主を揃、帳面にて諸道具引合、封印にて夫々宿へ相渡す。尤夫より請取の宿一色請込にて、誠に障子のやふれ迄も請込事のよし。大嶋与五左衛門申候由。

下級の朝鮮通信使の宿泊施設には節句過ぎまでに勘定奉行が接待役を評定所に集め、またそれぞれの宿の主人たちも同席させて、帳簿に道具のことを書き留め、道具は一つ一つ封印して宿に手渡した。もっとも請け負った宿はいっさいの経費を請求することになっているので、障子が破れたというようなことも、こちらで負担しなければならない。これは大嶋与五左右衛門が述べたことである。

尤御かし道具故、損紛失無之様に取斗へく、若損紛失有之時には、その品を引渡可被申候。その分御かいあけに成候。(略)

もっとも宿に手渡した道具は借り物なので、傷が付いたり紛失することがないように注意しなくてはならない。もし傷が付いたり紛失したときには、その道具の分を引き受けなければならなくなる。その代金は掛け合いになるという。(略)

左近将監殿之節も、下官盗を致たる故足軽せいしたるに、取りなけ散々ふみたる故、右之官人対馬守殿より申付にて、せいばい(成敗)棒にてたヽき長崎へ相返す。(略)

左近将監殿[淀藩主だった松平乗邑のこと]ときも、下級の朝鮮通信使が盗みをはたらいたので、足軽が止めようとしたところ、通信使はその足軽を投げ飛ばし、さんざんに足で踏みつけたそうだ。そこで対馬守殿の裁可により問題の通信使を成敗の棒で叩いて長崎へ送り返すことになった。(略)



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いろいろと対策は立てたのですが、効き目はなかったようです:

123頁:

扨又下官宿并本陣なとへ出候諸道具余ほと不見也。本陣料理ほうてう文殊の銘有不残不見。蝋燭大分紛失。猪口皿の類同様帰国之節は余ほとかい足可有之、大嶋与五左衛門なみたを流して咄ける也。(略)

下級の朝鮮使節が宿泊した本陣に来てみると、本陣にあるはずの道具がほとんどなくなっていたそうだ。本陣で使っていた料理包丁は文殊の銘が入った業物なのだが、残らずなくなっていた。蝋燭もほとんどない。猪口や皿のたぐいも同様であった。朝鮮使節が帰国の途中で淀に立ち寄るときまでに紛失した道具の分を買い足さなくてはならないと大嶋与五左右衛門は涙を流して述べたという。(略)


(´;ω;`) トホホ
      とんでもない出費だお



昔からこの構図は変わっていないのですね(笑):

イ~ルボ~ンは 豊かニ~ダ~~♪
                    
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(未完)