腰痛の心理社会的危険因子 | 筋肉ドクターの気まぐれ日記

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Killing Timeに日記を書き候

 

 

 

私は確か30代のころにドンキーカーフレイズ中に魔女の一撃を喰らい、上司の整形外科医には手術しないと治らないと言われ、そこから何度も再発を繰り返し、自身の完治へ向けて自分を治すために更に腰痛の探求を進めていった。

 

たまたまインターネットの発達とともにEBMが叫ばれ出していた頃で、より腰痛の真実を知るのに役立つ時代に生きていて良かったと思う。

 

ただただ解剖学的損傷モデルで要素還元主義で痛いならどこかが壊れているはずという価値観がそもそも間違っているということをまず頭で知識として理解し、そこから胆識へ落とし込んで今や完治と言える状態が続いている。

こういうのを心理社会的危険因子とか言うわけだが、これって医師で理解できている人ってほぼいないんじゃないかと思ってる。

どうしても、痛いのは原因があるはずで、体を隈無く探せばそれが見つかり、それを叩けば治療になるはずという西洋医学的物質主義的医学を刷り込まれた医師には理解が難しいのだと思う。

 

実際、心理社会的因子に限らず、機能的な問題は解剖学的損傷モデル、要素還元主義で判断が難しい場合もある。

例えば痛いと言う人がいた時、その人が本当に痛いのか詐病なのかって、f-MRIとかである程度は分かる様になっているのかもしれないが、その人が黙っている時にどこが痛いのか当てるのは難しい。

同様に本人は辛い寝不足だって、どんだけ検査したって本当にその人が寝不足なのか、寝不足と思っているだけで結構寝ているのか、判断は難しい。

また、その人に運動習慣があるかどうかってとこでも、筋トレして明らかに筋肉が大きくなっていたりしたら鍛えているって分かっても、有酸素的な運動していて細い人と、食が細くて細い人の違いを診察と検査だけで判断することは至難の業だろう。

 

要するにほとんどの非特異的腰痛って原因が見つかる痛みではなく、本人が痛いって言わなければどれだけ検査しても痛みの原因が同定できない痛みってことなんです。

 

まあ、この辺を自分を治すためにしっかり道理を得た私としましては、物凄い腰痛で動けない状態が何ヶ月も続いている人に大まかに説明した上で治し方をアドバイスできる。

実際、私と同様ほぼ完治状態になられて、注射やリハビリに通い続けていた人がそんなものが不必要になった人がいる。

 

でも、多くの医師がそうであるように、患者さんもより細かく調べれば原因がはっきりしてそれを治療しなければ治らないと思っている方が大多数なわけで、保険診療の枠内の患者さんには本人が考えを変えてでも治したいという感じで無ければ、標準的治療で放置することが多いんですよね。

 

しかし、最近の医師は揺り戻しか、より要素還元主義に偏った説明をしている傾向を感じている。

本当に、良い治しやすい時期にぎっくり腰になって良かったと思う。