ケアとキュア | 筋肉ドクターの気まぐれ日記

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Killing Timeに日記を書き候

 
昔から言われていることですが、医療者が行う行為として、ケア(癒やし、心遣い)とキュア(治療)がある。
 
しかし、医療現場でもこの混同が多々見られる。
インターネットの発達以来、治療の有効性が議論されるようになってきたが、有効性のない治療はもはや癒やしであり、治療と言えない。
 
もちろん、現代医療は治癒だけを狙ったものばかりでは無く、不快な症状を抑えるというゴールへ向けてのキュアもある。
これがケアとキュアを混乱させる原因にもなっているかもしれない。
 
要するにその行為を行ったことにより、有意にある疾病の治癒期間が短縮した場合は治療と言えるが、治るまでの期間が大して変わらない、後遺症の発生率に変わりが無い等はもはや治療では無く、慰安行為、癒やし行為だと言える。
それが薬物や注射や手術であってもです。
これは今や科学的に客観的事実として証明可能なわけで、そういう根拠に基づいた医療をしましょうと言われたのが2000年頃からのEBMと言われたブームだったわけです。
 
しかし、最近はその揺り戻しか、そのことによってか、ケアとキュアの区別がより曖昧になっている気がする。
 
薬物や注射や手術に有効性が認められない場合、ケアどころか有害に成りかねないわけで、それならもっと安全な癒やしの方がまだマシなわけです。
未だに数多く行われているヒアルロン酸の関節注射なんて、もはや有効性は無く医学的には敗北している。
しかし、女性にはヒアルロン酸はイメージが良いらしく、根拠が無いにも関わらず好んで注射する女性が多い。
それなら、痛いところを撫でるくらいの方が癒やしとしては良いわけてすが、それでは医療機関は儲からないし、実際膝痛には運動の方が有効性が高いわけですが、それも大して医療機関としては旨味がない。
一番利益になるのはそりゃ、人工関節の置換手術でしょう。
ですが、介護現場を見ていると人工関節の入った寝たきり老人なんて溢れるほどいるわけで。
それなら筋トレが一番のキュアやろと私は思いますが、そんなことをやる医療機関は無い。
そもそも落ち続ける体力を上げる行為って、筋トレの他に無い。
こんなスーパーキュアは無い。
 
マッサージしたら早く治ると思っている人が多いですが、そんな論文私は見たことが無いし、あれはケアでキュアではない。
要するにその時気持ち良いかどうかが問題で、治るかどうかは関係無い。
私がよく言うのですが、栄養不足の方に美味しいかどうかは問題ではない。
美味しいものを栄養不足の人に与えるのがケアであり、不足した栄養を補うのがキュアなわけです。
 
しかし、最近の医療業界ケアで儲けようとするとこばかりで、キュアはほぼ無いと言っても過言ではない。
そもそも、ケアをキュアだと勘違いしている現代人が大多数に思う。