と思ってたんですけどね。
こんなに大変なんですね、ワールドツアーって。
いやね、また色んな国でツアーとかしたいなと思って、色々動いてるんですけどね。
本当に大変!
これを2019年までは年の半分ぐらいやってたんだから。で、年6枚とかアルバム出してたんだから。
濃密な人生でしたねえ...
いや、今でもやろうと思えばできるんだろうけど、ちょっとバランスが悪くなると思います。時代も違うし。
人間の脳って、楽しい記憶だけが残る仕組みになってるらしいですよ。
悲しい、辛い、苦しい記憶ってのは、残しても何にもならないですからね。それは合理的な仕組みだと思います。
なので人間は、「昔は良かった」と思うのだそうです。
これは古代エジプトの文献にも記されているとの事でね。
でも、実際に同じ状況に身を置こうとしてみると、あまりのバランスの悪さに辟易してしまう場面もありますね。
私が世界へ出た頃、日本人でそんな事をする人は誰もいませんでした。マジで。
当時、どんなベテランミュージシャンの人と会っても、「海外すごいらしいね、チノ君」とか、「今度CD聴かせてくれない?俺も海外でやるのが夢なんだよ」とか言われました。
で、まあ多分風の噂で色々聞いたんでしょう。なんか海外でやるバンドが急に増えていったんですよね。
これは「黙念師様」という極意でしてね。
例えばベンチプレス90㎏しか挙がらない人が、目の前で100㎏挙げる人を見たら、急に挙がるようになるというね。
前例が出来ると、急に行動力が身に付くわけです。で、それが自分の実力と脳が誤認識した結果、自分も実力以上の力を発揮できてしまうのです。
この場合、一番しんどいのは誰かというと、最初にやった人なんです。
スケートの世界で、"人間には不可能"と言われていたトリプルアクセルが常識になったのは、何故か?
’70年代、ベンチ100㎏挙げる日本人はほとんどいなかったのに、今や高校生でも挙げるようになったのは、何故か?
”最初にそれをやった人”がいたからです。
考えてみれば、どのような世界に於いても同じですよね。
英三さんは今でも、「この道を切り開いてくれたのはチノ君だからね」と言ってくれます。
この言葉が今の私を支えています。
まあそんな世界でね。
なんか、「誰お前?」みたいなバンドがワールドツアーとかしてるのはですね、タネ明かしをしてしまうと、あれは海外のコーディネーターにお金を払ってツアーを組んでもらってるんです。
お金を払って、ミュージシャンという職業を疑似体験してるんですね。
衝撃の事実だと思いますけど。
第一人者である私としては、そんな商売があるって事に驚きですよ。
私の場合は、ファン投票で選ばれていく場合がほとんどです。
現地のファンが「IRON ATTACK!を呼んで欲しい!」と訴え、ツアーが実現する、というような。
この場合も、ワインは大きな武器になりました。
特にヨーロッパ世界ではね。
そんなわけで、再び苦しい闘いに直面しているMaster-Dragonさんに励ましのエールを!
って事でよろしく。